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精神疾患を抱える親と暮らす子どもに向けたドイツの児童書、
『悲しいけど、青空の日(仮)』(原題:Sonnige Traurigtage)を翻訳出版したい!

「優れた児童書であり、希望のある実用書です」童話作家の新井悦子さんから応援メッセージ

こんにちは。発起人の田野中です。童話作家の新井悦子さんから応援メッセージをいただきましたので紹介いたします。

新井さんは私の前職の同期。退職後、彼女は童話作家に、私は看護職を目指しました。

この児童書の翻訳出版の夢を伝えた時から協力をしてくれています。子ども達が読みやすく、子ども目線の内容になるようにと、監修をお願いしたところ、快く引きうけてくれました。心強い応援団です!

 


 数年前に発起人の田野中さんよりドイツ語の原書と日本語訳を見せてもらった時、私は童話作家という仕事柄、まず第一部の絵本のストーリーに惹かれました。

 精神疾患という知識をまだ持っていない主人公のモナ。モナは母親の変化やそのことに関連して学校での友だちとの関係等に悲しい思いをします。自分の友人であるぬいぐるみのマックスを差し出せば、母親の悲しみと交換できるのではないかという主人公モナの発想は、いじらしくもあり、同時に精神疾患の親を持つ子どもがどれだけ自分を責めているのかというリアリティをもって読者の胸に迫ってきます。そんな「悲しいの日」のエピソードがつづられていますが、全体を通しては次のページをめくりたくなるような明るい色彩で描かれています。読者は希望を持ちながらモナが「青空の日」を迎えるページまで読み進めることができるでしょう。

 また本書の大きな特徴は、優れた児童書であるとともに、精神疾患をわかりやすく説明し、子ども自身や周りの大人がどのように行動すればよいか等、科学的な根拠や研究に基づいた具体的な実用書である点です。

 それは第二部と第三部に表れています。第二部は読者が自分の気持ちや思うことを書き出すというワーク的なページがあります。第一部での主人公のモナが第一人称の「私」として、自分自身の経験を語り、直接ナビゲートすることで、読者も自分の気持ちを整理、表出することができると作りになっています。またモナ自身が出会った専門家から得た知識や情報も子どもに分かりやすい言葉でていねいに語られています。「こんな時はどうしたらいい?」「誰に相談すればいい?」「その連絡先は?」と子どもが具体的な行動ができるよう示されいます。

 第三部では、大人に向けて書かれたページです。子どもたちが経験していることや気持ちについて、これまでの研究結果をふまえて解説し、教員や専門家を含む身近な大人への提案がなされています。

 構成を見ていただければわかりますが、読者がどのような立場にあるかによって、さまざまな視点で読むことができます。モナのような精神疾患の親を持つ子ども、精神疾患に苦しむ大人、身近な学校の先生のように子どもたちを助ける立場の大人、そして専門家。どの視点で読んでも得るものが大きい一冊と言えます。

 この本に出会うことで「青空の日」を一日でも増やせる子どもたちが日本にも多くいるのではないでしょうか。そんな子どもたちに確実に届けたい。小学校や中学校の学校図書館や地域の図書館など子どもたちが手に取りやすい場所にもぜひ置いてほしいと思います。

 そのためにもまず、この希望の本が日本でも出版できますようご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。 

 

新井悦子

長崎県在住の童話作家。子ども向け教材の編集を経て出産を機にふるさとへ帰る。絵本の文章に『きょうはとくべつなひ』(教育画劇)『いたいのいたいのとんでゆけ』(鈴木出版)『だいすきのしるし』(岩崎書店)、ほかに紙芝居や保育絵本、ワークブック等多数執筆。

 

2019/08/08 13:19