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自然派ワインの巨匠と仏マンガ界の鬼才
異質な二人の交流と発見を描く実録マンガ
『ワイン知らずマンガ知らず・仮』を翻訳出版したい!

本屋&一箱ライブラリーのこんぶトマト文庫さんから応援コメントが届きました!

本屋活動をしながら一箱ライブラリーとして本の貸し出しも行っているこんぶトマト文庫さんが、サウザンコミックス第3弾『ワイン知らずマンガ知らず・仮』翻訳出版プロジェクトのために応援コメントを寄せてくれました!
 


はじめまして、こんぶトマト文庫と申します。

本業で出版とは全く関係ない仕事をする傍ら、自分の時間を使って本屋活動をしています。
活動拠点は今のところ4つあります。
吉祥寺にあるブックマンションと西荻窪のBREWBOOKSでは貸し棚を一つずつ借りていて、新刊と古本を販売してます。
茅ヶ崎のBOOK PORT CAFEではブックカフェ店内に書店を開き、新刊販売のほか書籍の取り寄せも承ってます。
今月から、同じく茅ヶ崎のCの辺りにて一箱ライブラリーを借りて本の貸し出しも始めました。
時々原付の荷台に本を乗せ、「移動し続ける本屋」と称して移動型本屋もやってます。
形態や様式などをあれやこれやと模索しながら、自分や誰かの生活の中に本があるための活動をしています。

 
BOOK PORT CAFE内にある"80センチの本屋さん"こんぶトマト文庫
 

幼いころから漫画は好きだったのですが、年を重ねるにつれてだんだんと読む幅も広がっていき、その過程で海外マンガ、バンド・デシネの存在を知りました。
サウザンコミックス第一弾の『レベティコ -雑草の歌』を描いたダヴィッド・プリュドムの名前は、5年前に開かれた「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」という企画で知りました。
彼の絵に心打たれて是非とも読みたい!と思ったもののその場では売っておらず、調べても邦訳されたものは短編の日本ルポマンガのみ。
なんともやるせねぇ!となっていたのですが、サウザンブックス社というところのクラウドファンディングで待望の邦訳が出る(かも)ということで、始めたばかりのブックマンションでも全力プッシュすることにし、海外マンガとそれに近接したもので棚を作りました。
こちらは無事クラファン成立となり、去年の10月に刊行されました。表紙からして思わず笑っちゃうくらいカッコよく、是非ともお手に取って読んでみてもらいたい1冊です。
 

ブックマンションの棚(2020年1月)


そして今回の第三弾、『ワイン知らずマンガ知らず・仮』。
漫画家であり本作の著者でもあるエティエンヌ・ダヴォドーが、ワイン造りの漫画を描くためにワイン醸造家のリシャール・ルロワに弟子入りしてワイン造りの手ほどきを受ける一方で、エティエンヌがリシャールに漫画の世界を教えるという、互いに未知な世界を拓いていく話となっています。

リシャールのワインは普通のワインとは異なり、厳格な決まりと過酷な作業工程を要するオーガニックな農法「ビオ・ディナミ農法」というもので造られています。
人間都合の利便性を排したこの農法では「調合剤」と呼ばれる自然由来の肥料を、天体の動きに従ってブドウの木に与える作業が求められるそうです。
例えば、朝5時に集まっておおよそ3グラム程の調合剤を1ヘクタールの農地に散布する作業のような。3グラムといえばだいたいスティックシュガー1本分で、1ヘクタールというのはサッカーコート1面半くらい。
もう誤差じゃん、と言いたくなる位のそれを(エティエンヌが「えっマジでやるの?それを?」みたいなリアクション取ってるのが面白いし、対するリシャールのユーモアな返しも良い)、丹念に、じっくりと、陽が高く昇るまでブドウの木々に与え続ける。その他様々な、想像するだけで気の遠くなる作業を幾重にも行なう。その長い道のりの果てに、リシャールのワインは出来上がるそうです。

この辺りの経緯を読んで、個人的な心情からこの本をとても読みたくなりました。
僕は普段本業として、とある食品会社の製造工場で働いてます。
そこでは運ばれてくる原料も出来上がる製品も「工業製品」として扱われ、膨大な量の食品を省エネルギー省コストで生産する仕組みが取られてます。
たぶんこれは、リシャールが行なうものとはおおよそ真逆のもので、そして現代社会のあちこちで当たり前とされる営為でもあります。そうやって食品を工業的・機械的に処理することで、こと日本においてはどこへ行ってもおおむね食べるものに困窮する事がなく、安心・安全に「豊かな食」を享受できる社会が形成されてます。

それが悪いとは言わない、むしろ今の社会の成因の一つで、無くなると多分困ります。
ただ、「果たしてこれは本当に誠実な営為なんだろうか」と思う事もしばしばあります。
過剰生産になれば廃棄も出るし、可能な限り環境汚染を低減しようとしているもののゼロにはならず、製造に消費するエネルギーも膨大。そのどれもが人間由来の都合を優先させた結果のものです。
自然に対して誠実な営為とはあまり思えず、何より食と人との距離がとても遠い。

リシャールは星空に手をかざしながら「土や光もブドウの木の一部」だと語り、その関係を「永遠の絆」と称しています。大きな自然に最大限の敬意を払い、その賜物を享受する為に尽力する姿は誠実そのもので、自然を相手にする生産者としての矜持が窺えます。
食と人が遠いなと感じる今、もっと自分の手元に食を手繰り寄せる、もしくはもっと自らを食の袂へ向かわせるために、そして何より誠実な仕事人、職人の姿ってやつが大好きなので(エティエンヌにも同類の格好良さを感じます)、この本を読みたい。

なんか面白そうだな、と思っていただけたらとても嬉しいです。是非ともご支援のほど、よろしくお願いします。

 

こんぶトマト文庫
好きな漫画:豊田徹也
好きな音楽:ハヌマーン
好きな映画:エレファント
ホームページ:こんぶトマト文庫のふみくら


 

2021/07/28 13:50