「ユールタイド(冬至祭)の時節だった。人々はクリスマスと呼びならわしているが、ベツレヘムやバビロン、メンフィスや人類そのものよりも古いものであることを、心の中では知っていた。ユールタイドの時節であり、そして私は同胞が棲みついている古ぶるしい海辺の町を訪れた」−−H・P・ラヴクラフト「祝祭」より(新訳クトゥルー神話コレクション2『『ネクロノミコン』の物語』(星海社)より)
こんにちは。『グラーキの黙示』翻訳プロジェクト発起人の森瀬繚です。
2021年の冬至は今日、12月22日です。冬至というのは魔術的に重要な時期であり、クトゥルー神話的にも地上の理(ことわり)より外れた異様な祝祭が、世界各地で開催される時節です。
『グラーキの黙示』1巻収録の「ハイ・ストリートの教会」は、冬至にまつわる作品であるラヴクラフト「祝祭」のオマージュ作。この作品の原型となった、キャンベルの習作的な小説「墓の群れ」の舞台は、英国グロスターシャーのテンプヒルではなく、「祝祭」と同じ米国マサチューセッツ州のキングスポートだったのでした。
支援者の皆様のお手元に『グラーキの黙示』1、2巻が届くのは、既に告知しました通り、1月前期を予定しております。今回の本に収録されているのは、H・P・ラヴクラフトからの影響が色濃い作品ばかり。到着までに少し間がありますので、それまでにラヴクラフトの小説を読んで“予習”しておくというのもアリかもしれませんですよ。