本書の魅力をお伝えする先読みページの第二弾です。
今回は漫画家エティエンヌがワイン醸造家リシャールをフチュロポリス出版社の編集会議に招く場面をご紹介します。
ジャン・ジロー、ラピエール、メイエール、バル、 クリス、マエル、ジャン=ピエール・ジブラなどの名前があがり、彼らの作品が編集部で検討される様子は、バンド・デシネのファンには興味をそそられるのではないかと思います。
そんな会議の後、リシャールは自身のワインを振る舞い、彼らと意気投合します。それから遅い昼食を、馴染みの食堂で。すると、そこで出されたワインを、リシャールはテイスティングだけで銘柄を当てみせ、編集者たちを驚かせます。
食事の後、会社に戻った彼らは、再びリシャールを交えて編集会議の続きをします。
ワインとマンガ、一見相容れない世界を、互いに行き来することで少しずつ共通性が見出されていく、そんな一場面です。本書の魅力の一つに、互いの世界をじっくりと観察し、自然体で受け入れていく二人の寛容な姿があると思います。それはワインが時間をかけて熟成し、味わいを増すのにも似ている気がします。それが本書の、裏テーマでもあると言えます。
発起人・京藤好男
※ 吹き出しは京藤によるイタリア語版からの試訳です。