日本国際漫画賞で審査員としてエメー・デ・ヨングの作品を高く評価してくださった一本木蛮先生、永野のりこ先生に続き、ついに三浦みつる先生からも応援メッセージをいただくことができました。
私がエメー・デ・ヨングの作品をクラファンのプロジェクト作品として選んだ理由は、日本国際漫画賞で優秀賞と最優秀賞を受賞した経歴がありながらも、彼女の作品を出してくれる出版社が見つからなかったことが大きな理由でした。日本マンガ界の歴史を作って来られた先生方が素晴らしい作家だと認めてくださっているのに、日本語で読んでもらえればエメーの凄さがわかってもらえるのに、海外マンガ、ましてやオランダのマンガは売り上げが見込めないという理由で出版が叶わない現状が、私はどうしても悔しかったのです。
三浦みつる先生をはじめとする、審査員の先生方に今回こうして温かい応援の言葉をいただけたことが本当にうれしく、ありったけの勇気を振り絞って発起人になってよかったなと思っています。
三浦先生のメッセージの中に「作者が若い女性で驚いた」というエピソードが出てきます。実は、これはオランダでも同じで、エメーのデビュー作『ハチクマの帰還』は、”女の子っぽくないマンガ”と評されました。というのも、オランダ(ヨーロッパ)のマンガ界は、伝統的に男社会。最近の女性作家の占める割合は25%ほどだということですが、エメーがデビューした10年前はもっと少なかったことでしょう。
しかも、女性作家は可愛らしい絵柄だったり、日常をテーマにしたエッセイマンガを描くことが多かったのです。そこに来て「若い女性作家」であるエメーが”女の子っぽくない”『ハチクマの帰還』で周囲を驚かせた、まさに鮮烈なデビューを飾ったことは想像に難くありません。
すみません、三浦先生のメッセージがあまりにもうれしくて、つい前置きが長くなってしまいました!
2019年に開催された第12回日本国際漫画賞の審査員として、エメーさんの応募作品「身体の老いとともに感情もまた老化する」を優秀賞として推薦させていただきました。
シニア世代の恋愛をリアルに描いた作品で、選考時にはそのタッチや語り口からてっきり年配の男性漫画家が描かれたものだとばかり思っていました。他の審査員も皆そう思い込んでいたようです。審査段階では公平を期すために経歴等の詳細は敢えて問わずというのが審査基準です。
来日され授賞式当日に初めてエメーさんとお会いしてたいへん驚きました。まだお若い(私たち審査員からみて)女性だったから。他の審査員の方々も同様に驚かれていたようです。作品の完成度から云えばまさにベテランの域。お話を聞けばすでにオランダ国内では数々の賞を受賞されているとのこと。これはもう並々ならぬ才能と脱帽した次第です。
懇親会でエメーさんの人柄を知り、改めてこの時の受賞作品を読み返すと、人物の表情や仕草など細やかな表現から愛情をもって描かれていることに気付かされます。
その後エメーさんの自国でのますますのご活躍と人気ぶりは、SNS等で時折拝見しておりました。残念ながら第15回日本国際漫画賞に関わることは出来ませんでしたが、エメーさんが再び優秀賞を受賞されたと聞きとても嬉しく思いました。
今回エメーさんの翻訳本が漸く日本でも読めるチャンス到来ということで、私も微力ながら真っ先にサポートさせていただきました。本来ならばもっと早くに翻訳出版されて然るべきだと前々から思っていました。是非ともこのクラウドファンディングを成功させて欲しいと切に願っています。きっとオランダ漫画界への大きな希望へと繋がるはずです。
三浦 みつる(みうら みつる)
1954年、横浜市本牧生まれ。
1972年、高校在学中に週刊少年ジャンプにてヤングジャンプ賞応募作「世にも不幸な男の話」でデビュー。
1976年から2年間、手塚治虫のアシスタントを務める。
1978年より週刊少年マガジンを中心に連載を開始。
代表作「The♡かぼちゃワイン」が1982年にテレビ朝日系列にてTVアニメ化。本作品で第7回講談社漫画賞少年部門を受賞。
2001年「コンビにまりあ」がTBS系列でTVドラマ化。他に「ココナッツAve.」「レンズマン」「愛しゃるリターン」など多数。
2015年にクラウドファンディングによる「バック・トゥ・The♡かぼちゃワイン」を自費出版。
2017年末をもって漫画家(ストーリー漫画執筆活動)引退。
2023年、手描き作家集団「マンガ☆ハンズ」を結成。
現在は絵本・イラスト等を創作執筆中。
公益社団法人 日本漫画家協会 常務理事
一般社団法人 マンガジャパン 監事
★好評販売中!
生誕70年記念、キャリア初の自選画集
書名:LOVELY GIRLS MIURA MITSURU ILLUSTRATIONS
著:三浦みつる
発売年月:2024年8月23日
ISBN: 978-4845640942
発行:立東舎
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The かぼちゃワイン:“元祖デカ女”エル誕生の裏側 作者・三浦みつるインタビュー
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