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ビール醸造を極めた男の数奇な人生を描いた
ドイツのミステリー小説
『ビールの魔術師』(原題:Der Bierzauberer)を翻訳出版したい!

著者・ギュンター・テメスにインタビューしました!

ご支援者の皆さんこんにちは!発起人の森本です。
とうとう6月になりました。自粛解禁され、通常出勤に戻られた方もいらっしゃると思いますが、まだまだ油断はできない状況だと思います。皆様、どうぞくれぐれもお気をつけてお越しくださいませ。
 
さて、6月に入ったということは、このクラウドファンディングも残すところあと1か月を切ったということになります。現在200名近くの方々にご支援をいただき、支持率は60%に到達しようかというところです。
 
先月は全国のクラフトビールブルワリーなどへチラシを配布するなどの活動を行っていました。自粛営業の中、恐縮な気持ちもありつつ、でもこれをご縁に何かお互いできることがあれば、とも思っています。これだけの数のブルワリーを全国津々浦々までお尋ねするのは難しいですが、応援しています!
 
では、今回は作者、ギュンター・テメスにちょっとしたインタビューをしてみましたので、その内容をお届けします。ご一読いただければ嬉しいです。
 


『Der Bierzauberer』作者ギュンター・テメス(Günther Thömmes)氏インタビュー

 

1.小説を書くきっかけ・理由は何だったのでしょうか?

 私は身も心もビール醸造家で、ビール醸造は世界一素晴らしい職業だと思っています。他のあらゆる職業については歴史小説が書かれているのに、ビール醸造家を取り上げた小説がないのはおかしいと常々思っていました。この状況を自分が変えようと決心し、書いたのがこの小説です。そして(今回クラウドファンディングの対象となっている)この処女作『Der Bierzauberer』がヒットしたので、続いて13世紀以降19世紀までのドイツ、ヨーロッパのビールの歴史をテーマに、4冊の小説を書き上げました。どの作品でも、一人(時折複数)のビール醸造家を主人公にしています。


2.なぜミステリーというカテゴリーを選んだのですか?

 実はどちらかというと偶然の成り行きでした。ただ、善と悪の対立で成り立つ物語はよくありますし、そうしたミステリー(犯罪)小説が文芸書の中で最も売れるジャンルの一つなのは偶然ではありません。

 また、2007年に私の原稿を採用してくれた出版社が、ミステリー小説を専門としており、ちょうど歴史ミステリーという新たなシリーズをスタートしたところでした。その枠にこの小説も加えてもらったのです。最初はミステリー小説の構想はありませんでしたが、出版社のこの決断は正しかったと言えます。


3.パンデミックに関連し、本書または続編の中で思い当たる箇所、要素はありますか?

 人間の行動、振る舞いは何世紀経とうがいつも同じ、少なくともあまり大きな違いはないでしょう。特に人々はこうした状況の時、いつも誰か罪を着せ、責任をなすりつける対象を探しますね。本作『Der Bierzauberer』でもペストが2度猛威を振るいますし、そこで民衆が罪人を求めて暴走し、主人公のビール醸造家が生涯をかけて造り上げてきたものも破壊されてしまいます。2作目以降も疫病や戦争がたびたび起こり、悪がさらに度を増し、逆にまた人間のよい面がさらによくなるといった場面があります。今日と全く同様に・・・


4.現在考えていること、これから予定していること、今興味を持っていることは何ですか?

 ちょうどBierzauberer(ビールの魔術師)シリーズの5冊目を書き終えたところです。ドイツのビール雑誌『BRAUWELT(醸造界)』でも記事を書いていますし、次の小説にも取り掛かっています。次回作はビールとは関係のないミステリー小説で、ウィーンが舞台です。他にもいくつか、歴史、食品、文化史がテーマとなる本の執筆を予定しています。歴史小説です。今後数年間はこれらの活動に携わっていくと思います。


5.小説を書く上で最も難しかったのは何ですか?

 小説は書く時はいつも始まりと終わりを最初に書くのですが、それはこの2つが一番難しいからです。ここが出来上がってしまえば、後は最初から最後まで順を追って書いていきます。ただ書き進めるうちに、独り歩きを始める登場人物がいてストーリーを複雑にしてしまうことがあるため、いつも想定通りに進むわけではありません。


6.この小説を書きあげるのに、どのくらいかかったのでしょうか?(調査、資料集めも含め)

 最初の作品は、間に何度か長い休みを取ったため、何年もかかりました。最終的に腰を据えて取り掛かってからもいろいろと手を加える必要があり、2年ほどを要しました。段々と書くスピードやスキルが上がり、現在では一冊の本を書きあげるまでかかる期間(調査にかかる時間にもよりますが)は、5~10か月ほどです。


7.本の下調べをする上で一番興味深いのは何ですか?

 最初の本を書き始めた頃はまだインターネットがなく、小説の舞台となる土地をすべて訪れ、現地で調査をしました。手間はかかりましたが、とても素晴らしい経験でした。現在では調べものはほぼすべてオンラインで行っています。小説に登場する場所は、休暇の際目的地へのルート上にある場合に訪れたりしています。気楽な訪問ではありますが、やはりよいものです。

 興味深くそして面白いのは、調べ物をしている時あまり知られていない事柄を発見することです。例えば2冊目の本(『Das Erbe des Bierzauberers』ビールの魔術師の遺産)の時、王や皇帝たちの様々な家系図を調べたところ、(ハプスブルク家出身の)皇帝フリードリヒ3世が1516年にビール純粋令を発令したヴィッテルスバッハ家の公爵たち(ヴィルヘルム4世とルートヴィヒ10世兄弟)の祖父だったことを見つけ出しました。この事実はストーリー上重要な発見で、これにより皇帝とビールを結びつけることができたのです。


8.表紙の絵はどのような理由で選んだのですか?

(『聖マルティヌスの生涯』シモーネ・マルティーニ作、アッシジ、サン・マルティーノ礼拝堂 フレスコ壁画)

この絵は出版社が選んだもので、私は関わっていません。グマイナー出版社はいつも同時代の絵を表紙に選ぶのですが、本の背景となる時代にも合っています。ドラマティックな雰囲気も出ていますし、私の本によく合っていると思います。




2020/06/02 14:11