image

ニューヨークの地下鉄で自分の家族を見つけた
ある赤ちゃんとゲイ・カップルの実話
『Our Subway Baby(ぼくらのサブウェイ・ベイビー)』を翻訳出版したい!

『Our Subway Baby(ぼくらのサブウェイ・ベイビー)』プロジェクト成立しました!

昨夜、目標金額を達成して『Our Subway Baby(ぼくらのサブウェイ・ベイビー)』翻訳出版プロジェクトが成立しました!

皆様の温かいご支援、ご協力に厚くお礼申し上げます。怒涛のラストスパートをかけられたのも、皆様のお力添えがあったからこそと、深く感謝しております。

プロジェクトの締め切りは9/29(水)の23時59分までとなっております。
お得な価格設定や、オンラインイベントコースなどはファンド期間中のみの販売となりますので、お求め忘れのないよう周囲の方へもお知らせくださると幸いです。

また、早速、日本語版書籍の制作に向けての体制を整えて参ります!
制作の様子はこの活動報告の中でお知らせしていきますので、本の完成まで楽しみにお待ちくださいませ。 この度は、誠にありがとうございました。

 


 

(プロジェクト成立のお礼)

みんなの戦い
『フロント・ランナー』から『Our Subway Baby』へ
PRIDE叢書編集主幹/宇田川しい 


PRIDE叢書の第1弾である『ぼくを燃やす炎』のクラウドファンディングが始まったのが4年前のこと。一橋大学生がアウティングされ自死に追い込まれた事件が起きた少し後のことでした。ゲイであることを理由にいじめを受けている高校生のサバイブを描いたこの小説を翻訳出版することで、苦しんでいるLGBTユースの力になれないか。その思いがPRIDE叢書誕生の原動力になりました。

辛い経験をした時、小説や映画、音楽などによって救われた経験のある人は多いでしょう。私自身も若い頃に、ある小説を読んで勇気づけられた経験があります。パトリシア・ウォーレンの『フロント・ランナー』という小説です。アスリートとコーチのゲイカップルが苦難を乗り越えてアメリカ陸上界で活躍し、ついにはオリンピックに出場するこの物語は、ラストに衝撃的な展開を見せます。しかし、偏見と戦うその姿が、読む者に希望を感じさせてくれました。

1974年にアメリカで発表され、1990年に第三書館から日本語版が出版された『フロント・ランナー』の訳者こそ北丸雄二さんでした。プライド叢書の4冊目である『LGBTヒストリーブック』の翻訳を、その北丸さんにお願いすることになるとは若き日の私は思っても見ませんでした。

つい先だって人々舎から『愛と差別と友情とLGBTQ+』を著した北丸さんが、『LGBTヒストリーブック』と合わせて自分の仕事の3本柱になるだろうという思いで発起人に手をあげたのが『Our Subway Baby』です。

『Our Subway Baby』では20年前、実際に起きた出来事が描かれています。これはゲイ・カップルが家族を作り上げようとする話です。1974年に出版された『フロント・ランナー』でも家族を作る努力が描かれます。同じように家族を作る試みですが2つの物語はさまざまな部分で違っています。その違いを見ると、両者の間にある十数年という時間が経過するうちに、少しずつではあってもセクシュアルマイノリティの置かれた状況が良くなって来ているのだと感じます。

それはまさに戦い続けてきた人たちのおかげです。『フロント・ランナー』の主人公たちが、そして『Our Subway Baby』のダニーとピートが戦ってくれたおかげで今の私たちがあります。

PRIDE叢書の取り組みが始まってから4年。LGBTに対する差別はなくなってはいません。しかし、自民党の総裁選候補ですら4名のうち2名が同性婚に賛成せざるを得ないという事実は、世論の進化を示していないでしょうか。

戦い続けることで遅々としてではあるものの世の中は良くなっていく。これからもPRIDE叢書の刊行というささやかな戦いを続けていきます。そして、少しでもより良い世界を次の世代に残せればと願っています。今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。


宇田川しい
ライター。編集者。ゲイ・アクティビスト。LGBT関連の書籍をクラウド・ファンディングで出版するシリーズ、PRIDE叢書編集主幹。LGBTイシューをメインにマイノリティの人権やカルチャーについて考える雑誌『Over』編集長。

2021/09/28 10:53