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傑作バンドデシネ『レベティコ―雑草の歌』のフランスでの刊行から15年。
女たちの側から「レベティコ」の世界を語り直した『レベティッサ―解毒の歌』
第二次世界大戦前夜のギリシャ。1936年10月、『レベティコ―雑草の歌』の物語が終わった朝、歌姫のベバが住み込みで働いているカフェに朝帰りをするところから『レベティッサ―解毒の歌』の物語は始まる。そのカフェもまた、右傾化著しいメタクサス政権の影響をこうむっていた。そこで演奏をしていたミュージシャンたちはトルコにルーツを持つスミルナ派の面々で、当局から演目を替えるよう迫られていたのだ。自身のルーツに誇りを抱く彼らは、当局の言いなりになることをよしとせず、最終的に演奏を続けることを断念する。そんな折、カフェが新たなミュージシャンとして白羽の矢を当てたのが、マルコスのグループだった――。
歌姫のベバ、ベバの従妹で野心的な歌い手であるマリカ、カフェの女主人カティナ。抑圧の時代を生きた3人の女性を中心に当時のレベティコの世界を、そして男と女の哀しいさがを描いた『レベティコ』姉妹版。
原書の情報
・書名:レベティッサ―解毒の歌(Rébétissa (l'antidote))
・著:ダヴィッド・プリュドム(David Prudhomme)
・発行国:フランス
・言語:フランス語
・発行年:2025年
・ジャンル:外国文学/コミック
・ISBN:978-2754835282
著:ダヴィッド・プリュドム(David Prudhomme)
1969年、フランスのボルドー生まれ。1992年、『秘密のニノン(Ninon Secrète)』(パトリック・コティアス作、全6巻、1992~2004年)でデビュー。『プラスティックのマリア様(La Marie en plastique)』(パスカル・ラバテ作、全2巻、2006~2007年)でアングレーム国際漫画祭優秀作品賞を受賞。2009年に本作『レベティコ』を出版。2012年にはルーヴル美術館をテーマにした『ルーヴル横断(La Traversee du Louvre)』を出版している。日本で過去に発表された作品に、『JAPON』(関澄かおる、フレデリック・ボワレ訳、飛鳥新社、2006年)に収録された「おとぎの国」がある。代表作『レベティコ―雑草の歌』(原正人訳、サウザンブックス)が、2020年、サウザンコミックス第1弾として出版された。本書『レベティッサ(Rébétissa)』は、『レベティコ―雑草の歌』原書版から15年が経過した2025年に刊行された。
※バンド・デシネとは
フランス語圏のマンガ。フランス・ベルギーは日本、北米と並んで、マンガの出版が盛んな地域として知られている。日本のマンガとは異なり、バンド・デシネは左開き、大判のハードカバーで出版され、オールカラーで描かれていることが多い。日本でも特にここ15で年翻訳が増えていて、さまざまな作品を読むことができる。
※レベティコとは
レベーティカあるいはレンベーティカとも言われる。20世紀初頭に誕生したギリシャのポピュラーミュージック。ビザンティン音楽や南欧、アラブなど地中海の民俗音楽の影響が色濃いが、レベティコの発展においては、特に1920年代初頭、第一次世界大戦やトルコ革命、希土戦争の結果、トルコ支配下の小アジアに長らく住んでいた膨大な数のギリシャ人が難民としてギリシャに帰郷し、トルコ音楽を持ち込んだことが大きい。物語の舞台になっている1930年代に大きな盛り上がりを迎える。貧困や社会・政治問題、悲恋、麻薬など、当時のギリシャの都市部に住んでいた下層階級の人々が抱える疎外がテーマになっていることが多く、ギリシャのブルースとも呼ばれる。
『レベティッサ』は単体でもお楽しみいただける作品ですが、
ぜひ読んでいただきたい、既刊の姉妹書『レベティコ 雑草の歌』
・書名:レベティコ-雑草の歌
・著:ダヴィッド・プリュドム
・訳:原 正人
・発行:2020年10月
・ジャンル:外国文学/コミック
・仕様:A4変形判/108ページ
・ISBN:978-4-909125-24-8
今から6年前の2020年、ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』の刊行をもって、世界のマンガを翻訳出版するレーベル「サウザンコミックス」が立ち上がりました。
『レベティコ―雑草の歌』はもともと2009年にフランスで出版されたバンド・デシネです。この作品にほれ込んだ僕は、折につけ、さまざまな出版社に持ち込んだのですが、あいにくどの出版社でも企画が通らず、最終的に2019年11月から2020年2月にかけてクラウドファンディングを行い、多くの方のご支援のおかげで見事成立、念願かなって、ようやく本書の日本語版を実現することができました。当時のことを懐かしく思い出してくださる方もいらっしゃるのではないかと思います。
