皆さん、こんにちは! サウザンコミックス編集主幹の原正人です。
サウザンコミックスのクラウドファンディングも早いもので第4弾を迎えました。
第1弾はダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』というバンド・デシネ(フランス語圏のマンガ)で、2020年に無事出版することができました。第2弾はMK・サーウィック『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』というアメリカのコミックスで、今年2021年の2月に無事成立し、今年の秋・冬あたりの完成を目指し、現在、鋭意制作中です。第3弾は再びバンド・デシネでエティエンヌ・ダヴォドー『ワイン知らずマンガ知らず(仮)』。つい先日、2021年の8月上旬に無事成立し、翻訳作業に入ったところです。
そして、今回、第4弾として、ついに初めてアジアのマンガに挑戦することになりました! サウザンコミックスは世界のマンガをクラウドファンディングを通じて翻訳出版するレーベルです。「世界」と言うからには欧米のマンガだけでなく、アジアのマンガもぜひ翻訳出版したいと常々思っていたので、今回挑戦することができて、本当にうれしいです!
ひと口にアジアと言っても、さまざまな国があり、そこには多様なマンガ文化が広がっています。記念すべきサウザンコミックス初のアジア作品は、原作:楊双子、作画:星期一回収日『綺譚花物語』という台湾のマンガです。作者や作品については、発起人の黒木夏兒さんがプロジェクトのトップページで説明してくださっていますので、ぜひそちらをご覧ください。
台湾のマンガは日本ではまだ決して広く紹介されているとは言えません。一時期、コミックカタパルトさんが台湾のマンガを電子書籍の形で熱心に翻訳出版されていて、僕はそれを通じて、その世界の一端を知りました。もちろんそこにはいろんなタイプのマンガがあるのですが、張季雅『異人茶跡』やHambuck『龍泉侠と謎霧人―台湾布袋劇伝説』、左萱『神之郷』といった台湾の歴史や文化に取材した作品に、特に魅力を感じました。Hambuck『龍泉侠と謎霧人―台湾布袋劇伝説』については長めのレビューまで書いています。
台湾のマンガをサウザンコミックスでできたらいいなあ~と思っていたところに、黒木さんが本書をご提案くださり(ちなみに黒木さんは他にもいろんなタイトルをご提案くださっています)、「お、これは」となったわけですが、決め手となったのは、日本と台湾の間には相互に「片恋」があって、本書はそれを象徴した作品たりうるという黒木さんの言葉でした。く~、これはぜひ日本語で読みたい! 詳しくは、プロジェクトのトップページの下のほうにある黒木さんの「片恋が片恋のまま潰えてしまう前に届けたい」という文章をお読みください。
8月17日(火)にクラウドファンディングが始まって、2週間経過というところですが、サウザンコミックスにしては珍しく(笑)、早40%に到達し、200人近い方からご支援いただいています。ご支援くださった皆さん、どうもありがとうございます! もちろんまだ40%ですから、安心できる段階ではありません。身の回りにこの本が好きそうという方がいらっしゃったら、こんなプロジェクトがあるよと、ぜひオススメいただけるとありがたいです。
ぜひこのプロジェクトを成立させて、台湾マンガの翻訳がさらに増える一助となれたらと思いますし、台湾マンガに限らず、他のアジアの国のマンガにもぜひ挑戦していきたいと思います。そういった持ち込みも大歓迎ですので、これはという作品がある方はぜひ気軽に原かサウザンブックス社までご連絡ください!
まずはこのプロジェクトの成立を目指して、残り2カ月半頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします!
原正人
サウザンコミックス編集主幹。フランス語翻訳者。サウザンコミックス第1弾ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』などバンド・デシネの翻訳多数。2021年1月に創刊されたデジタル月刊誌『ユーロマンガ』で、シリル・ペドロサ『ポルトガル』やマニュ・ラルスネ『ありきたりな戦い』を始め、複数の作品を翻訳中。米沢嘉博記念図書館「はじめてのバンド・デシネ」展監修(6/11-9/20)。