横山和江さんが翻訳する本は、いつも読む人の頭の中に「考えるタネ」のようなものを運んできて、静かに長く心に残ります。ぱっと目を引く派手さはなくても、読み終わってからも気がつくとその本のことを考えているような、大切な友だちのような作品ばかりです。いつもアンテナを広げて海外作品の情報を集め、吟味し、「これは!」と思った本が見つかれば、日本の読者に届ける努力を惜しまない。そんな横山さんを「やまねこ翻訳クラブ」の仲間としてずっと見てきましたので、今回、クラウドファンディングに挑戦するときいたときには、ぜひとも応援したいと思いました。
『Julian is a Mermaid』は、マーメイドに憧れる男の子ジュリアンのお話です。独特の色合いの美しい絵も手伝って、読んでいるほうもジュリアンといっしょに夢の世界で遊んでいるような気持ちになります。そしてやっぱりこの作品も、いくつもの「考えるタネ」をそっと残していくのです。
ジュリアンが日本でも多くの人の友だちになれますように、応援しています!
笹山裕子
出版翻訳家。静岡県子ども読書アドバイザー。訳書に『ようちえんにいきたいな』、『カントリー・ダイアリー』、『アウシュヴィッツのタトゥー係』(金原瑞人氏との共訳)などがある。