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■プロジェクトのメンバーからのお礼メッセージ
クラウドファンディングが成功し、邦訳出版が叶う際に、翻訳を担当していただく、香港漫画店の店主・松田さんより、メッセージをいただきました。
香港のコミック文化は、中国大陸独自の絵入り読み物「連環画」に端を発します。1950年代末~70年代、西洋世界のアメコミやカートゥーン、日本の池上遼一や望月三起也などの劇画と、中華世界の演義・武侠物語。これらがミックスしながら影響し、独自の進化を遂げました。
週刊・読み捨てスタイルの大判カラー漫画「薄装本」が隆盛し、新聞や雑貨の屋台「書報攤」の平台を埋めつくしました。その中から「龍虎門」(黄玉郎/作)「李小龍」(上官小寶/作)、「中華英雄」「風雲」(馬榮成/作)など、激しく流麗なアクションを描いたヒット作が生まれました。長い間、庶民の視覚エンタメの王様として漫画は君臨してきました。かの映画「トワイライト・ウォリアーズ」の原作小説「九龍城寨」も、2010年に司徒劍僑によって薄装本コミカライズされ大きな人気を呼びました。
ところがスマートフォンの普及、社会全体のホワイトカラー化傾向を背景に、コミック出版物は2010年前後から急激な部数低下に悩むようになります。流れ作業で大量の作品を刊行してきた香港の漫画界は曲がり角を迎えます。
相前後して、従来の表現や刊行形態にとらわれない独自の活動をおこなう漫画家が台頭しはじめました。世界的人気のリトルサンダー(門小雷)、90年代から不条理・インディペンデントな作風で耳目を集める利志達や黎達達榮。これに追随しFCP馮展鵬、Felix Ip、ギャグ漫画ではCusonや草日、女性作家ではStella SoやMandycat(文地猫)。さらに2020年代からは細密な画風で度肝を抜いたPen SoやMAN僧、みずみずしい感性をさらけ出すArYUやLOZEHAHA(Venus)など若い世代が登場します。
そんな中で、長く薄装本の作画スタッフとして筆をふるってきたベテランが独自の創造性を発揮する例が目立ちはじめました。Linus Liuもそのひとりです。
苦境でも頑張る精鋭漫画家らの作品刊行を支援しようと、政府漫画出版助成事業「港漫動力」が2022年に発足しました。本年第5回を数え、これまでに70点以上の素晴らしい作品が世に送り出されています。
「港漫動力」には特に優秀な作品への表彰制度があります。「猫面具少年」は第1回港漫動力の金賞を受賞しました。きわめて納得の受賞だったとわたくし松田は思っております。いままでにない色、いままでにない描写力、いままでにない躍動感、みたことのない叙情。香港漫画に新しい光を当てた傑作だったからです。
と同時にこの作品は、現在の香港漫画界の人と人のつながり、積み重ねてきた歴史、縦と横の糸が織り上がって輝きを放つものです。今回のクラウドファンディングにあたってひしひしと感じるのは、地元業界全体のあたたかい応援の気運です。苦境の漫画業界ではありますが、強い横のつながりをもって漫画ならではの表現の魅力を伝えようとしています。そしてLinusさんも、連綿と続く薄装本漫画からの歴史の中で確かに生き、絵を生み出してきたアーティストであります。
この輝きをぜひ日本の皆様にも体験していただきたいと思います。応援よろしくお願いいたします。
(香港漫画店の店主・松田)
クラウドファンディングが開始しまして約2週間が経過しました。
いち早く期待を寄せてくださり、支援と応援をくださっておりますみなさま、いつも誠にありがとうございます。
香港漫画の邦訳版を出すことができるとしたら、香港漫画の扉を開いてくれていた、松田さんしかいない、松田さんにお願いしたい!!と願いを抱いておりました。
実現ができるよう、みなさまの応援を胸に引き続き走り続けます!
どうか引き続きよろしくお願い致します。
『猫面具少年』邦訳出版プロジェクト発起人/おさ