スペイン発の“おそおもしろ”コミックの翻訳出版プロジェクトを応援します!
こんにちは、スペイン語スクール・イスパニカの本橋と申します。サウザンブックスさんとはスペイン発のYA小説『ぼくもや』(ぼくを燃やす炎)プロジェクトの応援をきっかけにご縁がつながり、メキシコ生まれの絵本、『くろはおうさま』企画の発起人としてもお世話になりました。
私は大学でスペイン語に出会いました。決して優秀な学生ではありませんでしたが、大学卒業後もなんとなく勉強を続け、10年ほど前にご縁あって今の仕事をするようになりました。会社としては語学教室だけでなく、ニュース配信や、翻訳や通訳の手配なども行っており、モットーとして「日本とスペイン語圏を結ぶ架け橋」を謳っています。
そのため、スペイン語圏のものであればなんでも応援したくなってしまうのですが、「日本に紹介されるスペイン語圏のもの」というのは、少ないようで意外に多い。
たとえば東京ならスペイン料理店は選ぶのに迷うほどたくさんありますし、スペインや中南米の映画は実は年間何本も劇場公開されています。何より今は、ネットで商品でも動画でもアーティストでも、個人が良いと思ったものは直接に入手したり視聴したりということが簡単にできるようになってきました。
その一方で、あるいはだからこそ、と言えるかもしれませんが、「本当に良い」ものを多くの人に知ってもらうのはとても難しいことだというのを感じています。『くろはおうさま』のときも、世界中で何か国語にも翻訳されている絵本であるにもかかわらず、クラウドファンディングを成立させるのは決して簡単ではありませんでした。
そして、「本当に良い」ものというのはえてして「分かりにくい」ものでもあります。今回の翻訳プロジェクトは、ガウディをモチーフにしたサイコスリラー。ガウディは有名だけど、なんでホラー? 建物は美しいけど、写真じゃなくてなんでコミック?
簡単には分かりません。分からないからこそ、心の底からこの作品を「本当に良い」と思わなければ、発起人のマリアさんはクラウドファンディングに挑戦していないはずです。きっとこのコミックは、恐ろしいだけではなくて面白い、つまり“おそおもしろい”、深みのある
作品だという気がするのです。
マリアさんは、スペインの上質なコミックを日本に紹介したいと活動しているとのこと。そのマリアさんが見込んだ1冊、そしてこれまで数々の難しいプロジェクトを成功させてきたサウザンブックスさんを、私は今回も信じて応援しようと思います。
1996年、グエル公園にて
1996年、建設途中のサグラダファミリア
本橋祈(もとはし いのり)
スペイン語スクール・イスパニカの代表。過去にサウザンブックスにて、メキシコ生まれの絵本『くろはおうさま(El libro negro de los colores)』の翻訳出版プロジェクトの発起人を務める。著作に『基礎から学べる はじめてのスペイン語文法』(ナツメ社)等。https://www.hispanica.org/