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アジアで書かれた文学をもっと世界へ届けたい!
フィリピン発の本格ミステリー小説
『Smaller and Smaller Circles(仮:迫る包囲網)』を翻訳出版したい!

英語版を読んだ方からレビューをいただきました

SNS上では『Smaller and Smaller Circles』の英語版を読んだよ〜、という方もちらほらお見かけします。今回は、英語版を読み終わった方に、本の感想を送っていただきましたのでご紹介します。ネタバレなしですので安心してご覧ください。

 



 プロローグでショッキングな少年の死体が発見されるところからテンポよくさくさくと話が進むため、一旦読み始めると最後まで飽きることはありません。作者は個々のキャラクターに魅力的な個性を与えることに成功しており、それが物語にリアリティを与えています。


 犠牲となった少年たちの家族に焦点を当てた場面では、家族の証言や心理描写から、1人1人の子どもがかけがえのない存在であったことが伝わってきて、思わず涙ぐんでしまいました。

 また、普段ほとんど接することのないフィリピンの文化や社会構造をストーリーの中で学べるのが非常に興味深かったです。全国規模の情報共有ネットワークが全く確立していないため、行方不明者を探すことができず、身元不明の死体はそのまま埋葬されてしまうという信じがたいことが起きているのです。警察のずさんな捜査に憤りを隠せないサエンスたちに共感してしまいました。

 ストーリーはダークでショッキングな場面もありますが、主人公の神父2人の軽妙でユーモアに満ちた会話劇がクッション材になり、読後憂鬱な気分に襲われるということはありません。作者による心理描写がとても秀逸で、物語の終盤で主人公が語る言葉に切ない気持ちが一気に溢れてきました。

(S.T.さん/20代/女性)


 

本文(プロローグ)の一部読みはこちらからご覧いただけます(PDF:公開日:2017.12.5)

2017/12/11 12:01