こんにちはサウザンブックスPRIDE叢書です。
『ホイッピング・ガール』翻訳出版プロジェクトへご参加いただき誠に有難うございます。現在、書籍制作につきましては、粛々と編集作業を進めているところです。
また、完成時期がみえましたら、こちらの「活動報告」にてお知らせ致します。
そして、ご存じの方も多いかと思うのですが、本プロジェクトの応援イベントにご出演いただいた、群馬大学准教授の高井ゆと里さんが翻訳された書籍『トランスジェンダー問題』(明石書店)が、この度刊行されましたので、ご案内させていただきます。
『ホイッピング・ガール』日本語版が出るまでに、こちらも読んでいただけますと嬉しく思います。何卒、よろしくお願い申し上げます。
『ホイッピング・ガール』クラファン協力者の皆さま。高井ゆと里です。このたび明石書店より、ショーン・フェイ著『トランスジェンダー問題』の翻訳を刊行することができました。『ホイッピング・ガール』に関心のある皆さまに手に取っていただきたい著作です。
『トランスジェンダー問題』(The Transgender Issue)の原著が出たのは2021年ですから、『ホイッピング・ガール』(Whipping Girl)とは14年の開きがあります。しかし、この2冊はお互いを補完するような関係にあると言うことができます。『トランスジェンダー問題』は、法律や制度などに埋め込まれたシスジェンダー主義が、いかにトランスたちを苦しめる「問題」となっているか、という構造的な問題を論じています。他方『ホイッピング・ガール』は、そうした差別的な構造がどのような文化や規範を生み出し、またそれらによって支えられているかを中心に解き明かしています。
トランスジェンダーの人たちが安全に過ごせない社会のありようを、1つの家のように喩えてみましょう。そうすると、トランスの人たちが玄関をくぐるのに苦労する、ソファに座れない、一生懸命手を伸ばさないと蛇口に手が届かない、使えるトイレが屋外にしかない、そのような問題のある建物の構造や、不適切な家具の配置について解説したのが『トランスジェンダー問題』です。他方で『ホイッピング・ガール』は、そうした家のなかを満たす、トランスの人たちにとっての敵対的な雰囲気を、気温や湿度、照明の明るさなどに注目しながら丁寧に読み解いていきます。
それらの悪い建物の構造や家具の配置、そして不快な温度や湿度、使い勝手の悪い照明は、当然ながらトランスジェンダー以外の人々にとっても厄介なものです。そのことの意味は、ぜひこの2冊を読んでご自身で確かめてみてください。
トランスジェンダー問題
議論は正義のために
ショーン・フェイ 著
高井 ゆと里 訳
清水 晶子 解説
https://www.akashi.co.jp/book/b612082.html