こんにちは、サウザンブックスPRIDE叢書です。『The Miseducation of Cameron Post』のクラウドファンディングも、残り1ヶ月を切りました。早い!!!すでにご支援いただいた皆さんは周囲の方々へお声がけを、まだの方はぜひいま、ご支援よろしくお願いいたします!!
達成率は1/3を超えて、ここに来てご参加いただくペースが早くなってきております!
さて、サンダンス映画祭で高い評価を得た映画版『The Miseducation of Cameron Post』。L映画についてもっと知りたい、もっと観てみたい!という方も多いのではないでしょうか。
ということで今回は、もうすぐ開催が迫っている、第28回レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)で上映予定のL映画おすすめポイントをご紹介します!お話を伺ったのは、レインボー・リール東京のプログラミングご担当、今井さんです。
第28回レインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~
2019年7月05日(金)〜06日(土)@東京ウィメンズプラザホール
2019年7月12日(金)〜15日(月・祝)@スパイラルホール
1.エミリーの愛の詩
19世紀半ば、10代のエミリーとスーザンは親友となり、やがて愛を交わす仲に。のちにスーザンはエミリーの兄と結婚するが、二人は隣人となり、生涯にわたり密かに関係を続ける。個性派女優モリー・シャノンを主演に迎え、詩人エミリー・ディキンソンの知られざる一面をコミカルタッチで描いた伝記映画。通説では隠遁生活を送っていたとされるエミリーだが、スーザンへの手紙から情熱的な生前の姿が浮かび上がる。(レインボー・リール東京公式サイトより)
おすすめポイント!
19世紀の詩人エミリー・ディキンソンは死後に出版された詩集が衆目を集め、天才詩人という名声を不動のものにしますが、生前は1700篇以上の詩を書きながらも評価されることはありませんでした。生涯にわたり独身で、マサチューセッツ州の生家に引きこもっていたため、その素顔は謎に包まれています。研究家の間でもさまざまな憶測が飛び交い、詩の内容からレズビアンだったという仮説も。
本作はその仮説をもとに、ディキンソンと親友スーザン(のちにディキンソンの兄と結婚)のロマンスをコミカルタッチで描いた伝記映画。原題の“Wild Nights with Emily”はディキンソンの詩「嵐の夜よ!(Wild Nights ― Wild Nights!)」から取られたものです。
本作の見どころは、何といっても主演のモリー・シャノンの演技です。モリー・シャノンは『サタデー・ナイト・ライブ』にも出演していた、過激な芸風で知られるコメディエンヌ。日本では、ドラマ『ふたりは友達? ウィル&グレイス』でのヴァル役(ウィルとグレイスの隣人であるエキセントリックな離婚女性)でご存じの方も多いでしょう。
ディキンソンの詩について詳しくなくても楽しめる作品です。全編にわたってディキンソンの詩が登場するので、本作を見たあとに本で読み直すのもオススメです。
予告編だけでも笑ってしまったこちらの映画。『サタデー・ナイト・ライブ』に出演していたコメディエンヌが主演を務めるということで、期待大です。観たあとは、きっとディキンソンの詩を読みたくなりますね!すでに読んだことがある方はさらに楽しめるのではないでしょうか。
2.ビリーとエマ
1990年代半ば、フィリピンの田舎町。マニラから転校してきた問題児のイサベル(愛称ビリー)は、厳格な女子校になじめずにいた。優等生のエマはビリーを遠巻きに見ていたが、学校の課題でペアを組んだことをきっかけに二人は急接近する。そんな時、エマの妊娠が発覚して…。『たぶん明日』(RRT2017上映)のサマンサ・リー監督最新作。ティーンの妊娠、キリスト教と同性愛といったテーマを扱いながらも、瑞々しい青春映画に仕上げている。(レインボー・リール東京公式サイトより)
おすすめポイント!
前作『たぶん明日』(2017年に当映画祭で上映)でマニラに生きる20代の女性たちを都会的なタッチで描き、クィア映画界の新星として注目されたサマンサ・リー監督。本作はガラリと変わって田舎町を舞台にした女子高生たちの青春映画です。
大阪アジアン映画祭での来日時に、リー監督は本作の制作の動機について、「女性の権利についてとても興味があり、特に女性の体についての権利、将来についての権利が気になっていました。フィリピンはとても宗教色が強い国で、自分たちの権利が特にマニラ以外の都市では公にあるような国ではないので、映画では女性の権利を強く、パワフルな女性を表現できたらいいなと思いました」と語っていました。
本作には、ティーンの妊娠、キリスト教と同性愛、経済格差といった深刻なテーマが含まれていますが、リー監督ならではのビジュアルセンスで、瑞々しい青春映画に仕上がっています(リー監督はCNNフィリピンのマルチメディア・エディターとしても活躍中で、ビジュアルへのこだわりがハンパない! 監督や本作公式のInstagramも要チェックです!)。現役ティーンの皆さんはもちろんのこと、90年代にティーンだった皆さんも懐かしい気持ちで楽しめる作品です。
青春映画ということで、10代女子が主人公の『The Miseducation of Cameron Post』と近しいものを感じます。まわりになじめない中で、ある子と急接近するの、どきどきしますね〜。パワフルな女性を描きたいというリー監督、素晴らしいです。インスタもおしゃれでかっこいい…確かにこだわりを感じます!
