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世界のマンガの翻訳出版レーベル・サウザンコミックス第一弾!
傑作バンド・デシネ『Rébétiko』(レベティコ)を翻訳出版したい!

『レベティコ』主要キャラクターとそのモデルをご紹介!

ダヴィッド・プリュドム『レベティコ』は、1936年というギリシャがファシズム化する転換期のある一日を描いた作品です。タイトルにもなっている「レベティコ」とは20世紀初頭に誕生した「ギリシャのブルース」とも呼ばれるポピュラーミュージック。当然本書では音楽が重要な役割を果たしています。

主要キャラクターは6人。そのうち4人については実在のミュージシャンがモデルになっています。ここでは『レベティコ』の主要キャラクターを紹介しつつ、そのモデルになったミュージシャンたちの楽曲もご紹介したいと思います。

 



マルコス

1936年10月のある日、6カ月の服役を終えて、刑務所から出所したミュージシャン。地元の顔役で、ミュージシャン仲間のリーダー格。結婚しているが、定職もなくフラフラしていて、その不安定な暮らしぶりを妻から非難される。
実在のミュージシャン、マルコス・ヴァムヴァカリス[ヴァンヴァカリス](Markos Vamvakaris, 1905-1972)がモデルになっている。マルコス・ヴァムヴァカリスは1930年代前半に勃興したピレウス様式のレベティコの最も重要なミュージシャンで、「ピレウスのカルテット」のひとり。

Markos Vamvakaris, Otan Pino Toubekaki, 1933

 


スタヴロス

マルコスらとグループを組むブズーキ(洋梨を半分に割ったような形が特徴的な弦楽器)奏者。音楽のかたわら、麻薬の密売にも手を染めているらしい。マルコスの出所日にバティス、アルテミスと一緒にマルコスを迎えに刑務所に行くところから物語が始まる。
実在のミュージシャン、ストラートス・パユムチス(Stratos Payioumtzis, 1904-1971)とヤニス・パパイォアーヌ(Iannis Papaïannou or Giannis Papaioannou, 1913-1972)のふたりがモデル。ストラートス・パユムチスはマルコスと並ぶ「ピレウスのカルテット」のひとり。ヤニス・パパイォアーヌは物語の舞台である1936年の翌1937年以降に活躍するミュージシャンだが、スタヴロスの外見はこのヤニス・パパイォアーヌに多くを負っている。

Stratos Payioumtzis, Minore manes, 1936


Giannis Papaioannou, Pente Ellines ston Adi

 


バティス

マルコスらとグループを組むバグラマ(小型のブズーキ)奏者。楽器屋を営む。享楽的な性格で、ハシッシュ窟でのんびり時間を過ごすのを好む。
実在のミュージシャン、ヨルゴス・バティス(Yiorgos Batis or Giorgos Batis, 1885-1967)がモデルになっている。マルコス・ヴァムヴァカリス、ストラートス・パユムチスと並ぶ「ピレウスのカルテット」のひとり。

Giorgos Batis, Gamilieriko Zeimbekiko

 


アルテミス

マルコスらとグループを組むリラ(竪琴ではなく、弦を弓でひくクレタ島の弦楽器)奏者。見た目はチャラいが、昔の片想いの相手を前にして思わず委縮してしまう純でかわいい側面を持つ。
実在のミュージシャン、アネスティス・デリアス(Anestis Delias, 1912-1944※没年には諸説あり)がモデル。マルコス・ヴァムヴァカリス、ストラートス・パユムチス、ヨルゴス・バティスと並ぶ「ピレウスのカルテット」のひとり。ヘロインの過剰摂取で若くして亡くなった。

Anestis Delias, To Sakkaki

 


犬っころ

マルコスらとグループを組むミュージシャン。仲間たちからは常に「犬っころ」というあだ名で呼ばれる。特に作者によってモデルは明かされていない。物語の冒頭で不倫相手の夫と話し合いをしているシーンが描かれる。後にマルコス、スタヴロス、バティス、アルテミスの4人とは異なる道を歩むことになる。
 


ベバ

バティスが連れてきた女性ミュージシャン。タンバリン奏者で歌もうまい。モデルは明かされていないが、レベティコではローザ・エスケナージ(Roza Eskenazi, mid-1890s-1980)やリタ・アバジ(1914-1969)など女性ミュージシャンも多く活躍した。

Roza Eskenazi, Min Orkizese vre Pseftra

Rita Abatzi, Gazelli Neva Sebah


レベティコについては海外CDの日本語版がいくつか出ていますし、YouTubeやSpotifyなどでもたくさん聴くことができるので(rebetiko、rembetikaなどで検索すると、いろいろヒットします)、ぜひ聴いてみてください。
このプロジェクトが無事成立して、作者ダヴィッド・プリュドムがレベティコの世界に惚れ込んで作ったバンド・デシネ『レベティコ』の日本語版をお届けできたら幸いです。

原 正人
 


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2020/01/16 14:17