おかげさまでプロジェクト達成し、期限がきましたので募集を終了しました。みなさまからのご支援心より感謝申し上げます。
『In Our Mothers’ House (ママたちの家で・仮)』は、2018年10~11月ごろ、全国書店で刊行予定。
くわしい発売情報をお求めの方は、サウザンブックスのサイトでお知らせメールに登録ください。詳細が決まり次第、お知らせします。
活動報告のページでも本の制作の様子をお知らせしますので、合わせてごらんください。
絵本『In Our Mothers' House』は、レズビアンのお母さんたちと子どもたちの暮らしを描いた作品です。
レズビアンカップルの、マーミーとミーマーの作る家庭は、とてにぎやか。
3人の子どもたちの元気な声が家中にひびき、2人の母親は子どもたちといっしょに、料理をしたり、踊ったり。
楽しいそうなことには、なんでもチャレンジしてみます。近所の家と、なにも変わりません。
ときには、偏見のある人に出会ったり、いじわるなことを言われて傷つくこともあります。
でも、明るい家族は、しっかりと地域にとけこみ、さまざまな人たちとまじわりながら、どこにでもいる「家族」の1つとして、生活を重ねていきます。
2人の母親は、こどもたちに教えます。
「人と違うのは、いけないことではないのよ。むしろ、違いがあるのは、良いことなの」
子どもたちは、いつしか巣立ち、マーミーとミーマーも年を重ね、おばあちゃんになっていきます。
変わらないのは、家族をつなぐ愛情……。
家族の、はじけるような笑顔。差別をうけて、堂々と抗議する顔。
悲しみをわかちあおうと寄りそう顔。
そして、苦楽をのりこえて寄りそう、2人のおばあちゃんの顔……。
ストーリーももちろん、パトリシア・ポラッコの描く、リアルで親しみやすい表情も見どころの1つ。
家族に必要なものって、なに?
子どもを育てるのは、特別なことではない。たった1つ、大切なもの、それは……。
大切なものに気づかせてくれる絵本です。
原書名:In Our Mothers’ House
著:Patricia Polacco
出版社:Philomel Books
発行国:アメリカ
発行年:2009年
言語:英語
仕様:上製本/A4変形/48ページ/フルカラー
ジャンル:フィクション(絵本)
ISBN:978-0888393173
著者:Patoricia Polacco(パトリシア・ポラッコ)
作家、イラストレーターとして活躍し、日常の問題をテーマにした作品を多く手がけ、これまでに45冊もの児童書を出版している。全国の学校を訪問して講演活動も行っている。本書『In Our Mothers' House』は、講演活動を通じて、レズビアンマザーの親を持つ何人もの子供たちと出会い、こういった伝統的な形ではないかもしれないが素晴らしい家族を持つ子供たちのために、さまざまな家族の形を讃える本を書く必要を感じて誕生した。日本で翻訳出版されている絵本には『ありがとう、フォルカーせんせい』(岩崎書店)、『彼の手は語りつぐ』(あすなろ書房)などがある。
こんにちは、わたしは「にじいろかぞく」の代表を務める小野春と申します。「にじいろかぞく」とは、子育てをするLGBTとその周辺をゆるやかにつないでいる団体です。
今回は、アメリカからやってきた、レズビアンファミリーを描いた絵本「in ourmother ‘s house」の翻訳プロジェクトがサウザンブックスでスタートするとのことで、ぜひ私たち「にじいろかぞく」も、このクラウドファンディングのプロジェクトを応援させていただきたいと思いました。
レズビアンというのは女性同性愛者のことを指しますが、この絵本には、子育てをしているレズビアンの家族が登場します。彼女たちは、血の繋がらない子どもたちを迎え、家族を作っていきます。いかにもそこら辺にいそうなお母さんたちと、肌の色の違う子どもたちの暮らしぶりが、著者ポラッコによる豊かな色彩で描かれてゆく、とてもとても素敵な絵本です。
わたし自身の話を少しさせていただくと、わたしもこの絵本に出てくるお母さんたちと同じく、同性のパートナーとともに、3人の子どもを育ててきたレズビアンマザーです。
この絵本のお母さんたちと違うのは、わが家の場合は、それぞれかつての結婚でもうけた子どもを連れて家族になった、ということでしょうか。
この暮らしを始めたのは13年前。当時は全員保育園児だった子どもたちは、いまでは大学生と高校生になりました。
「にじいろかぞく」を立ち上げたのは2010年。当時、自分が同性パートナーとの子育てに悩み、同じ立場の人の話が聞きたかったことがきっかけでした。以来ゆっくりと育ち、現在は会員数60人近い団体になりました。レズビアンファミリーだけでなく、ゲイ(男性同性愛者)ファミリーやトランスジェンダー(性別違和感を持つ人)の家族、ひとり親やこれから子どもが欲しい方、異性愛者の方、更には子どもを持たない選択をされた方まで、多様なひとが参加してくださっています。普段はピクニックやお茶会をしたり、育児の悩み事を相談しあったりと、子どもを中心とした活動を行っています。
