このプロジェクトは、世界の面白い本、本当に必要とされている本を翻訳出版するサウザンブックスの翻訳出版プロジェクトです。
おかげさまでプロジェクト達成し、期限がきましたので募集を終了しました。みなさまからのご支援心より感謝申し上げます。
『ゴーストソング』『ゴーストダンス』は、サウザンブックスのECショップで先行販売予約受付中。2020年2月下旬より全国書店、Amazon等で発売予定です。
※3冊入りBOXはサウザンブックスECショップのみ限定商品です
書名:ゴーストドラム
ゴーストソング
ゴーストダンス
著:スーザン・プライス
訳:金原瑞人
発行年:2020年2月
ジャンル:実用(子育て)
仕様:フィクション(ファンタジー)
ISBN:978-4-909125-03-3(ゴーストドラム)
978-4-909125-16-3(ゴーストソング)
978-4-909125-17-0(ゴーストダンス)
活動報告のページでも本の制作の様子をお知らせしますので、合わせてごらんください。
いままでにずいぶんファンタジーやファンタスティックな作品を訳してきたが、強烈に印象に残っているのはジョナサン・ストラウドの『バーティミアス』、ニール・ゲイマンの『アメリカン・ゴッズ』、そしてこのゴーストシリーズの1作目である『ゴーストドラム』だ。作者、スーザン・プライスはこの作品で、一九八七年のカーネギー賞を受賞している。
この、雪と氷に閉ざされた世界で展開される凄絶な物語を読んだときの衝撃はいまでもよく覚えている。それまで『指輪物語』『ナルニア国物語』『ゲド戦記』『ウォターシップ・ダウンのウサギたち』といった、いかにもファンタジーらしいファンタジーにどっぷりつかってきた自分にとっては、いきなり熱湯を浴びせられたような気がした。『信ぜざる者コブナント』や『最後のユニコーン』といったある意味、異端的な厳しいファンタジーさえ、ぬるく感じさせる衝撃といってもいい。
物語は、魔法使いの老婆が、生まれたばかりの女の子を弟子としてもらい受けにいくところから始まる。そして奴隷の身だった母親は、娘の将来を考えて、渡すことにする。老婆は赤ん坊にチンギスという名をつけ、魔法を教えていく。という、いかにもファンタジーらしい設定だが、物語はいきなり闇の世界に転がりこむ。
冷酷非情な皇帝、それに輪をかけて残酷な女帝、虫けらのように殺されていく人々、生まれたときから塔丸天井の部屋に閉じこめられたままの皇子サファ、サファや奴隷の兵士たちを助けようとして、死の中につき進んでいく若き魔法使いチンギス、チンギスを執拗につけねらう老練な魔法使いクズマ、これらの登場人物がさまざまな形でからみあい、もつれあいながらつむぎあげてゆく、血と死に彩られた、嫉妬と復讐と愛と生の物語。
ちなみに主人公のチンギスは物語半ばで、心臓を串刺しにされ、雪を真っ赤にそめる。いったい、物語はどこへいくのか。作者は思いもよらない方向へチンギスを、この物語を引きずっていく。こんな凄絶な作品なのに、読後感はすがすがしく、ほのかに切ない。
2017年に改訂して発行した際には、翻訳にはかなり手を加えた。1991年発行の旧版を読んだかたもぜひ、再読してみてほしい。
そしてこの『ゴーストドラム』は、このあと『ゴーストソング』『ゴーストダンス』と続く。
『ゴーストソング』は『ゴーストドラム』よりも昔の物語で、チンギスの宿敵クズマが重要な人物として登場する。まず冒頭、クズマが自分の弟子となるべき運命を追って生まれた男の赤ん坊の親を訪ね、子どもを渡すように勧めるが、断られてしまう。この機会を二百年も待っていたクズマは怒って、その父親や村人たちに残虐な仕返しをたくらむ。まさに『ゴーストドラム』を反転させた物語だ。
読者の期待をあっさり無視し、読者の予想を見事に裏切って、思いもよらない世界を築き上げるスーザン・プライスのゴースト三部作、どれもが読者の想像力をとことん試すような荒々しいイメージが交錯する。死と滅亡と復活の寒々しく猛々しいファンタジーがここにある。
(写真:根津千尋)
翻訳:金原瑞人(かねはら みずひと)
1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。児童書やヤングアダルトむけの作品のほか、一般書、ノンフィクションなど、今までに500作品を超える翻訳を手がける。訳書に『ゴーストドラム』『豚の死なない日』『青空のむこう』『国のない男』『不思議を売る男』『バーティミアス』『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』『さよならを待つふたりのために』など。エッセイに『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』『翻訳のさじかげん』など。日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』『怪談牡丹灯籠』。
書名:ゴーストドラム
著:スーザン・プライス
訳:金原瑞人
刊行:2017年5月
ジャンル:フィクション(ファンタジー)
ISBN:978-4-909125-03-3
発行・発売:サウザンブックス社
※本の詳細はこちら
※試し読みできます
※電子書籍は大特価の500円(税別)にて販売中!
書名:Ghost Song
著:スーザン・プライス
発行国:イギリス
発行年:1992年
書名:Ghost Dance
著:スーザン・プライス
訳:金原瑞人
発行国:イギリス
発行年:1994年
著者:スーザン・プライス(Susan Price)
イギリスのブラック・カントリー工業地帯に生まれる。14歳のとき短編小説のコンクールで入賞して以来物語を書き続け、1987年『ゴースト・ドラム北の魔法の物語』でカーネギー賞、1999年にThe Sterkarm Handshakeでガーディアン子どもの本賞を受賞。翻訳刊行された作品に『エルフギフト 上・下』(ポプラ社)、『12の怖い昔話』、『500年の恋人』『500年のトンネル』(ともに東京創元社)など。
・『ゴーストダンス(新装版)』『ゴーストソング』『ゴーストダンス』の3冊をセットした限定ボックスコース
※プロジェクトの成立でシリーズ1作目の『ゴーストドラム』は新装版(並製本・カバージャケット付)として再制作します。
※『ゴーストダンス(新装版)』『ゴーストソング』『ゴーストダンス』のデザインや書籍仕様は統一性があるものになります。
・ゲストトーク、飲食、懇親アリの出版記念トークイベントに参加コース
・書籍3冊すべてに翻訳者のサインつきコース
・書籍の最後のページにご自身のお名前を掲載するコース(すべての本に印刷されます)
そして、プレミアムコースとして、
などなど、クラウドファンディング期間中のみのお得で楽しいコースが満載です!
サウザンブックスは、言葉や文化の壁を越え、読者の心に響く1冊をクラウドファンディングを活用して翻訳出版しています。クラウドファンディングを活用する理由の1つには、翻訳出版には、原書の版権取得費用や出版エージェント手数料などが必要で、日本語の本を出版するよりも制作費がかかり、そのため、売れ筋のタイトル以外は発行しづらいという状況があるためです。このプロジェクトの支援金については、「版権購入費」「出版エージェント費用」「翻訳費」「編集・デザイン・DTP費」「印刷・製本費」「発送・流通費」など、本の制作からお届けにかかる費用一式にに使用させていただきます。
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