3.花咲く季節が来るまで
小さな町でカフェを経営するヘスは、ひょんなことから常連客の女子高生イェジンをアルバイトとして雇うことになる。やがてイェジンはミステリアスな雰囲気のヘスに密かなときめきを覚え、自らのセクシュアリティーに気づく。しかし、ヘスには誰にも言えない秘密があった。それぞれ事情を抱える女性同士の関係を、繊細な感情表現と巧妙なストーリーテリングで描いた傑作ヒューマンドラマ。釜山国際映画祭2018「Korean Cinema Today」部門出品作。(レインボー・リール東京公式サイトより)
おすすめポイント!
近年当映画祭で上映した『移ろう季節の中で』(2018年)、『夜間飛行』(2015年)などの韓国映画は、観客の皆さんから高い評価を受けてきました。成長著しい韓国インディペンデント映画界から目が離せません。
本作のキム・ジュンシク監督は、『悪いやつら』、『ベルリンファイル』、『メモリーズ 追憶の剣』などのメジャー映画の助監督としてキャリアを積んできた方で、本作が長編処女作ながら確かな演出力を証明しています。また、主人公ヘス役のイ・ヨンジンはモデル出身の女優で、優しく、たくましく、美しく、寡黙で、ミステリアスで…と、さまざまな要素が詰まった複雑な役どころを見事に演じ切っています。
最近「82年生まれ、キム・ジヨン」などの書籍から韓国のフェミニズムが注目されるようになってきましたが、本作でも韓国社会に生きる女性たちの葛藤が垣間見られます。ヘスのような30代の未婚女性が結婚のプレッシャーにさらされる一方で、10代の女子高生イェジンは教育に厳しい両親や閉塞的な学校生活に悩む ― これはセクシュアリティーを問わず日本の女性にも共感できるシチュエーションだと思います。
本作には後半に大きなサプライズが隠されているので、ストーリーには深入りしません。ぜひまっさらな気持ちでご覧いただきたいです。上映後には、キム・ジュンシク監督によるQ&Aも行われますので、作品の背景や韓国のフェミニズム事情について詳しく知りたい方は、質問してみてください。
予告編から、ヘスが内に秘めているミステリアスさが伝わってきて、いったいどんな展開になるんだろうという気持ちになりました。30代のヘスにも10代のイェジンにもそれぞれ共感できるポイントが多そうです。そして映画後半に大きなサプライズが隠されていると聞いて、見逃せません。上映のあとは、『The Miseducation of Cameron Post』でもインタビューを行ったよしひろまさみちさんによるMCで、キム・ジュンシク監督へのQ&Aも行われるそうです。楽しみ!
4.「QUEER×APAC 2019 ~アジア・太平洋短編集~」より『帰り道』
下校中に見知らぬ男に胸をつかまれた女子高生ムニョンは、いつもの通学路を避けるようになる。親友ウンジェは様子のおかしいムニョンを心配するが、ムニョンは理由を話そうとしない。(レインボー・リール東京公式サイトより)
忘れてはならないのが、「QUEER×APAC 2019 ~アジア・太平洋短編集~」。韓国のレズビアン作品『帰り道』が含まれています。親友に恋しているものの気持ちを伝えられない、女子高生二人の関係が繊細に描かれた短編作品とのこと。こちらもぜひご注目ください。
以上、今年のレインボー・リール東京のL映画見どころ紹介でした。
一段と気になる作品が見つかったでしょうか。10代女子の物語も、大人の女性の物語もあってバランス良く、コメディ・青春・ロマンス・ヒューマンドラマとジャンルも豊かでより一層楽しみになりましたね。
チケットぴあでは、お得な前売り券が発売されています(東京ウィメンズプラザホール上映回1回券&フェスティバルパス1回券→7/2まで、スパイラルホール上映会1回券&スパイラル4回券→7/9まで)。
気になるL映画のチケット確保はぜひぜひお早めに。これから夏本番、L映画ざんまいで過ごしましょう!
ちなみに、レインボー・リール東京のスパイラルホール会場では、サウザンブックスPRIDE叢書の書籍も販売されるので、要チェックです〜!