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世界のマンガの翻訳出版レーベル・サウザンコミックス第一弾!
傑作バンド・デシネ『Rébétiko』(レベティコ)を翻訳出版したい!

スペイン語翻訳者でミランフ洋書店を営む宇野和美さんから応援コメントが届きました!

 バンド・デシネを私が強く意識するようになったのは、実はわりあい最近で、スペインのコミックが気になるようになってからだ。『皺』を初めとするパコ・ロカの作品に衝撃を受け、さらにスペインの本の著作権のプロモーションを目的とする「ニュースパニッシュブックス」newspanishbooks.jpというプロジェクトで、他にもさまざまなマンガ作品があるのを知って、ここ数年、スペイン語圏の書店を訪れたとき、コミックの売り場ものぞくようになった。
 そうすると気づかされるのが、フランスのバンド・デシネの存在感だ。興味をひかれて手に取るとフランスの作品ということがしばしばある。そこで、そのバンド・デシネは、どんなものが日本で紹介されているのだろうと眺めているときに、原さんの訳された本にたどり着いた。絵柄もテーマも多様で深く、フランスのマンガってこんなに幅広かったのかと認識を新たにした。イベントで話をうかがって、いつも作品を探して売り込んでいるのを知って、親近感がわいた。分野こそ違え、作品を見つけ、持ち込み、翻訳するというのは同じプロセスだし、非英語圏の状況には共通するものがありそうな気がしたからだ。 
 そんな原さんがクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げたと聞いて、心が動いた。『レベティコ』! まったく知らなかった世界がそこにある。なんてワクワクする作品だろう。日本と縁遠いテーマの作品を売り込むとき、「誰が興味を持つのか」と敬遠され、何社もでボツになる経験は私もある。だけど、そのような作品も刊行されれば、その作品にしかない何かを読者に与えることが少なくない。この作品もきっとそうだろう。知らない世界に出会うこと、そこに何か自分に通じるものを見つけること、そのどちらもが海外の作品を読む愉しみだ。ひとりでも多くの方に注目していただいて、ギリシャの荒くれもののミュージシャンたちの物語が読めたらうれしい。
 ついでに付け加えると、サウザンコミックスが始まったらなら、ぜひスペイン語圏のコミックも仲間に入れてほしい。たとえば、アナ・ペニャという作家の『Estamos todas bien(みんな元気よ)』というコミックはどうだろう。作者が自分の2人の祖母を取材して描いたもので、社会の片隅で生きる高齢の女性たちの中にも、恋愛、結婚、独裁の社会の中でのその人だけの波乱万丈の人生があることを浮き彫りにしている。書店のフナックとサラマンドラ社が主催するグラフィックノベル賞を受賞して刊行され、2018年にはスペインの文化スポーツ省が与えるスペインコミック賞も受賞した作品だ。


Ana Penyas, Estamos Todas Bien, Salamandra Graphic, 2017


 実は今、ブエノスアイレスに来ているが、ここでも面白そうなコミックを見つけた。アルゼンチンのマンガはイストリエタと呼ばれ、大衆文化として長い伝統を持つ。翻訳出版されるといい作品は、まだまだ世界中にありそうだ。
 海外のグラフィックノベルやコミックは、中学校や高校の学校図書館や公共図書館に今後もっともっと入っていくといいと思っている。絵とともに若い人たちに様々な世界を見せて、海外文学への橋渡しにもなるのではないだろうか。『レベティコ』もぜひ!
 サウザンブックスのクラウドファンディングで刊行された『くろはおうさま』という絵本を私も昨年翻訳した。刊行されてから「なぜこの本がこれまで出なかったのか」「読めてよかった」という声が私のところにもたくさん届いた。支援を呼びかける過程で、刊行前に多くの人に本のことを知ってもらえるのはクラウドファンディングの良さだろう。
 声をかけあい、支援の輪を広げて『レベティコ』が刊行されるよう願っている。

 


『くろはおうさま』を手にする宇野さん

 

宇野和美 Uno Kazumi
東京外国語大学スペイン語学科卒業。出版社勤務ののち、児童書を中心に翻訳に携わる。機会があるごとにスペイン語圏の書店やブックフェアで本を探し、そこで見つけて翻訳した作品も多い。訳書に『太陽と月の大地』(福音館書店)、『民主主義は誰のもの?』など4冊シリーズの社会絵本「あしたのための本」(あかね書房)、『くろはおうさま』(サウザンブックス)、『グラフィック伝記フレディ・マーキュリー』(岩崎書店、小原京子と共訳)など。スペイン語の子どもの本専門店ミランフ洋書店も営む。

ミランフ洋書店
 

★好評発売中!


書名:グラフィック伝記フレディ・マーキュリー
著:アルフォンソ・カサス
翻訳:宇野和美、小原京子
発売年月:2019年12月
ISBN:9784265860463
発行:岩崎書店

 


宇野和美さんは翻訳をする一方でスペイン語の子どもの本の専門店を営み、スペイン語圏の文化の普及に努めていらっしゃる方。
もちろんスペイン語圏の文化の中にはマンガも含まれています。
海外マンガの翻訳はどうしてもよく知られている英語やフランス語のマンガが中心になってしまいがちですが、実は世界にはさまざまなマンガが存在しています。
商業出版でそれらを翻訳していくにはさまざまなリスクがありますが、クラウドファンディングなら、まだあまり知られていない国のマンガも翻訳出版できるかもしれません。

それを可能にするためにもぜひサウザンコミックスを立ち上げたいと思います!
残すところあと40%代で始動となります。
ぜひみんなでサウザンコミックスを立ち上げましょう!

ご支援・情報拡散へのご協力をお待ちしています。

原正人

 

2020/02/07 17:33