ユニークなことは、ユニークでないこと、ユニークでなくなる世界のこと
──『パパがおうちにかえってくるよ』の素敵なおうちの物語
(発起人・翻訳:北丸雄二)
いつも出張で忙しいパパがやっとおうちに帰ってくるので、どうお迎えしたらパパが歓ぶだろうかと、ジョシュとロージーの双子の子どもたちがあれこれ懸命に考えまくります──この絵本のユニーク(他と違って独特)なところは、この子たちの”奮闘”ぶりがきっと、どこのうちのどこの子どもたちでもそうだろうなと微笑ましく想像できてしまうほど、まったくユニークじゃないところです。
そのうちにパパが空港に到着する時間が刻々と近づいてきます。あれも用意して、これも準備して、あれを忘れた、これもしなくちゃと、子どもたちのてんやわんやとウキウキとワクワクが、素敵な絵とともに描かれます。そしてやっと一家そろって空港にパパを出迎えに行くのです──最後に、笑えてしまうオチが待っているのですが。
あえて挙げれば、この絵本でただひとつユニークな点は、パパを迎える準備のその子たちをあたたかく見守りながら手伝うのも、もうひとりのパパだという点です。
パパ・ピートと、ダディ・チャスティンの、ふたりの父親が、双子の子どもたちと家族を作っています。ほんとうにふつうに、まったくユニークじゃない幸せな家庭。
「家族とは、家族になろうとする努力のことなのだ」と、以前もここで出版にこぎつけた絵本『ぼくらのサブウェイベイビー』(ニューヨークの地下鉄で見つけた捨て子の赤ちゃんを育てるゲイカップルのお話)で紹介しました。あれは2000年に始まる物語でした。
でもこの『パパがおうちにかえってくるよ』は今の物語です。「ふたりの父親」がこの絵本の唯一のユニークな点だと書きましたが、実は「ふたりの父親」や「ふたりの母親」の家族の物語は、この20年以上の時代の進み行きを経て、欧米ではすでにユニークでもなくなっています。同性婚が普通になっていますからね。
今を生きるお子さんたちの日本もまた、そんな時代になるはずです。そんな未来に、そういえばうちにもそんな本があったなとふと思い出してもらえるように、さりげなくみなさんのおうちにこの絵本があったら素敵だろうなと思います。そんな日本になってほしいと思います。
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