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エイズが死に至る病だった1990年代前半、
医療従事者や患者を描いた海外コミックス
『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』を翻訳出版したい!

発起人よりプロジェクト成立御礼のご挨拶

『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』翻訳刊行プロジェクト発起人の中垣恒太郎です。最終的に477名の皆様にご支援をいただきましたことにより、おかげさまで無事、クラウドファンディングの目標達成額に到達することができました。

スタート時からさまざまに応援をいただいてきた皆さま、そして、今回のプロジェクトを通してはじめてご縁ができました皆さま、ご関与いただきました、すべての方々のおかげです。心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』は、アメリカのカリフォルニア大学出版局から刊行されている、いわば、専門書です。

そして、作者であるMKさんからいただいたメッセージに、「『テイキング・ターンズ』がマンガで表現されていることによって、コミュニケーションの複雑な機微を理解でき、物語をより深いところで実感してもらえることでしょう」とありましたように、この作品は、マンガの表現を通して、言葉ではうまく伝えにくい複雑な機微を表現しようとする試みです。

決して、「わかりやすい」物語でも、ヴィジュアルで魅了するタイプの作品でもないにもかかわらず、世界のマンガを紹介する新しいレーベル「サウザンコミックス」第2弾として抜擢いただき、477名もの皆様に「読んでみたい」というご支持をいただくことができました。日本には豊饒なマンガ文化がありますが、それでもなお世界のマンガの多彩さはとても新鮮に映ります。世界の認識のあり方を変えてくれる示唆をもたらしてくれるかもしれません。その意味でも、「サウザンコミックス」のレーベルから、ユニークなこの作品をお届けできますことをあらためて光栄に思います。

『テイキング・ターンズ』の作者、MKさんは「一緒に描こう」というワークショップの実践者でもあり、絵を描くことを通して「表現する喜び」を広げていく活動を展開しています。『テイキング・ターンズ』はさまざまな読みどころに満ちています。看護師による回想録として、1990年代アメリカのHIV/エイズケア病棟をめぐる貴重な証言録として、ケアする者とケアされる者との理想的な関係性について、絵を描くことによるヒーリング効果について……など、皆さまとこの作品について感想やご意見を交わさせていただけます日を楽しみにしております。

 

さらに、この翻訳刊行プロジェクトを通じて、オリジナルZINE(小冊子)『海外のグラフィック・メディスン作品ガイド』(日本グラフィック・メディスン編)の刊行企画も新たに生まれました。

 

また、私が代表をつとめております日本グラフィック・メディスン協会による一事業として、『日本の医療マンガ50年史 マンガの力で日本の医療をわかりやすくする』(さいかす)の刊行も予定されています。

2020年度までに刊行された「日本の医療マンガ(+海外の翻訳作品)」を扱うものなので、2021年秋に刊行予定となる『テイキング・ターンズ』はレビューの対象外となるのですが、コラムにて言及をしています。皆さまのご支援のおかげで、『テイキング・ターンズ』については、「未訳」ではなく、「近刊」として記載できることになりました。 

  

(制作中の『日本の医療マンガ50年史』)
 

『テイキング・ターンズ』プロジェクトをきっかけに、作品の読書会、トークイベントはもちろん、グラフィック・メディスン、医療人文学、世界のマンガ/医療マンガの比較文化、HIV/エイズの歴史をふりかえる場など、ここから皆さんとさらに新しい活動をご一緒させていただけますことを願っております。

そのためにも、これから翻訳刊行に向けて制作準備を進めてまいります。

あらためて、ご支援ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


2021年3月3日

中垣 恒太郎

 


 

皆さん、こんにちは! サウザンコミックス編集主幹の原です。

 

おかげさまでサウザンコミックス第1弾ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』に続き、第2弾としてMK・サーウィック『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』を翻訳出版できることが決まりました!

 

ご支援いただいた皆さん、本当にありがとうございました! 従来の商業出版の枠組ではまず確実に翻訳出版できなかったであろうこの作品をサウザンコミックスから出せることになって本当にうれしいです!

 

発起人を務めてくださった中垣恒太郎さんは日本グラフィック・メディスン協会の代表として、グラフィック・メディスンというムーブメントを日本に紹介する活動をされています。本書『テイキング・ターンズ』は、まさにそのグラフィック・メディスンの精華とも言うべき作品です。皆さんのご支援で成立したこの作品の日本語訳を足掛かりに、日本におけるグラフィック・メディスンはいよいよ盛り上がっていくことになると思います。『テイキング・ターンズ』の日本語版とグラフィック・メディスンの今後にどうぞご期待ください! 僕もサウザンコミックスの活動と並行して、中垣さんのお手伝いをちょくちょくしていければと思っています! ゆくゆくはぜひ皆さんにもグラフィック・メディスンの運動に関わっていただけたらうれしいです!

 

それにしても、改めて、第1弾の『レベティコ』と第2弾の『テイキング・ターンズ』は、一見した限りおよそ何の関係も感じられない、まったく違う作品ですね(笑)。ですが、このまったく違うということが重要です。何しろ世界にはめちゃくちゃ多様なマンガがあるわけですから! サウザンコミックスはこれからも世界のマンガの多様性を紹介するレーベルとして、世界中のさまざまなマンガをクラウドファンディングを通じて、皆さんと一緒に翻訳出版していきたいと思います! 今後ともどうぞサウザンコミックスをよろしくお願いいたします。

 

サウザンコミックス編集主幹

原正人

 

 

2021/03/03 14:04