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鬼才ホドロフスキーと神絵師ミロ・マナラ
名作バンド・デシネ『ボルジアの血脈』を
翻訳出版したい!

残り10日!崖っぷちの修羅場中、フランス人のお二人に『ボルジアの血脈』の魅力について聞いてきました!

こんにちは。発起人の鈴木賢三です。

クラウドファンディングの日程が、早くも残り10日となってしまいました。

今日現在、支援者数320人超え、達成率48%です。
昨日から今日にかけてぐっと支援が伸びました! ご支援していただいた皆様、本当にありがとうございます!
日々情報の拡散にご協力いただいている皆さまもありがとうございます!

以下の活動報告は先日10月3日に収録した音声データを編集したものです。
少しのんびりした雰囲気で話しているのはそのためです。
あの時はこんなに苦しい状況になるとは、正直思っていませんでした。

気が焦り、ちょっと落ち着かない中での編集作業でしたが、皆さんのご参考になればと、なんとか心を落ち着けて構成しました。

 

インタビューは、板橋駅近くのバンド・デシネ専門店「メゾン・プティ・ルナール」のお店の中で実物の本を手に取りながら収録しました。お話ししてくれたのは、店主でマンガ翻訳者のデビエフ・ティボーさんと、同じくマンガ翻訳者のヨアン・ルクレーさんです。お二人とも膨大な数の翻訳をこなしているフランスのマンガ界を代表するマンガ翻訳者です。
 

右がティボーさん、左がヨアンさん

 

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鈴木:

今日は板橋駅から徒歩3分、バンド・デシネ専門店「メゾン・プティ・ルナール」さんにお邪魔しています。お話をしてくださるのは、お店のオーナーのティボーさんと、ゲストにヨアンさんにも来ていただいきました。今日はよろしくお願いします。
 

ティボー&ヨアン:
はい、よろしくお願いします。
 

鈴木:
お二人の共通点といえば、やはりマンガの翻訳者で「小西賞*」をお二方とも受賞しているというところですよね。ティボーさんは浦沢直樹先生……『MONSTER』 とか『 MASTERキ―トン』とか……

*2018年に小西国際交流財団が創設したフランスで刊行された優れたマンガ翻訳作品の翻訳者に送られる賞。第2回がティボーさん、本年第8回はヨアンさんが受賞。

 

ティボー:

はい、青年マンガの翻訳が多いですね。他には例えば松本大洋先生、浅野にいお先生。あとは少年マンガも多少やってまして『フェアリーテイル』『 ハンターハンター』とかいろいろですね。今はお店との両立があるので、少し翻訳の仕事の数を減らしてますけども。

 

鈴木:

えっと、ヨハンさんはまずやっぱり『乙嫁語り』に『無限の住人』……

 

ヨアン:

そうね。『無限の住人』はリエディション版です。あとは高野文子先生の『るきさん』、楳図かずお先生の『神の左手悪魔の右手』……

 

ティボー:

あ~難しい翻訳ばかりだね。

 

ヨアン:

最近のものだと『化物語』とか『ゆるキャン』、それと 『魔入りました!入間くん』とか…

 

鈴木:

それで小西賞の受賞作が高浜寛先生の『扇島歳時記』でしょ。幅広いですね。さすが今年の受賞者というだけあってアクチュアルな仕事ぶりですよね。

 

ティボー:

若いし、期待の星ですよ(笑)

 

鈴木:

ではちょっとこの辺でクラウドファンディングの『ボルジア家の血脈』の話に行きたいんですが、ティボーさんはお読みですか?お勧めポイントなどご感想はいかがですか?

 

ティボー:         

もちろん読んでいます。やはりこの作品にはバンド・デシネっていうジャンルの魅力が詰まっていると思います。まずテーマがイタリアの歴史だけど、これは日本のマンガにはあんまりないと思います。あるのは同じ時期に出ていたあの(惣領冬美先生の)『チェーザレ 』ですよね。あれもすごい作品ですが、『ボルジアの血脈』は作画がマナラ先生なので、こうちょこっとエロも入っていて、さらに脚本がホドロフスキー先生で……、非常に精緻な絵に奥深いストーリーがあって、バンド・デシネとしてとても魅力的な作品になっています。

 

鈴木:  

えっとヨアンさんは読みました?
 

ヨアン:
あ、はい、この『ボルジア』はまだちゃんと読んだことないんですけど(重いからフランスの実家に置いてきた!そうです。鈴木)、でも、マナラは色々読んでいて、一番好きなのは『インディアン・サマー』です。イタリアの大天才、ウーゴ・プラットとの共作で、すごいストーリーがいいです。もう古典的なバンド・デシネの名作と言っていいと思います。大好きです。

 

鈴木:

ティボーさんはマナラの他の作品はどうですか?

