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若いLGBTの声を元に書かれた
スペインのゲイ小説「ぼくを燃やす炎」を翻訳出版したい!

『ぼくを燃やす炎』姉妹作の『ぼくの血に流れる氷(仮)』翻訳出版クラウドファンディングのお知らせ

こんにちは、サウザンブックスPRIDE叢書です。
『ぼくを燃やす炎』出版プロジェクトへのご参加、誠に有難うございます。

この度、本書の姉妹作となる小説『ぼくの血に流れる氷(仮)』(原題:EL HIELO DE MIS VENAS)の翻訳出版をめざすクラウドファンディングを開始しましたので、お知らせいたします。

『ぼくの血に流れる氷』翻訳出版クラウドファンディング
クラウドファンディングへのご参加を宜しくお願いします!



だれにも見せられない脆さを抱えてもがく
ゲイの少年のリアル
『ぼくを燃やす炎』待望の続編

 
2018年に刊行された『ぼくを燃やす炎』(サウザンブックス社)は、親友に恋して拒絶されたばかりか、ゲイであることが周囲にばれて自傷行為を始めた少年、オスカルが主人公だった。本書の主人公はオスカルの元親友で、アウティングにより彼を地獄に突き落とした張本人、ダリオ。オスカルが試練を乗り越えて前へ進みだすまでと同じ時系列でダリオの日々を描く、いわばもうひとつの『ぼくを燃やす炎』だ。

オスカルを苦しめたことで、ダリオも苦しんでいた。オスカルが体から血を流していた間、ダリオは心から血を流していた。彼もオスカルに恋をしていたからだ。だけどダリオは、自分がゲイだとは認めたくなかった。認めるわけにはいかなかった。たったひとりの家族である祖母にそのことを知られたら、家を追い出されるかもしれない。

ひりひりする心を癒すため、ダリオはゲイ・クラブに通うようになった。だがそこで知り合った少年たちとも軋轢が生まれ、ダリオの苦悩はさらに深まる。どうして自分は人を傷つけてしまうのか? やがて彼は、自分を変えようと決意する――。

LGBTQだけでなく、様々な性自認が存在することについての知識は近年、少しずつ広まってきたように見える。だがそれに対する理解は深まっているだろうか。社会の無理解と偏見に悩む当事者の数が、少しでも減ったといえるだろうか? 前作と同様、自身もセクシュアル・マイノリティである作者が、性自認の問題を抱える若者たちのリアルな声をもとに紡ぎ出したのが本書。自己を否定するあまり、自分ばかりか他者をも傷つけてしまう少年の痛みとあがき、そして希望と再生を描く物語だ。


 


PRIDE叢書、5年の節目に初心に帰って「ボクモヤ」の続編刊行を目指す
PRIDE叢書編集主幹・宇田川しい

プライド叢書の第1弾として『ぼくを燃やす炎』のクラウドファンディングを実施してから5年が経ちました。PRIDE叢書はおかげさまで軌道に乗り、すでに10冊が刊行されています。

世界ではセクシュアルマイノリティをテーマとした良書が多数、出版されているのに、さまざまな事情からなかなか翻訳されることがない。ならばクラウドファンディングで翻訳出版するシリーズを作ろう。そうして起ち上がったのがPRIDE叢書でした。

初めからシリーズ化が企画されていたものの、まず1冊目が出ないと叢書も何もあったもんじゃない、というわけで、何としても『ぼくを燃やす炎』を出さねばと眦を決してクラファンを始めました。

私自身としても初めてのクラファン挑戦で、右も左も分からないまま、多くの人に相談させていただき、協力していただきました。途中まで伸び悩んだ支援者数ですが、終盤に差し掛かると伸び始めます。それは、SNSでの情報拡散など、自主的に協力してくれる応援団が登場してくれたおかげです。

中でもパワフルだったのは有限会社イスパニカ代表で、スペイン語圏の情報を日本に紹介している本橋祈さんでした。本橋さんは毎日、短い応援動画をアップしてくれて、それは伸び悩んでいたときに心折れそうだった私を奮い立たせてくれました。本橋さんの明るいキャラクターのおかげで、クラファンはまるでお祭りのように盛り上がっていき、「ボクモヤ」というちょっとおかしみのある略称も出てきました。

大勢の人たちのおかげで『ぼくを燃やす炎』を世に出すことが出来てから、早くも5年。

この間、LGBTQ+をめぐる状況はどう変わってきたでしょう。全国にパートナーシップ条例が広がり、札幌地裁が同性婚を認めないのは違憲とする判決を出すなど、良いニュースがありました。一方で、トランス女性に対する差別が激しさを増すという、状況の悪化もあります。

いっきに状況が改善したわけではないが、少しずつだけど人々の意識は変わっていっている。個人的にはそんな印象を持っています。まだまだPRIDE叢書として、LGBTQ+が生きてゆく力となるような書籍を刊行していかなければ。

そんな決意を込めて、5年の節目に、ボクモヤの続編である「ボクナガ」のクラウドファンディングを始めました。ボクモヤを応援してくれた人も、まだ読んでいない人も、どうかよろしくお願いいたします。

また、ボクナガの5年後に振り返って、社会が良くなったと言えるといいなと思っています。



宇田川しい(うだがわ・しい)

ライター、編集者。ゲイ・アクティビスト。90年代のゲイブーム時代からゲイであることをカミングアウトしライターとして主にストレート向けのメディアで活動。近年ではハフポストジャパンなどでセクシュアル・マイノリティのリアルな姿や、社会における問題を伝える記事を執筆している。

2022/05/10 14:59