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台湾発、中高年レズビアン17名の多彩な青春
『おばあちゃんのガールフレンド』を翻訳出版したい!

日本版の装丁イラストは、台湾のイラストレーター・漫画家の高妍(ガオ・イェン)さんの予定

日本版書籍のデザイン、イラストについて
loneliness books 潟見陽 


東京・大久保で、アジアのクィア、ジェンダーにまつわる出版物を扱っている本屋・loneliness booksの店主をしています。グラフィックデザインの仕事もしていて、サウザンブックスの本ではPRIDE叢書シリーズの『キミのセナカ』『トビタテ!LGBTQ+ 6人のハイスクール・ストーリー』、そして今回『おばあちゃんのガールフレンド』日本語翻訳版の出版が決まった際にも、本の装丁デザインを担当させてもらえることになりました。

『おばあちゃんのガールフレンド』は台湾で出版されて以来、loneliness booksでも輸入して販売してきた思い入れたっぷりの本です。本の解説にはこんなことが書いてありました。
「性的マイノリティの権利のための運動が大きくなって、社会はより多くの同性愛者を目にしてきましたが、55歳以上の中年や熟年の姿はまだめずらしいです。年配の同性愛者は今よりも困難な状況で、何を経験してきたのでしょう?そして今、どんな問題に直面しているのでしょう?
現代の若者は一般的に年配の同性愛者にステレオタイプなイメージを持っているかもしれません。権利を求める運動からもたらされた解放感を楽しむことができていなんじゃないか?または、ほとんどの年配の同性愛者は保守的な社会の中に住んでいて、孤独な生活を送っているのでは?と想像しています。 若者たちは今、性的マイノリティに優しい社会に住むことができて幸運だと思っているかもしれません。でも、この本を読むとそういったステレオタイプを覆していくことになるでしょう。」
自分にも思い当たることがあります。以前、80歳になる一人暮らしのゲイ男性の方から「僕は“寂しい”という感情がわからない。生きるのに必死で“寂しい”なんて考えてる暇がなかったからね。だから今、“寂しさ”を抱えている若者がちょっと羨ましいよ」と言われたことがありました。
世の中には見えていないだけで、無数の性的マイノリティの人生があります。
『おばあちゃんのガールフレンド』は、可視化されることが少ない、中年や熟年のレズビアンの人たちの暮らしや人生を知ることができる貴重な一冊になることでしょう。こんな風に生きたいと思える、憧れの先輩がたくさん見つかるかもしれません。日本語で読める日が今から楽しみです。

というわけで『おばあちゃんのガールフレンド』日本語翻訳版が出版されることになったら、どんな装丁にしようかと夢を膨らませています。ちょっとフライングして、実はもう、装絵を描いらいたいと、先日イラストレーターの方に会ってきました。
お願いしたのは台湾のイラストレーター・漫画家の高妍(ガオ・イェン)さん。日本でも『猫を棄てる 父親について語るとき』(著・村上春樹)の装・挿絵や、漫画『緑の歌 - 収集群風 - 』で大人気の作家です。
個展の開催で東京にやってきた高妍さんに目白のポポタムでお会いし、緊張しながら『おばあちゃんのガールフレンド』の装絵を依頼したら、「台湾の性的マイノリティの物語を日本に紹介できることがものすごく嬉しいので、ぜひ担当したい」と快く引き受けてくださいました。若い人たちの姿を瑞々しく描いてきた高妍さんが『おばあちゃんのガールフレンド』を読んで、中年や熟年の女性をどう描くのか、今からとても楽しみです。
きっと何度も読み返し、ずっと大切に持っていたくなるような美しい本になるはずです。


loneliness books
潟見陽

loneliness books


高妍(ガオ・イェン)さんに原書を持っていただきました。


『猫を棄てる 父親について語るとき』(著・村上春樹)




漫画『緑の歌 - 収集群風 - 』上下巻
 

2022/09/22 16:18