こんにちは。『書店本事』プロジェクト発起人の小島あつ子です。9月の連休を利用して、『書店本事』クラウドファンディングのメニュー「台湾の独立書店巡りツアー」をご支援くださった皆さまと一緒に、台北の独立書店を訪ねてきました。
今回は、台北の路地を歩くなら絶対この方にナビゲートしていただきたい!と考えていた、台北在住の文筆家で道草者(10/31刊行『時をかける台湾Y字路』出版社ヘウレーカのサイトに記載のプロフィールより)の栖来ひかりさんに現地コーディネートとナビゲーター役をお引き受けいただくことが叶い、町の歴史に触れ、書店主のお話を伺いながら、台北でなぜ今独立書店が元気なのかを紐解いていくという、魅惑の「ブラひかり」(某番組風)へと導いていただきました。
午前11時に永楽市場を出発し、師範大学そばの茉莉二手書店で解散するまで半日の時間(歩数にして2万歩強)をかけて回ったのは、『書店本事』に収録されている老字號(老舗)から、新進気鋭の書店まで10数件です。
廸化街の路地裏にある讀人館(いつかは泊まりたい!ライブラリーのある素敵なゲストハウス)では知性溢れる店主の高彩雯さんに、中山駅ちかくの田園城市生活風格書店ではパワフルな陳社長にお話を伺い、台大エリアでは女書店の灯を守るSophieさん(この店を必要としているすべての人のために頑張ってください!)、そして水準書局の名(迷)物店主・曾大福さんには温かなおもてなしと共に本をおススメしていただき、舊香居(ここは台北の異空間だと思う)と顔如玉・吳雅慧さんの優雅さにうっとりさせられ・・・店を訪れるたびに、それぞれの店の特徴を肌で感じ、リアル・書店本事を堪能することのできた貴重な時間となりました。
棚をじっくりと見て回りながらふと思い出したのは、翻訳家の故・天野健太郎さんが2015年に主催された「読めないのに楽しい! 台湾ビジュアルブックフェア」というイベントを訪れた時のこと。西荻窪のブックカフェで、自由な発想で編まれた本と紙の感触、そして美しい繁体字の羅列を目の当たりにし、文字通り読めないのになぜか心は躍り、台湾の出版物もまた、創作者の想いが溢れるMIT(Made in Taiwan)だと気づかされた瞬間でした。
「來書店,請帶走一本書。」
これはツアー催行の直前、9月のはじめに廸化街にオープンしたばかりの青鳥居所に掲げられていた言葉です。「書店に来たら、本を1冊買ってくださいね」というシンプルにして強烈なメッセージ。『書店本事』をきっかけに台湾の路地裏にある小さな書店を訪れることがありましたら、ぜひ自分へのお土産に(たとえ読めなくても)気になる1冊=極上のMITを探して、台湾の独立書店文化に参加していただけたらと思います。
最後になりましたが、「台湾の独立書店巡りツアー」にご支援ご参加くださいました皆さま、書店を一緒に回ってくださいまして、ありがとうございました。なかなかストイックでありながらも楽しい時間を共に過ごさせていただけたご縁に感謝申し上げます。そして今回のツアーを、台湾の歴史や文化といった大きな流れの中で独立書店文化を捉える素晴らしい機会に仕立ててくださった栖来ひかりさんに、心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!
[今回訪れた書店]
(廸化街エリア)
Bookstore 1920s
青鳥居所
讀人館
(中山エリア)
田園城市生活風格書店
浮光書店
誠品R79
(台大・師大エリア)
水準書局
古今書廊
唐山書店
舊香居
台湾的e書店
樂樹下書房
女書店
茉莉二手書店師大店