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舞台は昭和11年の台中市。
ひっそりと咲く少女たちの恋
台湾発の百合漫画『綺譚花物語』を翻訳出版したい!

『綺譚花物語』の一部翻訳をご紹介します(その1)

『地上的天國~地上にて永遠に~』

 

 昭和十一年の春、台中市郊外の大きな三合院に暮らす李玉英こと「英子」の一族は、一人の「嫁」を迎える。
 既に還暦を迎え、妻も妾もいる英子の三叔公(大叔父さん)が迎えた「二人目の妻」。それは、数年前に事故で命を落としたキリスト教徒の少女「詠恩」。
 なぜか天国に行くことなく、当時でも既に珍しかった「位牌婚」で李家に嫁いできた詠恩。彼女と言葉を交わせるのは、母方の一族「太平林家」から不思議な力を受け継いだ英子だけで、詠恩は「旦那様」(大叔父さん)そっちのけで英子の部屋に入り浸ることに。

 

 

 

※大肚山は台中市の西側郊外にあり、市の沿岸部と、東側の旧市街とを隔てている。日本時代には郊外の風光明媚な行楽地で、ゴルフ場や競馬場があり、鉄道駅から支線が引かれてガソリンカーが運行されていた。戦時中にガソリンカーはガソリン節約のため運行停止し、支線自体も廃止される。ゴルフ場と競馬場のあった場所は戦後に基地となった。衛星写真で見ると、ゴルフ場部分にはコンクリート庁舎が無数に建てられて当時の面影は既に失われているが、競馬場部分はまだ当時の面影が見て取れる。ただし、一般人の立ち入りは不可。ストリートビューも当然ないので、内部の様子は窺えない。

 


『昨夜閑潭夢落花~乙女の祈り~』


 昭和十一年の春、台中高等女学校の補習科を卒業した林荷舟は、従弟である「あきら」が暮らす太平林家の四合院に下宿していた。そんな荷舟の下を毎日訪ねるセーラー服姿の少女は渡野邊茉莉。
 全身から不思議な水を滴らせる茉莉は、かつてはあきらとも仲が良かったが、今のあきらは茉莉を恐れ避けている。
 同級生で親友同士だった荷舟と茉莉。
 荷舟はもう補習科すら卒業したのに、茉莉はなぜまだセーラー服にその身を包んでいるのか? その全身から滴る水は何なのか?
 二人にいったい何があったのだろうか?

 

 

 

※台中高等女学校を含め、台湾にある女学校はどれも四年制だったので、そのままでは生徒たちは卒業後、五年制の高等女学校卒業を入学条件としている女子大学(女子高等専門学校)に進学することができなかった。このため、幾つかの女学校では卒業した生徒たちのために一年制の補習科を設置する。補習科に通う生徒たちは、日本の女子大学への進学を目指すものの他、台湾で台湾人児童向けの初等教育機関「公学校」の教師になることを目指すものもいた。

 

『綺譚花物語』一部翻訳その2は近日公開予定!

 

(※作業中のテキストで、実際の書籍とは異なります。)

 

2021/10/05 15:36