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台湾発、中高年レズビアン17名の多彩な青春
『おばあちゃんのガールフレンド』を翻訳出版したい!

物語はなぜ必要なのか?『阿媽的女朋友』の企画責任者の喀飛さんより

こんにちは、サウザンブックスPRIDE叢書です。
『阿媽的女朋友』の企画責任者の喀飛さんより、本書を企画した背景についてのメッセージが届きました!
 


物語はなぜ必要なのか?

文=喀飛、翻訳=橋本恭子

【喀飛】台湾のLGBT運動30年の歴史を総括した『台湾同運三十』(一葦文思出版、2021年)の著者。中高年ゲイのオーラルヒストリー集『彩虹熟年巴士』(虹色バス旅行)の主編、『阿媽的女朋友』(おばあちゃんのガールフレンド)の企画責任者、台湾同志ホットライン協会創設者・理事長。


 同志(LGBTQ)運動が進めているのは、社会とコミュニケーションを図り、性的少数者が平等な権利を必要とする理由を一般の人々に理解してもらうことです。コミュニケーションの方法は専門書に限らず、物語も理解を促進するための優れた方法です。性的少数者は社会的な圧力によりカミングアウトが困難なため、一般の人々は日常生活の中で彼ら彼女らの真の姿を知る機会がありません。彼ら彼女らの歴史を書き留める機会があれば、読者は性的少数者が過去に社会で経験した不公平な出来事や不平等な待遇の下でどのような苦境に直面しているかを理解することができます。これこそ、私が『台湾同運三十』を執筆した最大の動機なのです。

 2021年に上梓された同書で、私は台湾の同志運動に25年以上参加して経験した重要な出来事について書きました。同志運動の30年を10年ごとに区切って回顧し、各段階の特徴をまとめていますが、10年のスパンで観察したことにより、時代の変遷に伴って社会の趨勢や運動の関心がどのように変化してきたかが見て取れます。1990年から99年までは、様々な思潮と行動が火花を散らし、時代の波動から次なる時代が続々と生まれました。2000年から09年までは、社会的な対話が激烈に交わされ、同志運動は止むことのない闘いでした。2010年から20年までは、反対勢力が結集したことで争いが絶えず、次世代にとって歴史を振り返ることが闘い続けるための養分となりました。

 その間、台湾同志ホットライン協会のシニア同志グループが中高年同志のオーラルヒストリーの出版に携わり、2冊の書籍を世に出す経験をし、書くことの力をさらに信じるようになりました。

 2010年に出版された『虹色バス旅行』(基本書坊出版)では12人の中高年ゲイにインタビューし、10年後の2020年に出版された『おばあちゃんのガールフレンド』(大塊文化出版)では17人の中高年レズビアンにインタビューしました。インタビューを受け入れてくれた兄、姉たちが、戒厳令下の保守的で抑圧的な時代に、同性愛者の欲望の出口を見出し、同性愛者の生活をどのように実践していたか——結婚を迫る社会や家庭からのプレッシャーに抵抗したり、異性との結婚生活に隙間を見つけてどのように息をついていたか——お話ししてくれたことに感謝しています。一つ一つの物語によって、若い同志は上の世代が今とは違う古い時代をどのように歩んできたかを理解することができるでしょうし、語ってくれた中高年同志たちも一人ひとりが物語の中で生命の輝きと強さを解き放っています。

 同志コミュニティは主流社会のリソースを欠き、社会的状況の不利な立場にありますが、同志の平等な権利を勝ち取ろうとするとき、私たちが手にする最強の武器は、まさに書くことなのです。物語を書くことは、同志運動に参加するための重要なプロセスであり、アファーマティブアクションの完成を目指して積み上げていくべき手段でもあるのです。
 


『阿媽的女朋友』の企画責任者の喀飛さん

 

参加者は50名を突破しました!
クラファン成立まで拡散協力をお願い申し上げます。

2022/07/20 13:31