こんにちは。『グラーキの黙示(仮)』翻訳プロジェクト発起人の森瀬繚です。
今回の活動報告では、本書を1、2巻の2分冊とした理由についてご説明します。
底本として使用する“Cold Print”(1993年版)の総ページ数は、本文パートだけで500ページを数える、英語のペーパーバックとしてはかなり分厚い本です。論より証拠、まずはこちらの写真をご覧ください。
いかがでしょうか。なかなかのド迫力です。
自分が数年前に訳書を刊行させていただいた、ロジャー・ゼラズニイの"A Night in the Lonesome October"のペーパーバックが300ページに少しばかり届かないページ数です。(ちなみに、訳書は約350ページの文庫本です)
さらには、かねて分厚いことで有名(?)な、480ページに及ぶ新訳クトゥルー神話コレクション第1集『クトゥルーの呼び声』(星海社Fictions)と並べた写真もお見せしておきましょう。
ちなみに、ラムジー・キャンベル氏の小説作品の場合、今回予定しているA5サイズの本ですと、原書の1ページに含まれる文章は、日本語に訳すと平均して5/6程度に膨れ上がります(この比率は、作家によってまちまちです)。したがって、本文パートだけで600ページになるものと見込まれます。
しかし! 今回の企画は新時代のクトゥルー神話の“原典”を目指しておりますので、原書の本文を訳しただけで済ませるわけにはいきません。
収録されている21もの作品それぞれについて訳注と解説を用意し、さらには「資料」としてこの作品集を読むであろう読者のニーズに応じた地図や用語索引などを収録すると、あっという間に150〜200ページが積み上がる計算になるのです。
すなわち、予想される総ページ数は、合計750〜800ページ。無理やり1冊の本に押し込めることもできなくはありませんが、読みやすさや持ち運びのことを考えますと、良い選択とは思えません。
かくして、サウザンブックス様との話し合いを経て、「2分冊で行こう」と決定した次第です。A5ソフトカバーで350ページを越えた翻訳小説本が、1冊あたり2310円なのだと考えていただけますと、決して高い買い物ではないはず−−いかがでしょうか?
なお、今の所、発表できていない予約特典についてですが、現在、エージェント経由で、原著者に企画をご検討いただているところです。もうしばらくお待ちくださいませ。
森瀬 繚(もりせ りょう)