絵本屋に立っているとこどもへの贈り物にどんなものがいいかよく聞かれます。
その子がどんな子か、年齢やこれまでの趣向をリスニングし、数少ない情報からなんとかその子の為の一冊をがんばって選書します。
「おいくつですか?」「お兄ちゃんお姉ちゃんはいますか?」「いまお気に入りの本ってあります?」これは完全にぼくの力不足なのですが、何冊か絵本を選んでもお客さんがピンとこないときがあります。そんなときついつい口に出てしまいそうな言葉が「…男の子?女の子?」
女の子ならかわいいお姫さまの絵本、男の子なら車や電車の絵本、それが当たり前の空気。気をつけているつもりがぼくまで無意識に、当たり前にそれを吸って吐いて後で恥じることがしばしばあります。
こどもたちがそのまま胸いっぱいに気持ちよく呼吸できて、何にも縛られず自由に泳ぎ回れるように。ぼくたちの周りに充満する当たり前の空気に息苦しさを感じている世界中のジュリアンと、その周りにいる当たり前の大人たちの手にこの美しい絵本が届くことを願っています。
てんしん書房
東京都文京区の児童書専門店です。2017年開業。女房のあおいさんと二人で店をきりもりしています。近所の小学生たちに悪戦苦闘する毎日。のべ来客数に売上がついていかないこどもの本屋の明日はどっちだ。
http://tenshin-shobo.com/