こんにちは。
主にセクシュアルマイノリティ女性向けに活動している「パフスクール」のスタッフで、フリーランス編集ライターの山賀沙耶と申します。
本書では、主にセクシュアルマイノリティ女性にかかわるパートの一部の執筆を担当する予定です。
まず、この書籍の企画を立ち上げてくださったサウザンブックス社様、編著者の山縣さんに感謝申し上げます。
この書籍の企画については、クラウドファンディングが立ち上がる前に、山縣さんから「協力してほしい」という旨をちらっとお聞きしていました。
その詳細をクラウドファンディングのページで拝見したときにまず思ったのは、「“LGBT”のヒストリーブックを作るのに、ゲイ男性2人が編著者で大丈夫なのだろうか?」ということです。
近年特に、主流化されてきたゲイ男性を中心としたLGBTの運動の中で、セクシュアルマイノリティ女性の運動も草の根レベルで続いてきているものの、表舞台に登場する機会は圧倒的に少ないのが現状です。
それはLコミュニティの先輩に聞いた、「レズビアンの活動は、気がつけばいつも更地」という言葉に象徴されています。
LGBTのグループにおける主導権、残されている歴史的資料や研究者の数と研究の量、新宿二丁目の店の数、コミュニティ向けの雑誌やメディアの数などなどを比べても、このことは歴然としています。
そして、それ以上に男性ジェンダーの人と接していて感じるのは、「有能感」のようなものの違いです。
経済力、政治力、権力などさまざまな面で社会的に不利な状況に置かれている、女性ジェンダーを生きる人の多くは、「自分にはパワーがある」「自分はできる」と信じることが難しい傾向にあります。
なぜなら、この社会に生まれたときからさまざまな形で少しずつ少しずつ刷り込まれてきた「女性は男性より劣っている」というメッセージを、私たち自身が身体の芯まで内面化してきてしまっているからだと思います。
このような状況で、正直なところ、私がこの仕事を引き受けてもいいものか、またどのような形で引き受ければいいのかについては、非常に迷い悩みました。
あるコミュニティにおいてマジョリティ性を持つ人が主導権を握る場合、たとえ細心の注意を払ったとしても、こぼれ落ちてしまうものが出てくるのは想像に難くありません。
ゲイ男性2人が編著者を務める場合、よりマイノリティ性の高いあらゆるジェンダーやセクシュアリティの人を置き去りにしないものが作れるのかどうか・・・。
もう1つ、たとえ全体のほんの一部であっても、私自身が“セクシュアルマイノリティ女性”の看板を背負って、この仕事をまっとうできるのか、という不安もありました。
私自身、編集ライター歴は20年になるため作業面での不安はありませんが、運動史を語れるほどの活動歴があるとは言えません。
私以外にもっと適任者がいるのではないか・・・。
(ちなみに、制作側にセクシュアルマイノリティ女性が私1人というわけではありません)
しかし、もし私が引き受けず、制作側の多様性がより損なわれるのであれば、本末転倒です。
私自身が媒介となって、セクシュアルマイノリティ女性をはじめ、よりマイノリティ性の高い人々のストーリーを伝えることができれば、それで十分なのではないか。
そう考え、自分の持てる力の限りで、この仕事を引き受けることにしました。
また、山縣さんが「レズビアンや地方での活動など、今まであまり知られてこなかった部分に特に光を当てたい」と話してくださったことも大きかったです。
究極的には、「歴史」を書き残す作業において、何一つ取りこぼさないことは不可能です。
ただ、「完璧にできないからやらない」のではなく、まず1つ形にしてみることは、非常に大切な仕事だと考えています。
これから執筆を進めるにあたって、皆さんに時代状況やご自身の体験などについてお話をうかがいたいとのお願いすることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
また、これはぜひ記録に残しておきたいと思われることがありましたら、ご連絡いただければ幸いです。
できるだけ小さな声にも耳を傾けることを意識して、作業を進めていきたいと思います。
最後になりますが、クラウドファンディング終了まであと少し。
皆さまのご支援をよろしくお願いいたします!
「パフスクール」スタッフ
フリーランス編集ライター
山賀沙耶
達成率残り30台までもう少し...!
拡散協力をどうぞ宜しくお願い申し上げます。