 

ティボー:

はい、古いですが『デクリック*』はやはり僕の青春に関わる作品ですね。僕は 5人兄弟の4番目で上はみんな兄なんです。で、この作品をお兄さんがやっぱり持っていたわけです。僕が12か13歳ぐらいのころに出版されまして……、まぁもう一番、エロスの世界に興味ある時ですよ。マナラ先生がボクの扉を開けちゃったんですね(笑)

*『デクリック/ Le Déclic』1983年刊:遠隔装置によって操られた貞淑な若妻が淫らになってしまう騒動を描いたエロティック・コメディ。マナラの出世作で1985年に映画化された。

 

鈴木:

昔は今みたいにこういうものは簡単に見れるもんではなかったですもんね。

 

ティボー:

今でも多分この手のバンド・デシネは、例えばフランスの大型書店に行くと大人向けの作品として別のコーナーに置いてあるし、封もされてて子供が中を見れないようになっています。今も昔も『デクリック』は子供にはアクセスしづらいところにありますよ。

 

鈴木:

書店でこの手の本を子供に見せないようにするのは、今も昔もあまり変わらないのですね。

 

ティボー:

それはそうです。まあ僕の場合は兄がいるっていうそういう特権をうまく利用して初めてマナラ先生の作品と出会ったわけです。

あとマナラ先生といえば、やはりあの美しいイラストですね。マナラ先生には画集がいくつも出てますけれども、画集はどれも素晴らしいんですよ。本当に飽きないんです。品がある。 品のあるエロスで、女性にも人気があります。そんな画集の中でも、このアングレームの図録ですね。この本が一番ですね。これはアングレーム国際漫画祭で行われたマナラの展示会のいいところを、もうそのまんまこの図録に収められてるっていう感じです。ヨアンさんも現地であの展示会を見たと思うけど、あの原画は本当に素晴らしかったです。あれを見たらもうこの図録を持ちたくなるんですね。この図録を開くと、もうその時その場で感じたことをもう一回感じられるっていう良さがありますね。

 

アングレーム展示会の図録(左)とミロ・マナラの作品のある棚(右)真ん中には『ボルジアの血脈』も見える

 

鈴木:

 たしか2018年でしたよね、このアングレームでのマナラの展示会は。

 

ティボー:

そうです、そうです。でも、僕はその年は真島ヒロ先生の通訳だったのでゆっくり展示会が見れなかった(笑)

 

鈴木:

ボクもこの図録は欲しかったんですけど、買えてないんですよね。

 

ティボー:

あ~、アングレームの図録は発行部数が非常に少なくて、だいたい1000部か1500部しか刷ってないから、早く買わないとダメですね。

 

鈴木:

その後の2020年のつげ義春先生の展示会も評判がとても良かったじゃないですか。やはり僕は図録を買いたかったんですけど買えてないです。アングレームの図録は基本的にみんないいんですね。

 

ティボー:

そうなんです。アングレームの図録は紙の質もいいですし、作りもとても素晴らしいので、その機会があれば、是非。あの図録は出るたびに皆さんに買って頂きたいですね。もうなんか人類のマンガの歴史の金字塔のような感じがします。         

画集がいいようにやっぱりマナラの良さはイラストが綺麗なことですよ。絵だけでも楽しめるっていうのは、他の作家さんにはない魅力だとと思います。

 

鈴木:  

はい、では、ここに来ると 『ボルジアの血脈』も読めるし、他のマナラの作品や図録も手に取ることができるということですよね。

 

ティボー:

はい。 一応、子供の手が届かない場所には置いてあります(笑)、ちょっと高いところに。お店には、絵本も全体の半分弱ぐらいありまして、子供向けの物がかなり置いてあるので。

 

ホドロフスキー作品でいっぱいの本棚(左)、ホドロフスキー全集1巻の『アンカル』作画:メビウス(右)

 

鈴木:

こちらの棚には、ホドロフスキーの作品も結構ありますね。

 

ティボー:

ええ、そうですね。『メタバロンの一族』も、メビウスと共作の『アンカル』も、もうこの棚全部、ホドロフスキーですね。お店の大黒柱です(笑)

 

 

鈴木:  

というわけで 皆さん、お店に来るとホドロフスキーとマナラはもちろんのこと、他にも様々な興味深いバンド・デシネやアートブックが見つかると思います。

 

ティボー:

うちでは立ち読みはOKです。お店に来ていただければ嬉しいですし、やっぱり本を見てもらうのが嬉しい。それはもうバンド・デシネの魅力は見て触らないとわからないですからね。

 

鈴木:

全くそうですね。ぜひ都内近郊の方はお店の方にいらしていただいて、実際にバンド・デシネを手に取ってご覧になっていただけるとうれしいです。今日はお二人とも、お忙しい中、ありがとうございました。

 

ティボー&ヨアン:

ありがとうございました。

 

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お店のある通りの名前は「きつね塚通り」。お店の名前「メゾン・プティ・ルナール」(子狐屋敷の意)はここに由来する。

 

MAISON PETIT RENARD(メゾン プティ ルナール)

住所:〒114-0023 東京都北区滝野川6-75-5 鈴木ビル

営業時間:月・火・木・金9:00~18:00/水9:00~13:00 /土14:00~18:00

定休日:日曜・祝日

HP(通販もこちら):https://www.m-petitrenard.com/

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ご存じの方も多いとは思いますが、ティボーさんのメゾン・プティ・ルナールが主催で、来月11/1と11/2に「東京ベデ・フェスティバル」が行われます。

東京近郊にお住まいで海外マンガに関心のある方は、奮ってのご参加お待ちしております!

【概要】

TOKYO BD FESTIVAL 2025

会期:2025年11月1日(土)、11月2日(日)

開催時間:10:00~18:00(最終受付17:00まで)

会場:東京国際フランス学園(東京都北区滝野川5丁目57−37)

アクセス:JR埼京線「板橋駅」東口徒歩7分 / 都営三田線「新板橋駅」A1より徒歩5分

入場料:入場料無料(サイン会、パネルディスカッションは有料・要予約)

専用ホームページ:https://bd-fest.com/

 

 

 

 

2025/10/17 14:04