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若いLGBTの声を元に書かれた
スペインのゲイ小説「ぼくを燃やす炎」を翻訳出版したい!

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おかげさまでプロジェクト達成し、期限がきましたので募集を終了しました。みなさまからのご支援心より感謝申し上げます。
「ぼくを燃やす炎」は2018年
2月刊行予定。ただいまサウザンブックスのECショップで予約受付中です活動報告のページも合わせてごらんください。

 

●お申込み方法がご不明な場合はこちらをご覧ください >>

●チラシのPDFデータのダウンロードはこちらから >>

 

このプロジェクトは“世界の面白い本、本当に必要とされている本を翻訳出版する「サウザンブックス」より、スペインのオススメ本を日本に紹介する「New Spanish Books 2016」選定作品であり、ゲイの高校生どうしの恋を性まで踏み込んで描くYA(ヤング・アダルト)作品『El fuego en el que ardo(ぼくを燃やす炎・仮)』の翻訳出版をめざすプロジェクトです。

 

✴︎クラウドファンディング期間中は、お得な先行予約特典が多数ございます!
✴︎8月21日(月)までに目標金額に達するとプロジェクトは成立します。
✴︎目標金額に未達成の際は、プロジェクト非成立となり書籍も制作されません

✴︎『El fuego en el que ardo(ぼくを燃やす炎・仮)』 作品の試し読み(公開日:2017.7.27)

 

LGBTブームでも簡単に解消されない生きづらさ。
いじめを経験したセクシャル・マイノリティの割合は過半数

今、LGBTという言葉がブームのようになっています。毎日のようにこの言葉がメディアに登場するようになったことでセクシュアル・マイノリティへの理解は進み、生きづらさは解消されたのでしょうか。

LGBTブームの一方、日本はG7の中で同性カップルに結婚に準じた権利を認めていない唯一の国です。欧米では多くのスポーツ選手やアーティスト、政治家などがカミングアウトしていますが日本ではほとんどそんな人はいません。日本はまだまだセクシュアル・マイノリティの権利に関して後進国で、カミングアウトするのも困難な国なのです。

とくに心配なのは成長過程にある多感な世代のセクシュアル・マイノリティが置かれる状況です。いじめを経験したセクシュアル・マイノリティの割合は過半数にのぼるというデータがあります。ライフネット生命保険の委託で、宝塚大看護学部の日高庸晴教授が実施したアンケート調査によれば、セクシュアル・マイノリティの58%が小中学校時代にいじめられた経験があり、21%が不登校を経験したと回答。自傷行為の経験がある人も10%にのぼります。また、67%が学校の先生がいじめの解消に役立たなかったと答えていて、学校で年若いセクシュアル・マイノリティが辛い思いをしていることが浮き彫りになっています。

LGBTブームの渦中にあってなお、本当の意味での理解が進まず、生きづらさが解消されないことの一因はメディアにあるのではないでしょうか。ほとんどのメディアは異性愛者の視点に立って、異性愛者から見たセクシュアル・マイノリティ像を伝えます。悪意はなくても、当事者でないことによる無理解や誤解が混ざることがあります。そして残念ながら、悪意のある差別的な表現もバラエティ番組などでは少なくありません。“おもしろおかしいことを言うオネエタレント”というのが、異性愛者中心のメディアが伝えるセクシュアル・マイノリティの代表と言ってもいいでしょう。

 

この状況を変えたい!
メディアに根強い誤解はどうしたら解ける?
セクシャル・マイノリティ自らメディアを持つ意味とは

 

私自身、ゲイというセクシュアリティを明かしライターとして仕事をしてきました。そんななかで、ステレオタイプな同性愛者像を求められることや、差別的とも言える内容の記事を依頼されることは何度もありました。相手の誤解や偏見を解いて、企画の方向性を変えることに成功したこともあります。しかし、それができずに仕事を断ることもありました。また、時には心ならずも納得のいかない仕事を引き受けてしまったこともあります。セクシュアル・マイノリティのリアルな姿を伝えていくことは、一部の良心的なメディア以外ではなかなか難しいのが現状です。

そんな状況をなんとかしたいという思いから、この「プライド叢書」という企画は生まれました。セクシュアル・マイノリティ自身が本当に伝えたいことを自ら発信していく。クラウドファンディングという形を取りセクシュアル・マイノリティとアライ(注 セクシャル・マイノリティを理解し、支援する立場の当事者ではない人を指す言葉。英語のally[同盟、支援]に由来)の誰もが、企画段階から参加できるコミュニティに開かれた出版プラットフォームを作りたいのです。

