皆様、こんにちは。発起人の橋本恭子です。台湾同志ホットライン協会で15年ほどボランテイアをしている莊蕙綺さんから応援メッセージをいただきました。過去のレズビアンの生き方を知ってはじめて現在の自分の立ち位置がわかり、さらに未来を創っていきたいという思いが感じられます。どうぞご覧ください。
先日、無事にプロジェクトは成立しましたが、最終日9/29まで、この本の良さをもっと多くの方に知っていただくよう頑張って参ります!
レズビアンたちの過去、現在、未来
文:莊蕙綺(台湾同志ホットライン協会 中高年同志ワーキンググループ・ボランティア)
訳:橋本恭子
「レズビアンは30歳を過ぎるとどこへ行っちゃうんだろう?」「ずっと以前、台湾社会の気風がまだ素朴だった頃、レズビアンたちはどんなふうに生活し、恋愛していたんだろう?」「インターネットもなく、同性愛を語ることもできなかった時代に、彼女たちはパートナーを見つけられたんだろうか?」これは30代を目前にした頃、私の脳裏をよぎった疑問です。「30歳、40歳を過ぎたレズビアンはどんな風に生活しているんだろう?」と。ところがなんと、今の私もれっきとした40代の中年レズビアンです(笑)。
高齢レズビアンへのインタビュー企画が持ち上がったとき、私は興味津々ですぐに参加しました。他に理由はなかったのですが、ただどうしても女性を愛する年上のお姉様たちと知り合いになって、彼女たちが歩んできた愛情と生活について尋ねてみたかったのです。幸運にも、私は数多くのお姉様たちにインタビューし、彼女たちの切実な思いに耳を傾け、彼女たちが熱く語る時の高揚した表情を目にすることができました。同性愛を語れない時代であっても、女性を愛するお姉様たちは、自らの心のままに愛を語り、生きてきたのです。彼女たちが味わってきた苦楽を、私たちは記録したのですが、次から次へと繰り出される物語には命の厚みがあり、台湾社会の進化と歴史の軌跡も垣間見えます。
『おばあちゃんのガールフレンド』が読者に教えてくれるのは、単に女性を愛する女性の生き生きとした人生だけではありません。彼女たちの物語の背景からは、台湾社会のかつての雰囲気を感じ取ることができ、隠さざるを得なかった同性への感情は現在まで続いているということがわかります。台湾の同志(LGBTQ)は結婚できるようになり、レインボーパレードでは陽光の中を歩きたいと願う人がますます増えていますが、『おばあちゃんのガールフレンド』が語っているのは、かつてのレズビアンの人生経験です。幸せだったことや情熱を傾けたこと、残念なこと、悲しかったこと、そして悔いのない思いなどなど。今の自分を改めて振り返ると、私は、私たちが手にした陽光を大切に思っているのか、それとも現実と無理解の中で相変わらずもがいているのか、わかりません。ただ、今の私たちがどんな喜びや悲しみの最中にあるとしても、『おばあちゃんのガールフレンド』を一人でも多くの人に読んでいただき、虹色に輝く未来を一緒に作っていきたいのです。
本書を通して、台湾のおばあちゃんだけでなく、日本のおばあちゃんがガールフレンドとつきあう物語も皆様に読まれ、理解してもらえるよう願っています。
莊蕙綺
台湾同志ホットライン協会でのボランティア歴は15年近くになる。参加したワーキンググループは年齢とともに変わってきた。20代前半は「家庭グループ」で同志の親子関係やカミングアウトについて理解を深め、30代間近になって「親密関係グループ」に入り、同志カップルの感情の問題を模索し、30代以降現在までは「中高年グループ」で高齢同志の老病死の問題に取り組んでいる。二匹の猫と暮らす日々。