こんにちは。サウザンブックスです。岩手県で心理士として活動されている三浦光子さんから応援メッセージをいただきました。
臨床心理士として仕事を始めて35年。スクールカウンセラーや小児科など子ども領域で、子ども本人・保護者・学校の先生・支援者の心理的支援を行ってきました。2011年3月11日に発災した東日本大震災では、直後から岩手県教育委員会のスクールカウンセラーとして被災地の学校に出向いて支援を行い、2013年からは、被災地の子どもの心のケアと子どもの心理‐社会的発達を長期的に支援するために岩手県が設立した「いわてこどもケアセンター(岩手医科大学)」で児童精神科診療のサポートをしています。
被災後、岩手県は子どものトラウマ臨床に力を入れ、エビデンス(治療効果)があるとされる認知行動療法などを行ってきました。子どもは発達の途中なので、震災によるトラウマだけではなく、いじめ、家庭内での暴力の目撃、親同士の言い争いなど見たり体験したことについて大人のように状況を理解したり、対処法を考え選択すしたりできないため、大人以上に心が傷つきます。さらに子どもは心の傷つきを言葉で表現することができないので、不機嫌やイライラ、問題行動や不適応、学習の遅れ、不登校などであらわすしかありません。このため大人が早く気づき、理解し、ときには専門的な介入が必要です。私は、早期に発見し、知識を持ってかかわることで子どもがめきめき回復・成長し、情緒の安定、対人関係や学習に自分の持っている力とエネルギーを最大限発揮することがでる姿を見てきました。
「ターラと夢見る家庭生活」は、友人の臨床心理士から紹介をされました。作者のパボさんとの対談YouTubeをみました。フランスには在宅教育支援制度(エデュケーター:国家資格)があり、「心配な状況で支援が必要であると判断された子どもに対し、月5時間〜毎日1時間エデュケーターが一緒に過ごし、教育的支援をおこなうことで、(保健省によると)状況が悪化し施設措置になることに比べたら9000分の1のコストで済む」と知り、日頃から感じている早期発見と早期介入の仕組みの重要性を再認識し、日本全体でこれを共有することが必要と感じました。日本とフランスでは文化や子どもに関する法律の違いがあるとは思いますが、日本の子どもたちが、持っている能力を将来最大限に社会に生かすことができる大人に成長することを夢見て、この活動を応援します。
三浦光子(みうらみつこ)
公認心理師/臨床心理士/人間行動科学修士
岩手県教育委員会スクールカウンセラー、小児科、心理治療施設、児童精神科など子どもの領域で幅広く勤務。2011年の東日本大震災後は、岩手県教育委員会こころのサポートチームとして被災地の学校への心の支援を行い、2013年からは岩手医科大学いわてこどもケアセンター主任臨床心理士(現在は非常勤)。保護者支援と子どもの特性にあったかかわりを早期から行うことを目的に小さなカウンセリングルームを準備中。