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ニューヨークの地下鉄で自分の家族を見つけた
ある赤ちゃんとゲイ・カップルの実話
『Our Subway Baby(ぼくらのサブウェイ・ベイビー)』を翻訳出版したい!

プロジェクト成立目前!発起人・北丸雄二さんから最後のお願いです。

私が中学生の時に読んだ詩に、川崎洋さんの「存在」という詩があります。
教科書に載っていたんだったか、ものすごく強烈に憶えています。

「魚」や「樹木」や「鳥」や「花」にもシビレエイとか樫の木とか百舌鳥とかすずらんとか一つ一つ名前がある。だから「魚」と言うな、「樹木」と言うな、「鳥」と言うな、「花」と言うな、と言うのです。それはかけがいのない「存在」の実像を曖昧にしてしまう。だからちゃんと名前を呼べと。
そして最後に川崎さんはこの詩を次のように結びます。

さらでだに

「二人死亡」と言うな
太郎と花子が死んだ と言え

私たちは、一人一人顔を持ち体を持ち名前を持った人間として存在しています。それが見えない限り、すべては他人ごと、他所ごとになる。


ヨーロッパでまだ同性カップルが結婚できなかった国の1つだったスイスで26日の日曜日、直接民主主義の国民投票が行われ、64%以上の賛成で正式に同性婚が認められる運びとなりました。同時に同性カップルへの養子縁組や、同性カップルの一人が外国人だった場合の婚姻における国籍取得手続きも、従来の婚姻関係と同じ扱いを受けることになります。
64%以上! そこには一人一人、一組一組の人間存在が具体的に見えている人たちの共感が伴っているはずです。そこでは「同性婚」は自分に関係する人たちのことであり、他人ごとではなくなっていたのです。

おめでとう、スイス! スイスはこれで世界で30番目の同性婚合法化の国・地域になります。

同じことがアメリカでもいえます。オバマ政権下、2015年に同性婚ができるようになった2年前、2013年に、CNNの調査で57%の人たちが「自分の周囲の親しい友人や家族、親戚にLGBTの人がいる」 と答えました。これは画期的なことでした。人々はLGBTのことを自分に関係する人たちのことだと考えていた。それは名前を持つ自分の身近な人たちのことであり、つまりは「自分ごと」になっていたのでした。

知らない間に世界の人権先進国ではLGBTQ+の認知が進み、日本はどんどん置き去りにされてしまっています。どうして置き去りになっているのか、なぜ認知が進まないのか──それはひとえに「情報」の流通の差です。「周りにゲイもレズビアンもいない」「トランスジェンダーなんて見たこともない」、そう思っている人がほとんどのこの日本の「世間」で、当事者たちはそれでも数十年にわたってコツコツと情報提示を続けてきました。ゲイやレズビアンのカップルが声を挙げてその「存在」を身をもって提示し、渋谷や世田谷で同性カップルのパートナーシップが曲がりなりにも公的に認知された2015年から、今ではそのような自治体が(法的保障は全くないものの)120近くにも増えました。札幌地裁では今年3月、同性婚を認めないのは憲法14条の「法の下の平等」に違反するとも断じました。

そんな流れをもう一押ししたい。それにはまた「存在」の提示が必要なのです。
「ぼくらのサブウェイ・ベイビー」は、そんな「存在」の情報の1つです。パパ・ピートとダディ・ダニーと、息子のケヴィンという名前付きの、生きている人間たちの「存在」です。「存在」に勝る「情報」はありません。日本のことではないけれど、日本に向けて側面支援したい。それを絵本の形で、日本語でも、提示したい──。

出版の暁には、ニューヨークからパパ・ピートとダディ・ダニーにも参加してもらう出版イヴェントを計画しています。都合がつけばすでに大学卒業を控えるケヴィンにも近況を教えてもらいたい。日米の子育てや家庭環境の違いを話してもらったり、色々と皆さんからも質問があるでしょう。

そう、それは、太郎と花子が「存在している」という話になるのだと思います。

昨日時点でこの出版を目指すクラウドファンディングに参加して下さった方々は450人近くに達しました。特に女性の方々からの参加比率が高く、本当に頭が下がります。金額も180万円を超えました。お力添え、本当にありがとうございます。達成金額まであとそれでも40万円近く。最後の最後、なにとぞよろしくお願いします!

北丸雄二

 

プロジェクト成立まで残り10%台となりました!
出版の暁には、ニューヨークからパパ・ピートとダディ・ダニーにも参加してもらう出版イヴェントを計画中です。
コース変更やSNS拡散協力など、最後まで何卒宜しくお願い申し上げます。

2021/09/27 12:18