皆さま、いつもご支援、ご協力、ありがとうございます!
『ボルジアの血脈』クラウドファンディングの発起人の鈴木賢三です。
クラファン期間も残り27日、クラファン成立に向けて更なる一手をしなければと思い、今回の活動報告は、少しいつもと違う形でお届けすることにしました!
ホドロフスキーとボルジア家の面々には、なんとか注目が集まっているようなのですが、どうも作画のミロ・マナラ先生の魅力が、ボクの力不足ゆえか、十分に伝わってない!そんな気がするのです。
でも実はマナラこそ、今、海外で話題のトピックなんです!
今回は、そんな最新ニュースからのお届けです。
その1
ミロ・マナラのドキュメンタリー映画がイタリアで公開!
カンヌ、ベルリンと並び三大映画祭と言われるヴェネツィア国際映画祭で、先日の9月4日、ドキュメンタリー映画『マナラ』がプレミア上映され、話題となりました。世界で最も著名なコミック作家の一人とイタリアが誇るミロ・マナラですが、御年80歳を記念して、初期の作品から国際的な成功に至るまでの軌跡を、多くの著名人のインタビューをもとに再構築したのがこの映画です。まさに決定版とも言うべきドキュメンタリー。『バットマン:ダークナイト・リターンズ』『シン・シティ』で有名なフランク・ミラー、大御所ミュージシャンのパオロ・コンテ、モデル出身で歌手と女優とマルチに活躍するエロディ、女流作家のヴァレリア・パッレッラなど現在活躍するアーティストたちがマナラの自分への影響について生の声で語ってくれています。証言のなかには、マナラと映画監督のフェデリコ・フェリーニとのコラボレーションにも詳しく言及しているものもあり、貴重な資料とも言えます。
日本で公開される日が来るのか、正直なんとも言えませんが、トレーラーから感じられる雰囲気をかみしめて大いに期待したいと思います。
映画のトレーラーはこちら:https://www.youtube.com/watch?v=PSmoJJYDslc
フランク・ミラー
その2
マナラの魅力の秘密に迫る!
どう言い訳してもミロ・マナラの売りはエロでしょう。とり・みきさんはXで「エロマンガ一筋」とご紹介してくださいました。でも他方で、応援メッセージをくださったSMなどの性文化研究者の河原梓水さんはマナラの描く絵の「品の良さ」に言及していますし、実際にサイン会は女性の方が多いとマナラ自身が証言しています。
【活動報告】新進気鋭の研究者、福岡女子大学准教授の河原梓水さんより応援メッセージが届きました
ミロ・マナラのサイン会
動画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=gIdi4_pxQMk
またマナラはVogueイタリア版の表紙や若い女性に人気のアーティスト、エロディのためにCDのジャケットを描いています。
では、女性にも魅力的に見えるマナラのエロティシズムの秘密はどの辺にあるのでしょうか?まず気付くのはマナラの描く特徴的な唇でしょう。ぼってりとして柔らかそうです。
唇が目立つのはその形や質感の美しさだけではなく、唇がよく動き、表情を持っているところにもあります。それも少し大げさなくらいで、我々日本のマンガに慣れた読者には違和感を覚えるかもしれません。
それに対して「目」はどうでしょうか?
解剖学的に正確に描かれるマナラの絵では目も例外ではありません。この点で、大きく強調して目を描く日本のマンガとはかなり違うスタイルだと言えますが、でもあまりそんな印象は持ちませんよね。次の絵を見てください。マナラは執拗にまつ毛と眉毛を描いています。
このまつ毛の線の多さやキレイに整った線で描かれる眉毛は、アイメイクに時間をかける女性の心理に近しいものを感じます。お化粧もある種のデフォルメ、ウソですから、このマナラの目の描き方は解剖学的にリアルなウソと言っていいと思います。
マナラは少しわざとらしい唇とメイクアップされた目のディテールの組み合わせで、複雑な女性の感情を複雑なままに表現しているのではないでしょうか。繊細で細やかな目といささか誇張気味の唇に対して鼻がほとんど描かれないことも指摘しておきます。
では、なぜ目を描くことを軽視しているわけではないのに、唇とその動きで感情表現をしているのかと言えば、マナラの絵は日本のマンガに比して、クローズアップが少ないことがあげられます。目や顔をアップにして感情を表現しないのです。
マナラが手足が長くそもそもスマートな美しい体を描いていることは確かですが、全体的に引きの画面で女性の体全体を描くだけで、クローズアップで体の一部を描かないこと、これが彼のグラフィズムにある種の上品さをもたらしていると言えそうです。
そして、これが次のトピックの「お尻」にもつながります。
引きで体の全体を描くことが、マナラのグラフィズムの上品な魅力の源泉の一つということになるのでしょうが、これだけでキレイで表情豊かなヒップが描かれるわけではないでしょう。この引きの画面の扇情的でない冷静な視線に加えて、皮膚の下の筋肉の動きが何となく伝わってくるデッサンの正確さ、それもその秘密の一端ではないでしょうか。下の絵は静的なポーズですが力を入れている感じが伝わってきて、前後のゆっくりとした動きや力が入っている/いないで、お尻に艶めかしさが加わっています。
これに衣服や下着のドレープが加わるとお尻の表情はもっと豊かになります。このドレープは、先ほどの顔の表情で言えば、まつ毛や眉毛の執拗に描かれるディテールに対応するのでしょう。上の右側の絵がそうですし、下の少し動きのある絵も同様の魅力があります。
髪の毛のウェーブの繊細なタッチも注目ですね。おそらくまつ毛やドレープと同じような機能を持っています。
まとめ
マナラのエロティシズムの上品な魅力の秘密は、ざっくりと次のようにまとめられるでしょう。
いかがでしたでしょうか?ちょっと強引な気もしますが、なんとかマナラの上品なエロティシズムの秘密に一筋の光を投じることができたのではないかと思います。
とはいえ、マナラもいきなりこのようなグラフィズムに到達したのではありません。
大御所にも若い時があるのです。
そこで10月7日(火)に行われるオンラインイベント「海外マンガ勉強会#17」でマナラが68年にデビューした時の様子を紹介する発表をさせていただけることになりました。
以下、申し込み方法です。
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海外マンガ勉強会#17
日時:2025年10月7日(火)20時~22時
会場:Zoom
参加費:無料
※途中参加・途中退出OK、顔出しはしてもしなくても結構です
以下の登録フォームからメールアドレスと名前(ニックネームやハンドルネームも可)をご登録ください。追って開催日前の週末目途でZoomのURLをお送りします。
https://forms.gle/TFXhgDa1SPJVqtgKA
noteのイベント案内ページ:
https://note.com/thousandscomics/n/n6d9b5c7aec28
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奮ってのご参加、お待ちしています!