当時、『レベティコ―雑草の歌』のクラウドファンディングが実現したら、世界のマンガを翻訳出版するレーベルを立ち上げますという公約を掲げ、そうしてできあがったのがサウザンコミックスです。それから6年。サウザンコミックスは13のプロジェクトを立ち上げ、そのすべてを成立させてきました。一覧はこちらからご覧いただけます。2026年現在、そのうちの10の作品が出版され、一般発売されています。残りの3作品も鋭意制作中で、追って、まずはご支援いただいた皆さんにいち早くお送りし、その後、しばらく時間を置いて一般発売されることになります。
今後もぜひこの勢いを維持しながら、それこそ世界中のマンガを日本に翻訳紹介していきたいと思っていますが、そんな折、サウザンコミックス第1弾ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』の続編がフランスで刊行されました。題して『
これまでサウザンコミックスでは、諸般の事情で商業出版の難しい海外マンガをクラウドファンディングを通じて、読者の皆さんに協力していただきながら翻訳出版していくというスタンスで出版活動を行ってきました。必然的に出版から数年、何なら10年以上経過した作品を扱うことが多かったのですが、これを機に新しい作品も積極的に翻訳出版していきたいと思います。
サウザンコミックスが立ち上がってからの6年間、実は海外マンガの日本語訳は年々増加傾向にあります。ただし、その大半が韓国の縦読みマンガ「ウェブトゥーン」由来の作品で、それ以外の海外マンガの翻訳については、2010年代半ば辺りと比べて、減っているのではないかと思います。アジアのマンガの翻訳が増えるのはうれしいことですが、それ以外の地域の海外マンガの翻訳は相変わらず少ないままで、それに関しては残念だと言わざるを得ません。
そんな状況下で、北米のコミックスやバンド・デシネに限らず、チェコ・コミックやイスラエルのコミック、オランダのグラフィックノベル、さらには韓国のマンガまで刊行しているサウザンコミックスは異彩を放っていると自負していますが、今回のプロジェクトをきっかけに、新しい作品も積極的に翻訳出版していきたいと思います。
言わば、サウザンコミックス第2章のスタートです! こらから今まで以上にチャレンジしていきたいと思いますので、どうぞ引き続き応援のほどよろしくお願いします!
発起人・翻訳:原 正人(はら まさと)
サウザンコミックス編集主幹。1974年静岡県生まれ。フランス語圏のマンガ“バンド・デシネ”を精力的に紹介する翻訳家。フレデリック・ペータース『青い薬』(青土社)、トニー・ヴァレント『ラディアン』(飛鳥新社)、ジャン・レニョ&エミール・ブラヴォ『ぼくのママはアメリカにいるんだ』(本の雑誌社)、バスティアン・ヴィヴェス『年上のひと』(リイド社)、ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』(サウザンブックス社)、ロラン・オプマン作、ルノー・ロッシュ画『ルーカス・ウォーズ』(キネマ旬報社)など訳書多数。監修に『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)、『アイデア』No.393「世界とつながるマンガ 海外マンガのアクチュアリティ」(誠文堂新光社)がある。「世界のマンガについてゆるーく考える会」、「海外マンガ勉強会」主宰。海外コミックスのブックカフェ書肆喫茶mori店主とポッドキャスト&YouTube「海外マンガRADIO」および「海外マンガの本棚」を運営中。
サウザンコミックスについて
サウザンコミックスは、世界のマンガを翻訳出版するサウザンブックス社のレーベル。北米のコミックス、フランス語圏のバンド・デシネを始め、アジア、アフリカ、南米、ヨーロッパ……と世界には魅力的なマンガがまだまだたくさんあります。このレーベルでは世界の豊かなマンガをどんどん出版していきます。
支援金の使途について
サウザンブックスは、言葉や文化の壁を越え、読者の心に響く1冊をクラウドファンディングを活用して翻訳出版しています。クラウドファンディングを活用する理由の1つには、翻訳出版には、原書の版権取得費用や出版エージェント手数料などが必要で、日本語の本を出版するよりも制作費がかかり、そのため、売れ筋のタイトル以外は発行しにくいという状況があるためです。このプロジェクトの支援金については、「版権購入費」「出版エージェント費用」「翻訳費」「編集・デザイン・DTP費」「印刷・製本費」「発送・流通・宣伝費」など、本の制作からお届けにかかる費用に使用させていただきます。