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台湾発、中高年レズビアン17名の多彩な青春
『おばあちゃんのガールフレンド』を翻訳出版したい!

台湾から届いた二つの応援メッセージ

皆様、こんにちは。発起人の橋本恭子です。
皆様の暖かいご支援のおかげで、私たちのプロジェクトは予想よりも早く成立しましたが、最後まで新しい「活動報告」を皆様にお届けし、本書の魅力を少しでも多く知っていただけたらと思っています。

本日は台湾から届いた二つの応援メッセージをご紹介します。

まず、台湾国立政治大学社会福祉研究科教授・王増勇先生からいただいたメッセージです。王先生は本書「導入」部の共同執筆者のお一人です。この「導入」部にはこれまで知られていなかった同志(LGBTQ)運動以前のレズビアンの世界が紹介されており、同志運動前史の可視化という点で非常に重要です。

次に、本書が書評サイトOpenbookで2020年度「良書賞」を受賞した際、梓書房店主の曾淯慈さんが書いてくださった最終審査の講評です。本書のどのような点が高く評価されたのか、ご覧いただけると思います。
 


「やさしいおばあちゃん」というステレオタイプを超えて

文:台湾国立政治大学社会福祉研究科教授 王増勇
訳:橋本恭子

東アジアの儒教的な家父長制家族文化の下では、女性は年をとるとせいぜいやさしいおばあちゃんにしかなれません。そのため、高齢レズビアンの物語が語られる余地はなく、彼女たちの存在が一般社会で意識されることもほとんどありません。つまり、レズビアンは高齢になると、「やさしいおばあちゃん」というステレオタイプの背後に隠れてしまうのです。

彼女たちが経験した異性愛社会のタブーに対する様々な闘争や抵抗、挑戦の物語は、彼女たちが年を取るにつれ、語られなくなります。そのため、高齢レズビアンが自分たちの物語を語り始めると、長い間存在した壁に亀裂が入り、その隙間から見えてくるのは、真面目に生きてきたレズビアンがいかに勇敢に年を重ねてきたかということです。

本書『おばちゃんのガールフレンド』は、まさに伝統的な家父長制家族文化を打破する亀裂です。共通の文化構造の中で生きる私たちにとって、彼女らが歩んできた足跡をたどりながら、どのような未来を展開すれば、彼女たちがこれまでのような痛みを味わわないですむか、それを考えることが、私たち読者に与えられた課題でしょう。


台湾国立政治大学社会福祉研究科教授の王増勇さん
 


Openbook 2020年度良書賞・生活実用図書部門 最終審査講評

文:曾淯慈(梓書房店主)
訳:橋本恭子

「同志」「同性愛」「LGBT」という概念が登場するはるか以前から、人類の中には同性間の性欲や関係性が言葉のない悠久の先史時代のように長い間存在していました。今では同性婚法案が通過し、同志コミュニティも重要な里程標を通過していますが、私たちがひたすら耳を傾け続けない限り、世界の片隅に存在するかすかな声や忘れられた声が聞こえてくることはありません。
台湾でようやく、年配レズビアンのライフストーリーに着目した本が出てきたことは嬉しい限りです(ついでに声を上げておきますが、絶版になって久しい『レインボー熟年バス』が再版されるよう期待しています)。
『おばあちゃんのガールフレンド』は8年の歳月を要して完成したのですが、この高齢レズビアン・インタビュー計画の発起人が一番苦労したのはグループインタビューでも、それを書き起こすことでもなく、インタビューに応じてくれる人がいなかったことでした。年配のレズビアンは目立たないように生きることにすっかり慣れてしまい、女性であり同性愛者でもあるという二重のアイデンティティのため、家父長制社会で複合的な弱者になっていたと思われます。本書に登場する17人のおばあちゃんは、最年長が1938年生まれですが、この世代のいわゆる「ズボン女」〔男装をした男性的レズビアン〕の大半は異性と結婚していました。それが時代の縮図であったとはいえ、彼女らは死んだような人生に甘んじていたわけではありません。
本書は、一つ一つのおばあちゃんたちの物語の後に、執筆者とインタビュアーの自己紹介を付すことで、世代を異にする同志たちのライフヒストリーをひとつの集合的な物語に編み上げ、共著作品としての意義を持たせています。読者の皆様には、おばちゃんたちの虹色の物語を読み終えた後で、複数の執筆者による「導入」部を改めて精読することをお勧めします。閉鎖的で保守的な環境に育った年配レズビアンたちは常に孤独を感じていましたが、「導入」部の詳細な解説によって、私たちから孤立した存在ではないことがわかるでしょう。

引用元:https://www.openbook.org.tw/article/p-64259

Openbookは2017年2月に開設された書評サイトで、毎年「良書賞」(好書獎)を発表している。中国語創作図書、翻訳図書、児童及び青少年向け図書、生活実用図書の各分野10冊、合計40冊が選ばれる。

参照:https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=151&post=125962
http://taitaibooks.blog.jp/archives/27925831.html
 

プロジェクト終了の9/29(木)23:59まで、カウントダウンが始まっております!
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2022/09/28 12:10