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ぼくはゲイ「なんか」じゃない…。
地方都市に暮らす男子高校生たちの苦しみや友情と恋心を、
リアルに描く『ぼくの血に流れる氷』を翻訳出版したい!

僧侶、メイクアップアーティスト、 LGBTQ 活動家、モデルと多面的に活動されている西村宏堂さんも「ボクモヤ」のファンだった!

こんにちは、サウザンブックスPRIDE 叢書です。スペイン大使館で先日まで開催されていた「SOMOS 多様性とLGBTQ+カルチュラル・ナラティヴ展覧会」がきっかけで、僧侶、メイクアップアーティスト、 LGBTQ 活動家、モデルと多面的に活動されている西村宏堂さんも、本書の姉妹作『ぼくを燃やす炎』のファンだったということを知り、急遽お電話にて、本シリーズについてのお話しをお伺いました!

 


PRIDE 叢書:スペインとも深い関わりをお持ちとのことで、『ぼくの血に流れる氷』の姉妹作『ぼくを燃やす炎』を読まれて、著者にメッセージを出されたとも聞き驚きました。スペインとの関わりについて少し教えていただけますか?

西村宏堂(以下:西村):実は、わたしの最初の恋は、オンラインで出会ったスペインのMurcia という街に住む男の子でした。高校生のときに、世界中からセクシュアル・マイノリティーが集まるチャット・ルームを利用していたのですが、そこで彼と知り合ってから、大学の春休みにはバルセロナに旅行したのが、スペインと関わりが深くなったきっかけになります。その後、その彼とは疎遠になってしまったのですが、スペインにはその後も度々行くことになり、多くの友人を作ることができました。偶然ですが、そうしてできたスペイン人の親友の名前がセルヒオなんです。『ぼくを燃やす炎』にも出てきますよね。

PRIDE 叢書:それは偶然ですね。著者にメッセージ出されたのも納得です。セルヒオさんとは、スペイン大使館の展示「SOMOS 多様性とLGBTQ+カルチュラル・ナラティヴ展覧会」で発表されていた、『ハイヒールを履いたお坊うさん』も一緒に手がけられていますよね。セルヒオさんをはじめ、スペインのご友人たちについてもお聞かせいただけますか?

西村:『ぼくを燃やす炎』にも、いろいろなキャラクターが登場しますが、わたしの友人関係とも少し似ていると思っていました。親友となったセルヒオの周辺にも、当然、元カレやその恋人や母親といろいろな人がいますからね。
すごく印象的なエピソードが一つあります。大学の冬休みにスペインにいった際、セルヒオたちとゲイクラブに行くことになったんです。まだ18歳のわたしたちがゲイクラブに行くだなんてセルヒオのお母さんにバレたらまずいかな…と心配していたんですが、そんな心配をよそにお母さんは、「お中空いたら食べてね!楽しんできて!また明日!」と、生ハムのサンドイッチを作って見送ってくれたんです。そのサンドイッチがまたすごく美味しくて!このことがきっかけで、後にわたしは両親にもカミングアウトすることができましたし、ありのまま生きる幸せを感じることに繋がりました。

PRIDE 叢書:小説『ぼくを燃やす炎』でもオスカルのお母さんが彼の背中を押してくれます。身近な人の応援や理解には、すごく勇気づけられますよね。日本はまだまだ、そういった環境にはないのかもしれません。本書を通じて、少しでも変えていけたら、悩む当事者の力になれたらと思っています。読者へのメッセージをいただけますか?

西村:『ぼくを燃やす炎』では、セクシュアリティについて悩むティーンの心境がリアルに描かれています。同じように悩む当事者がいるということが読み手に勇気をもたらしてくれると思います。なにより明るい未来につながるストーリーですしね!また、セクシュアリティについてとくに悩んでいない人にとっては、世の中にはさまざまな人がいて、自分と違う人がどういう想いを持っているのかを知るきっかけになってくれたら嬉しいですね。そのことが、多様性を認め合い、それぞれが尊重しあえる世の中に近づいていくことに繋がると思っています。

(聞き手:PRIDE 叢書 古賀一孝)



西村宏堂
1989 年東京生まれ。NY のパーソンズ美術大学を卒業。ミス・ユニバース世界大会やNY ファッションウィークなどでメイクを行い、世界的に高い評価を得る。2015 年に浄土宗の僧侶となる。LGBTQ 活動家として、国連人口基金本部、イェール大学、スタンフォード大学、増上寺などで講演を行う。日本語、英語、スペイン語を操り、NHK、 米CNN、英BBC をはじめとする国内外のメディアに取り上げられ、Netflix 番組「Queer Eye」にも出演。2021 年にTIME 誌「Next Generation Leaders」に選出された。著書に『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』がある。英語の著書 "This Monk Wears Heels" を出版。同著を独語、仏語、伊語、西語、エストニア語で出版予定。
https://www.kodonishimura.com/projects/spain/
 

2022/06/21 13:48