この「in our mother ‘s house」を読んだとき、自分たちのような家族は、普段の暮らしのなかではなかなか出会うことはないけれど、実は国が違っても、文化が違っても、世界各地に暮らしている、普遍的な家族のひとつなのだと初めて感じられて、とても嬉しかったことをおぼえています。
LGBTの家族と聞くと、特にまだそうした家族に出会ったことがない方は、もしかしてなんだか少しこわいもののように感じられるかもしれません。
だけど、この絵本を読んでいただければ、実はなんてことない暮らしをしている、ごくごく普通の家族に過ぎないのだ、と感じていただけると思います。
世の中を見渡してみると、実はもうすでに、お父さんお母さんと血の繋がった子ども、という形ではない家族が、たくさん暮らしています。ひとり親、別々に暮らす家族、おじいちゃんおばあちゃんと暮らす子ども、里親や養子、そしてLGBTの家族。色々違って、だけどみんな同じ「家族」。この絵本のなかのマーミーとミーマーが、皆さんにとっての、なんてことない隣人になってくれることを願って。
ご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
「にじいろかぞく」
子育てするLGBTとその周辺をゆるやかにつなぐ団体。
WEBやイベントを通じた情報発信やコミュニティーづくりなどを行なっている。
サウザンブックスのPRIDE叢書は、セクシュアル・マイノリティが自らを肯定しプライドを持って生きるために役立つ世界の本を、クラウド・ファンディングを活用して出版するシリーズです。本プロジェクトはその第二作目です。
出版にクラウド・ファンディングを取り入れる強みは、一般的な出版ビジネスのしくみだけでは出しにくいが、確実に必要とされている本を少部数でも世に出すことが可能だということです。この強みを活かし、セクシュアル・マイノリティについての問題を提起し、また新たなコミュニティ形成のためのプラットフォームとすることが出来ないかと考えています。
プライド叢書の一作目、スペインの人気ブロガーがLGBTの声にもとづいて書いたゲイ小説『ぼくを燃やす炎』では、クラウド・ファンディングの支援者数382名/支援金額2,907,780円という素晴らしい結果を出すことができました。
本書『In Our Mothers’ House』のように、親がLGBTの家庭はけっして特別ではありません。日本でも実際に大勢のLGBTが子育てをしています。しかし、その姿はなかなか見えてきません。多くの人が家庭と言って想像するのは男性と女性の夫婦に子どもが1人か2人という姿でしょう。そんな思い込みが、LGBTの家庭に限らず、多様な家族の形を見えにくくしています。
見えない存在であるということは、さまざまな行政サービスから遠ざけられる結果となり、また、無理解が偏見を生みます。本書を通じてLGBTの幸せな家庭像を提示することは、そうした現状を改善するために役立つはずです。
もっとも、そうした意義についてくだくだしい説明をするまでもなく、この本の1ページでも目にすれば、誰もがその素晴らしさに心惹かれるのではないでしょうか。ふたりのお母さんと子どもたちの暮らしぶりが優しいタッチで描かれていて、暖かい気持ちにさせてくれます。理屈抜きで家族のさまざまなありかた、多様性の素晴らしさを納得させてくれる本なのです。
LGBTをはじめとする多様な家族のあり方が認められ、全ての子どもたちが安心して育っていける社会にするにはどうすればいいのか。本書の心温まる読後感の中で多くの方に考えてみていただければと思います。
ぜひご支援を、よろしくお願いいたします!
■PRIDE叢書 編集主幹:宇田川しい
ライター、編集者。ゲイ・アクティビスト。90年代のゲイブーム時代からゲイであることをカミングアウトしライターとして主にストレート向けのメディアで活動。近年ではハフポストジャパンなどでセクシュアル・マイノリティのリアルな姿や、社会における問題を伝える記事を執筆している。またセクシュアル・マイノリティに限らず多様な家族のあり方についての取材を行っている。
■サウザンブックスPRIDE叢書(そうしょ)
セクシュアル・マイノリティが誇り高く生きていくための世界の本を出版していくシリーズ。
一作目はスペイン発のゲイ小説『ぼくを燃やす炎』。
サウザンブックスと支援金の使途について
サウザンブックスは、言葉や文化の壁を越え、読者の心に響く1冊をクラウドファンディングを活用して翻訳出版しています。
クラウドファンディングを活用する理由の1つには、翻訳出版には、原書の版権取得費用や出版エージェント手数料などが必要で、日本語の本を出版するよりも制作費がかかり、そのため、売れ筋のタイトル以外は発行しずらいという状況があるためです。
このプロジェクトの支援金については、「版権購入費」「出版エージェント費用」「翻訳費」「編集・デザイン・DTP費」「印刷・製本費」「発送・流通費」など、本の制作からお届けにかかる費用一式にに使用させていただきます。
http://thousandsofbooks.jp