セクシュアル・マイノリティが自己を肯定し、誇りを持って社会に働きかけていくことを「プライド」という言葉で表現します。異性愛者がセクシュアル・マイノリティに対する理解を深めるうえで有効で、セクシャル・マイノリティが平等な権利を要求していくためにも、世に出していくべきコンテンツは国内外に数多くあります。そのような良質なコンテンツを異性愛的な価値観が中心を占めるマーケットの中で埋もれさせずに、本という形にしていく。プライド叢書はそのような意味において、書物を通じ社会を変えていこうという試みです。

 

いじめにさらされるゲイの高校生、その苦悩と希望を描くスペインから届いた1冊

その第一弾として選んだ『El fuego en el que ardo(ぼくを燃やす炎・仮)』は、ゲイの高校生・オスカルを主人公にしたスペインのYA(ヤング・アダルト)作品。サウザンブックスも選定委員として参加した2016年度のNew Spanish Booksで、日本での刊行をお勧めする本として選定された作品です。

男の子を好きになるというだけで、オスカルは学校でも、そして旧態依然とした男性優位主義者の父親が支配する家の中でも居場所を見つけられません。そして親友に募らせていた恋心を告白したことがきっかけで、オスカルは過酷ないじめを受けるようになります。親友は思わせぶりな態度であったにもかかわらず、態度を一変し、級友たちに言いふらすのです。追いつめられたオスカルは自傷行為をくり返すようになり――。LGBTブームの最中に起きてしまった悲しい事件、一橋大生の自死を思い起こさずにはいられません。

物語は、オスカルが強くなるために通いはじめた柔道教室で自由な価値観を持つ青年セルヒオと知り合うことで大きく展開していきます。すべてを受けとめてくれるセルヒオは精神的な支えになります。ふたりは自然と惹かれあいますが、かんたんにはいきません。積極的に好意を表現するセルヒオに対して、前の失恋を経てどうしても前に踏み込めないオスカル。そんな折、とうとう父親に同性愛者であることがばれてしまい――。



本作は、オスカルとセルヒオの恋の行方を読ませる恋愛小説としての醍醐味を軸にしながら、複雑な家庭環境にある思春期の少年の自立を描き、多様な愛を認める社会の実現を問うています。異性愛者の中には、日本はもともと同性愛に寛容な文化であり差別はないなどと言う人もいます。しかし、実際には一橋大学の学生のように死を選ぶまで追い詰められる人も少なくなく、その一歩手前で悩んでいる若者が大勢いるのです。そんな若い人たちがこの本を手にしたことで勇気を得て、自己を肯定しプライドを持って生き抜くことを決意してくれたらと願っています。

 

このプロジェクトの成立がしないと、プライド叢書もスタートしない!

プライド叢書では今後、ゲイのみならずレズビアンやトランスジェンダーを扱った書籍の刊行に注力していきます。セクシュアリティによる差別の上に、女性問題も抱えたレズビアンやトランスジェンダーの人たちの事情はゲイよりもさらに複雑な側面があり、その情報を発信していくことは非常に重要だと考えます。しかし、私自身が当事者でないため行き届かないこともあるかもしれません。レズビアンやトランスジェンダーや、その他さまざまなセクシュアリティの人たちの参加をお待ちしています。セクシュアル・マイノリティ自身が必要な情報を社会に向けて発信していくためのツールとなるプライド叢書。その行方は第一弾である本書の成否にかかっています。セクシュアル・マイノリティ当事者のみなさん、そしてアライのみなさんのご支援をお願いいたします!

 


プロジェクト発起人(プライド叢書 編集主幹)

宇田川しい(うだがわ・しい)

ライター、編集者。ゲイ・アクティビスト。90年代のゲイブーム時代からゲイであることをカミングアウトしライターとして主にストレート向けのメディアで活動。近年ではハフポストジャパンなどでセクシュアル・マイノリティのリアルな姿や、社会における問題を伝える記事を執筆している。

撮影/大槻真弘


TOKYO RAINBOW PRIDE 共同代表 山縣真矢さんからの応援メッセージ!

