本は、社会を映す鏡のようなもの。日々の新刊を眺めていると、今、社会がどう動こうとしているのか、うっすらと浮かび上がるような気がしています。この絵本を手に取ったとき、「ああ、社会は少しずつでも、動いている」と感動しました。大きな声だけでなく、小さな声にも、耳を傾けようとする方向に社会が動いていると感じられるのは、小さい声の私にとっては嬉しい動き。
同じようなテーマで書かれた本は少しずつ増えているようですが、伝えたい思いが強いほど、つい言葉過多になってしまう本が多い中、この絵本の「さり気なさ」は、感動するくらい! 絵本とは、幅広い年代の方が読める、唯一のジャンルですから、「伝え方」さえ間違わなければ、ものすごい影響力を持つ可能性があると信じています。そして、この絵本の「伝え方」、とてもいい! 感服しました。
カッコイイ。こんなカッコイイ絵本、日本語使いの子どもたちにも届けてほしい。
茅野由紀
こどもの本専門店 ブックハウスカフェ店長。 絵本のお店の隅っこに生息している座敷わらしならぬ、座敷おばちゃん。 本の扉をめくる瞬間が、至福の時。自分の好みの本を探す旅は、生きている限り続きます。 家でも、小学生怪獣二人と、絵本や物語ることを楽しんでいる毎日です。
こどもの本専門店 ブックハウスカフェ:https://www.bookhousecafe.jp/