この度は『When Someone in the Family Drinks Too Much』プロジェクトへのご支援ありがとうございます!
アルコール依存症について、初めて知ったという方も大勢いらっしゃるのではと思い、今回の翻訳出版プロジェクトについて、プロジェクトの発起人である米国認定臨床心理士の谷口万稚さんに話をうかがいました。
---------------
Q1:まずは、この本との出会いを教えてください。
ボストンの依存症専門クリニックにて、アルコール・薬物依存症の親をもつ子どもたちのためのグループをやっていたときに、この絵本を先輩から紹介してもらい使っていたんです。
Q2:これまで、この本をどういう場面で使っていたんですか?
子どもたちと一緒に読んで感想をシェアしあったり、それぞれ思い当たることや気になっていることなどについて、安心できる環境を心がけながら話し合いました。
また、子どもをもつ方々とのカウンセリングにおいてこの絵本を紹介し、家庭の中で子どもたちは何を感じ、何が起こっているのかを説明したりするために使ったり、親自身が子どもたちと話すためのツールの1つとして紹介してきました。
Q3:日本には、依存症の親を持つ子供に向けた支援などはあるんですか?
その状況を教えてください。
アルコール依存症者(109万人)と予備群は294万人、多量飲酒者・リスクの高い飲酒者を合わせると2019万人(2013年厚労省研究班)という数字を考えると、問題飲酒により影響を受けている子どもたちは大変な数に及びます。
依存症の理解がまだまだ一般に周知されておらず、教育・医療関係者内でも理解をされている人々が多くないなか、依存症専門のクリニック・病院・公共の支援の場において子どものための専用のプログラムを設けているところはないに等しいですね。
ただ、2007年から成増厚生病院 東京アルコール医療総合センター内で子どもプログラムが始まり、2014年から思春期プログラムが始まっています。これをきっかけに後続するところが出てきてくれるのではないかと期待しています。(他にやっているところがあれば教えていただけると嬉しいです!)また絵本では、ゆまに書房から『ボクのこと忘れちゃったの?』という素晴らしい本が出ています。
女性ダルク代表の上岡氏によると、子どものサポートは必須ですがそれを支える金銭面が問題で助成金の確保も難しいとのことです。
Q4:日本版ができたら、この本をどういう活動に役立てたいですか?
絵本を使って子どものためのグループワークをしたいなと思っています。
また、子どものときに何のサポートもなく成長しなければならなかった大人たちとも、絵本を使って気持ちをシェアできるような活動につながれば、と思っています。
また、幼稚園や小学校の先生や養護教員など、子どもたちにかかわるお仕事をされている方々を対象にワークショップをして、理解を深めてもらえるような活動ができればうれしく思います。
Q5:まだプロジェクト募集中ですが、ご支援くださった方に一言お願いします
このプロジェクトにこんなにも多くの方々が賛同してくださり、暖かいご支援をいただいていることに心から感動し、また必要を感じてくださる方々がいらっしゃることに大きなエネルギーをいただいています。
プロジェクトが達成し無事に翻訳出版することができましたら、皆さんからいただいたご支援を無駄にしないように、この絵本を悩める子供達や周りの大人たちに届けることを頑張っていきたいと思います。引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。