おかげさまでプロジェクト達成し、期限がきましたので募集を終了しました。みなさまからのご支援心より感謝申し上げます。
『くろは おうさま』は、2019年11月16日、全国書店で刊行予定です。現在はサウザンブックスのサイトで先行予約を受け付けております。
書名:くろは おうさま
文:メネナ・コティン
絵:ロサナ・ファリア
訳:宇野 和美
ISBN:978-4-909125-14-9
活動報告のページでプロジェクトの様子をお知らせしていますので、合わせてごらんください。
『色についての黒い本・仮』(原題:El libro negro de los colores)はメキシコ生まれの美しい絵本。
真っ黒な紙に、銀色の文字と、光沢のある透明なインクのレリーフによるイラストと、
点字によって書かれた文章が印刷されています。
そこに広がっているのは、目の見えないトマスが感じている“色”の世界。
視覚障碍者と言われる人々にとっての色とはどんなものなのか、
どんな感覚として伝わっているか、どんな風に認識されているか。
トマスという男の子の素朴な言葉と、触れることのできる美しいイラストで描かれています。
トマスが言うには、黄色はマスタードの味。でも、ひよこの羽の手ざわり。
赤は、いちごみたいに酸っぱくて、すいかみたいに甘い。
でも、ひざを擦りむいたときみたいに痛い。
(本文より一部を翻訳したもの)
書名:El libro negro de los colores (The black book of colors)
著:Menena Cottin
絵:Rosana Faria
発行国:メキシコ
言語:スペイン語
発行年:2006年
ジャンル:フィクション・絵本・児童書
ISBN::978-84-924121-9-8
著:Menena Cottin(メネナ・コティン)
1950年カラカス生まれ。グラフィックアートをカラカスのニューマン・デザイン学校で学ぶ。後にニューヨークのパーソン・デザイン・スクールで児童書の書き方とイラストを、プラット・インスティトゥートでアニメーションを学び、児童書の制作を始める。著書のEl libro negro de los colores(メキシコ、テコロテ社、2006年)は14言語に訳されている(2007年・ボローニャ・ブックフェアでニューホライズン部門賞受賞、2008年・フランスの市民文学賞受賞、2008年・ニューヨークタイムズのレビュー児童書10冊に選ばれる)。20冊以上の児童書の作家、イラストレーター、デザイナーであり、そのほとんどは2006~2011年においてメキシコのテコロテ社で刊行されたものである。
絵:Rosana Faria(ロサナ・ファリア)
1963年、ベネズエラ生まれ。ニューマン・デザイン学校でグラフィックアートを学ぶ。20冊以上の児童書のイラストを描いているが、“さわることができる”本の描画こそが彼女の大きな挑戦であることは間違いない。カラカス在住。
『色についての黒い本・仮』(原題:El libro negro de los colores)が出版されている言語
スペイン語
フラマン語
ポルトガル語
英語
フランス語
ドイツ語
イタリア語
韓国語
簡体字中国語
ポーランド語
ポルトガル語
繁体字中国語
トルコ語
ウクライナ語
アラビア語
絵本を読む「スペイン語多読の会」でこの本に出会ったとき、なんて美しい本だろう、と思いました。
真っ黒な紙に透明なインクの隆起によって描かれているイラストは繊細かつ写実的であり、みずみずしいイチゴの絵から平山和子さんの『くだもの』(福音館書店、1981)を連想しました。そして、銀色の文字で印刷された文章を読み進めて、この絵本が伝えていること、この絵本がもっている使命のようなものにも、軽い衝撃を受けました。
シンプルなスペイン語で書かれていたのは、目の見えないトマスという男の子にとっての色の世界でした。味や手触りとして語られる黄色、痛みと結びついている赤、音やにおいにたとえられる茶色。トマスにとっての青は、晴れた空を見上げてお日さまがほおに当たっているときの温かさのことなのです。
目の不自由な人にとっての色、それは決して認知できないものではなく、むしろトマスは、五感すべてを使って色を感じとっています。目で見ることなく、色を知る。感じる。認識する。そのことが、この絵本を読むことによって、小さな子どもにも伝わる仕組みになっています。
目が見えないということは色が分からないということではない。目の見えない人たちの世界の豊かさが、この絵本の文章とイラストによって、日本の多くの子どもたちに知ってもらえるとしたら、それはなんて素敵なことだろうと思いました。
子どもの世界を広げるのに大きな助けとなる絵本。メキシコで生まれたこの絵本を日本語で翻訳出版することで、日本の子どもたちの世界を広げたい。世界の豊かさの意味を子どもたちが考える機会になってほしい。そんな思いで、このプロジェクトを立ち上げました。
ぜひ、一緒にこの美しい本の日本語版を作りましょう。
どうぞご支援くださいますようお願い申し上げます!
この書籍について、私が日本で翻訳出版する道を探り始めて、すでに2年ほどが経っています。
この間、原書をいろいろな方に見ていただき、ご意見をいただく機会が多くありました。
その過程で私が痛感したのは、私自身がいかに視覚の不自由な方々について無自覚で不勉強だったかということでした。
スペイン語の原書には、見開きの左ページにインクの盛り上がりがあり、その下に銀色の文字でスペイン語が書かれています。
私は単純にこれを「点字がついている」と考え、視覚健常者もそうでない人も、一緒にこの本を楽しめるための仕掛けだと捉えました。しかし、それは全くもって浅はかな考えでした。というのは、目が見えない人々が誰でも点字を使うというわけではなく、また、インクが盛り上がっているだけでは「点字」として用をなさないということも、私にはわかっていなかったのです。すべては、この本の企画を考える中で新たに知ったことでした。
それらのことを踏まえて、サウザンブックスが、この本を視覚の状態にかかわらず多くの子どもにとっての世界を広げるもの、他者の世界との架け橋としてきちんと機能するものにするため、書籍とは別に「点字シート」を付録としてつけるという方法を考えてくれました。
皆さんのお手元に届くときは、一般的な点字の基準に則って制作した点字シートを、書籍に添付する予定です。
発起人:有限会社イスパニカ代表 本橋 祈(もとはし いのり)
教育系の出版社勤務を経て、現在は「日本とスペイン語圏との架け橋」を謳ってスペイン語教育などを行う有限会社イスパニカ代表。3人の子どもの母親。小さいころの思い出の翻訳絵本は、父親が買ってくれた『しろいうさぎとくろいうさぎ』(ガース・ウィリアムズ、松岡享子訳、福音館書店)。著書に、『基礎からレッスンはじめてのスペイン語』(ナツメ社、2017)、『ひとりで学べるスペイン語会話』(共著、高橋書店、2018)。
http://www.hispanica.org/
サウザンブックスと支援金の使途について
サウザンブックスは、言葉や文化の壁を越え、読者の心に響く1冊をクラウドファンディングを活用して翻訳出版しています。
クラウドファンディングを活用する理由の1つには、翻訳出版には、原書の版権取得費用や出版エージェント手数料などが必要で、日本語の本を出版するよりも制作費がかかり、そのため、売れ筋のタイトル以外は発行しずらいという状況があるためです。
このプロジェクトの支援金については、「版権購入費」「出版エージェント費用」「翻訳費」「編集・デザイン・DTP費」「印刷・製本費」「発送・流通費」など、本の制作からお届けにかかる費用一式にに使用させていただきます。
http://thousandsofbooks.jp