セクシュアリティに関するさまざまな書物との出会いが、私を育て、支え、励まし、私の「ゲイ・プライド」を培ってきました。大手出版社ではなかなか採算ベースに乗らないセクシュアル・マイノリティに関する翻訳出版を、クラウドファンディングという手法を使って実現していこうというサウザンブックスの「プライド叢書」シリーズ。この意欲的な試みに、ゲイの当事者として、また末端ながら出版業界に携わってきた者として、大いに期待するとともに、できる限りの支援をしていきたいと思います。まずは、第1弾『ぼくを燃やす炎(仮)』を成功させましょう。

 

●山縣さんインタビュー記事「若いセクシュアル・マイノリティがプライドを持って生きられる教育を」はこちら>>

 

山縣真矢(やまがた・しんや) 

NPO法人東京レインボープライド共同代表理事。フリーライター/編集者。HIVの啓発活動に参加したことをきっかけに、東京で断続的に行われきたプライドパレードの運営に2002年から携わる。2011年5月、現在の「東京レインボープライド」立ち上げに参加。2012年9月から共同代表。

TOKYO RAINBOW PRIDE

 


本書の著者、マイク・ライトウッドさんからのビデオメッセージ!

 著者に寄せられた若者たちの体験を下敷きに書かれた物語。

これまでに話した少年少女たち、みんながこの作品の主人公の一部なんだ!

 

《動画の概要》

みなさん、こんにちは。日本でぼくの小説を翻訳出版したいと考えてくれているというはなしを聞いて、とても名誉に思っています。

ぼくの小説はこんな感じ--。主人公は16才の高校生。学校ですごくつらい目にあっています。ゲイであることを友達に知られてしまったから。小さな町が舞台で、暴力的な父親と暮らしています。主人公はいじめられたことで、自分を守らなくちゃと、柔道を習いはじめることにします。そこである少年に出会い、運命が変わっていきます。

あとは本を読んでください。この物語はフィクションですが、ぼくに寄せられたさまざまな体験談をもとにしています。それにぼく自身の体験も。こんなことがあるわけがないと思っている人たちに伝えたいし、主人公と同じような経験をしているティーンエイジャーの助けになりたいと思っています。

ひどい目にあっていると、「いつか人生が変わる」と信じることが無理に思えてきてしまう。それでもぼくは、「いつか変わる日が来るよ!」と言いたいんです。

ぼく自身、自分がどこか人と違っていると感じはじめた当時、そういうことがあってもいいと教えてくれたのは日本のアニメでした。『セーラームーン』とか、『カードキャプターさくら』とかね。『セーラームーン』に登場する“はるか(セーラーウラヌス)”と“みちる(セーラーネプチューン)”のカップル(※訳注)を見て、LGBTも異性愛者も同じだと思ったし、『カードキャプターさくら』ではさくらが(人間ではないとわかった友人に)「雪兎くんは雪兎くんだよ!」と叫ぶシーンを見て、自分も男の子が好きでもいいのかなと思えたんです。

ぼくも経験したように、フィクションは人を救うことができる。ぼくのことを救ってくれた国で、もしぼくの本を読んでもらえたら栄誉なことです。主人公が柔道を習うのは、ぼくも柔道を習っていたから。日本に縁を感じます。重い話で、つらい場面もありますが、愛もあり、友情もあります。日本の皆さんに気に入っていただければ幸いです。

訳注:はるかは“男性のようで男性でない、女性のようで女性でない(原作)”という設定で、スポーツ万能。男子生徒の制服姿に萌えたファンも多い。みちるとは同居しており、パートナーの関係にある。原作者の武内直子はふたりを同性愛カップルとして描いている。

 

著者:Mike Lightwood

ブロガー、翻訳家。『ぼくを燃やす炎(仮)』はネットを通して知り合った若者たちの体験を下敷きに書き上げた初めての小説作品。
http://elfuegoenelqueardo.blogspot.jp

 


New Spanish Booksについて

スペインの新刊書籍を専門家が日本市場向けに選定し紹介する。2011年から始まり年に1回「おすすめ書籍」情報を更新する。2016年の選定は伊皿子りり子(サウザンブックス編集長) /笈入建志(往来堂書店) /鹿児島有里 (フリーランス編集者) /武田伊智朗(サンマーク出版) / 野谷文昭(名古屋大国語大学教授・東京大学名誉教授)(あいうえお順/敬称略) スペイン貿易投資庁(ICEX)、スペイン教育・文化・スポーツ省およびスペイン書籍出版連盟(FGEE)の共催プロジェクト。
http://www.newspanishbooks.jp

 

サウザンブックスについて

サウザンブックスは、言葉や文化の壁を越え、心に響く1冊を翻訳出版する出版サービスです。実績のある編集制作チームが、独自の視点で厳選したタイトルやみなさまから推薦いただいたタイトルから、英語をはじめとするメジャーな言語諸国の本のみならず、面白い本、ほんとうに求められている本を出版する活動をしています。
http://thousandsofbooks.jp

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