image

鬼才ホドロフスキーと神絵師ミロ・マナラ
名作バンド・デシネ『ボルジアの血脈』を
翻訳出版したい!

ダーティ工藤監督「ボルジアの血脈」応援メッセージ

ご自身で緊縛を施したSM映画に特に定評がある映画監督であるだけでなく、映画評論家としても数々の著作のあるダーティ工藤さんが、アレハンドロ・ホドロフスキー作、ミロ・マナラ画『ボルジアの血脈』翻訳出版プロジェクトに、応援メッセージをくださいました!

工藤監督は、その幅広い映画史に関する見識を披露する「世界SM映画史」という連続講座を今年の初めから神保町で毎月一回開催しています。そこで、今回は映画という観点から本作『ボルジアの血脈』やミロ・マナラについてメッセージをいただきました!

 



バンド・デシネの巨匠ミロ・マナラが、15世紀ルネッサンス期の闇とも言うべきボルジア家を描いた「ボルジアの血脈」の翻訳出版クラウドファンディングが進行中である。

ボルジア家については多数の関連書が出版されているが、映画に関してはそれほど多くはない。一番有名なのはフランス、イタリア合作による1951年の色彩大作『ボルジア家の毒薬』であろう。監督は娯楽映画には定評のあるクリスチャン=ジャック。主演のルクレチア・ボルジアには当時監督夫人でもあったマルティーヌ・キャロル、兄のチェザーレ・ボルジアにはメキシコの国際スター、ペドロ・アルメンダリス、ルクレチアと政略結婚するが真に愛し合うようになるナポリ王国殿下アラゴンにマッシモ・セラート、その他若き日のモーリス・ロネ・クリスチャン・マルカン、ハワード・ヴァ―ノンも共演。歴史ものというよりも、今で言うところのエロス大作なので、随所に当時としては斬新な複数の全裸女性のシーンがあるのが嬉しい。そして何よりも主役のマルティ―ヌ・キャロルが油ののったヌードをふんだんに見せてくれるのが素晴らしい。特に入浴中に暴漢に襲われるシーンにおける彼女の全裸艶技は国宝級のエロさである。50年代後半のブリジット・バルドー登場以前は、マルティ―ヌ・キャロルがヨーロッパにおけるセクシー女優の女王であったのだ。ただ有名な毒殺シーンは抑え気味で、ルクレチアの女心のうつろいを中心に描かれているのが、いかにも当時の娯楽映画といった趣である。

ミロ・マナラは、巨匠フェデリコ・フェリーニと組んで彼の脚本を元に「トゥルムへの旅」と「G・マストルナの旅」という二つバンド・デシネ作品を描いている。これは、映画製作が中止となっていたフェリーニ自身の企画、脚本で、フェリーニ自らマナラに依頼してマンガ化したものだ。一方で、マナラ作品の映画化では、彼の出世作「ル・デクリック」を映画化した1986年の『レディ・ドール』しか見当たらない。これはフランソワ・トリュフォーの『柔らかい肌』『華氏451』などの脚本で知られるジャン=ルイ・リシャールの4本しかない監督作の1本である。ニューオリンズに邸を構える大富豪バーナード・カービーの妻は娘のような可憐な女性フロレンス・ゲラン。だが彼女はそんな生活に飽き飽きしており何より淫乱症であった。それを知った博士ジャン=ピエール・カルフォンは催淫リモコンを発明し彼女に色んな男たちを誘惑させまくる、といういかにもなソフトコアポルノ。催淫リモコンにより森の中で服を脱ぎ全裸になって男を誘惑するシーンは中々ワイルドな展開ですごくエロい。映画としてはかなりチープだが、終盤にマナラ自身による漫画なのか絵コンテなのかが、多数モンタージュされるのは、彼のファンとしては貴重ではないだろうか。

 

ダーティ工藤
1954年、北海道俱知安町生まれ。監督・緊縛師・映画研究家。中学時代に「奇譚クラブ」を知りSMに目覚めて緊縛を独習し始める。一方、映画にもハマりジョエル・マクリ―、ランドルフ・スコット、ジョン・ウェインを溺愛する。上京後は旧文芸坐、大塚名画座、東京クラブ、新橋文化、フィルムセンター(*現国立映画アーカイブ)などで映画を浴びるように観まくる。77年に人間狩りを描いた8mm映画『マッドハンター/恐怖の追撃』を初監督。80年末よりAVにも関わるようになり以降、約2千本以上のAV(9割がSMもの)を監督し緊縛師も兼ねる。映画本や映画もコンスタントに発表。現在自ら講師を務める「世界SM映画史」という講座を毎月ブックカフェ二十世紀神保町店にて開催中。
(映画)マッドハンター/恐怖の追撃(短篇)、『縄文式』『AYAKOの退院(短篇)』(以上99年)、『殺人無頼帖』(00年)、『縄文式2』(01年)、『東陽片岡のあま~い生活』『ふたつの女』(以上06年)、『東陽片岡のルサンチマン』(07年)、『石井輝男映画魂』『ぴんくりんく緊縛篇(二部作)』(以上10年)、『6059』(12年)、『赤い蝋燭』『ダーティ帝国(二部作)』(以上13年)、『女死力』(14年)、『にっぽりにっき』『懸想』(以上24年)、『寂寞』(25年)など
(書籍)「残縄画報」(98年)、「光と影 映画監督工藤栄一」(02年)、「大俳優 丹波哲郎」(04年)、「美少女・縄の記憶」(08年)」、「新東宝1947―1961」(19年)、「大俳優 丹波哲郎」(文庫版)、「丹波哲郎の最後の大霊界」(電子書籍)」(以上22年)など/共著は多数。
Xアカウント:https://x.com/dirty_kudo
次回9月15日の「世界SM映画史」:https://silent-film.org/calendar/6379104

 



クラウドファンディングは、早くも一か月以上が経過しました。
現在、支援者は171名、達成率は23%ほどです。
ご支援くださった皆さま、情報の拡散にご協力くださった皆さま、本当にありがとうございます。
特にXでいつも反応をくださる皆さまも、本当にありがとうございます。
とても励みになります。

先週の月曜日8/25、Dr.マクガイヤーさんのニコ生に出演させていただいて、本プロジェクトを説明させていただく機会がありました。
冒頭20分ほどお時間をいただき、楽しくおしゃべりしてきました。
マクガイヤーさん、素敵な機会をいただき、ありがとうございました!
こちらがリンクなります:https://www.youtube.com/watch?v=SCQ3b8k-fEw
未視聴の方はぜひご覧になっていただけるとうれしいです。

 

さて、まだ日にちがあるとは言え、ゴールはまだまだはるか遠く…、予断を許しません。
最後まで全力で頑張りますので、クラファンが成立するその日まで、どうか引き続き、ご協力のほど、よろしくお願いいたします!

 


 

2025/09/05 13:54