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エイズが死に至る病だった1990年代前半、
医療従事者や患者を描いた海外コミックス
『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』を翻訳出版したい!

東京都大田区にある古書店タバネルブックスさんにプロジェクト応援インタビュー!

タバネルブックスさんは東京都大田区にある絵本、イラスト集、アート/デザイン本の洋書を中心に扱う古書店。商品の中心は洋書ですが、和書も販売していて、その中には日本のマンガや海外マンガの翻訳も含まれています。とてもありがたいことにサウザンコミックス第1弾ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』をご支援いただき、一般発売されてからは、店頭で販売もしてくださっています。
サウザンコミックスの目標は、なかなか日本語に翻訳されない世界樹のマンガをクラウドファンディングを通じて翻訳出版することですが、そのためには海外マンガに興味を持ってくださる仲間を増やしていくことも重要です。タバネルブックスさんはまさにそんな仲間。ということで、店主の中野さんに一問一答形式でインタビューしました!

 


Q:タバネルブックスさんはどんなお店なのでしょう?

チェコやフランスなど洋書絵本やアート・デザインを中心に、小説やノンフィクションなどの読み物、コミックなどを取り揃えた古書店です。基本的には古本ですが、最近はサウザンコミックスさんの活動などを知り新刊も少しずつ仕入れてみようかと思っています。

タバネルブックスWEBサイト

 

タバネルブックス外観


Q:いつ頃、どんな経緯でオープンしたのでしょう? 

オープンは2019年の11月です。ちょうどコロナがドバッと流行る前でした。大学生の頃ブックデザインの道を目指していたのですが、大学の授業自体が無くなってしまったんです。ですが本にまつわる仕事はしていたくて、自分でモノを作り出す以外で選書をし本屋をやることもひとつの表現方法だなと思ったのと、もともと本屋さんという紙の束に囲まれている空間自体が好きということもあったのでお店をやることになりました。
 

タバネルブックス内観


Q:絵本やイラスト集、アート/デザイン本に混ざって日本のマンガや海外のマンガも置いてありますね。日本のマンガはともかく、海外のマンガを置いている書店はそんなに多くはないと思います。もともと海外のマンガはお好きだったのですか?

高校時代に本屋さんでマルク=アントワーヌ・マチューの『レヴォリュ美術館の地下』(大西愛子訳、小学館集英社プロダクション、2011年)というフランスの漫画を初めて見かけた時に日本コミックとは全然違う構成に衝撃を受け、そこから海外マンガは個人的にお小遣いで買ったりしてました。
 

日本のマンガや海外マンガの棚


Q:特にお好きな海外マンガがあれば、ぜひ教えてください。

クリス・ウェアの『ジミー・コリガン』(全3巻、山下奏平、中沢俊介、伯井真紀訳、PRESSPOP GALLERY、2007~2010年)がグラフィックと書籍の細かい遊びが面白くて好きなのと、パコ・ロカの『皺』(小野耕世、高木菜々訳、小学館集英社プロダクション、2011年)、マリオン・ファヨールの『L'homme en pièces』(Marion Fayolle, L' Homme en pièces, Magnani, 2016)や、マルジャン・サトラピの『鶏のプラム煮』(渋谷豊訳、小学館集英社プロダクション、2012年)、マルク・アントワーヌ・マチューの『3秒』(原正人訳、河出書房新社、2012年)などなど...どんどん好きなものが増えていきそうです。


Q:サウザンコミックス第1弾ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』をご支援いただき、ありがとうございました。本が届いたときの感想はいかがでしたか?

最初見たときはやはり装丁の印象が強かったですね。フランス語版は白い背景に木版の様なイラストでスイスの画家ヴァロットンにも似た表紙でしたが、日本語版は濃いめのオレンジ背景にグラスを額に打ち付けた人のコミックのワンシーンが使われていたので、かなりインパクトがあり、内容を読む前にワクワクが止まらなかったです。


Q:サウザンコミックス第2弾は現在クラウドファンディング中のMK・サーウィック『テイキング・ターンズ』です。中をじっくりお読みいただいたわけではありませんが、実際に本をご覧になってどんな印象でしょう? よかったら何か応援メッセージをいただけますでしょうか?

本でノンフィクションを割と読むのですが、文字のみだとやはり画像としてのイメージがない分想像して読み進めなければならないのでかなり体力がいります。ドキュメンタリーの映像も見ますが、映像がリアルな分苦手な方も中にはいらっしゃるそうなのです。ですがコミックで読むことによりその時の実際の情景や、雰囲気が伝わりやすくなるので読み進めやすいのと、今回の『テイキング・ターンズ』はイラストも軽やかで見やすい色使いなので読者の方も世界観に入り込みやすいのではないかなと思います。
今のコロナ禍でもそうですが、医療というは遠い世界の科学的な話ではなく私達の常に身近にあり様々な問題に繋がっていく...その様なことを考えるきっかけを与えてくれる漫画を日本語で読めるのを楽しみにしています。


Q:このコロナ禍で通信販売に力を入れている書店さんもありますが、タバネルブックスさんはいかがですか?

店舗と同時にオンラインは作っていたのですが、更にオンラインを充実させていこうという思いはやはりあります。更新頻度を上げたり、ご希望の多い商品の再入荷のお知らせや、本の情報を付け足してみたり、移動が難しい状況でもなるべく楽しんでいただける様に工夫をしています。


Q:お店の中央には机と椅子が設置されていて、イベントもできそうですね。やはりコロナ禍でリアルのイベントはしにくい状況ですが、今までこんなことをしてきたという具体例、あるいは将来的にはこんなことをしてみたいという計画はおありですか?

もともとワークショプ・イベント等行うために机を置いていたのでコロナが流行しなければ、今頃はリアルのイベントをどんどんやっていこうと考えていたのですが......。オンライン上でも工夫してこの場所を使って何かできたらいいかなと思っています。今回がドキュメンタリー漫画なので、ノンフィクションジャンル縛りで海外漫画を紹介していただき参加者の皆様の質問に答えつつ進むイベントなどですかね...むしろ自分が参加したい。
コロナが終息したら、リアルイベントはやりたいですね。

 

お店の中央に設置された机と椅子


Q:まだ日本語には翻訳されていないけど、ぜひ翻訳してほしいという海外マンガがあれば、教えてください。

チェコのアルゴ社から出ているカレル・チャペック、カテジナ・チュポヴァーの『ロボット』(KAREL ČAPEK, KATEŘINA ČUPOVÁ, R.U.R., Argo, 2020)です。カレル・チャペックの演劇を元に作られているそうで、お知り合いの方に教えていただき興味が湧いています。あとはドキュメンタリーの漫画がもっと読んでみたいです。


Q:最後に、このインタビューを読んでくださっている方に何かメッセージがあればぜひ!

様々な国の海外コミックを日本語で読めるというのは本当に貴重な体験でありがたいことだなと洋書を扱っているお店としても一人のファンとしても感じています。
なので私も応援させていただきたいのと、そんな体験をしてみたいと少しでも感じてくださる方がいたらぜひこの企画もこれからの翻訳企画も応援、ご支援いただければいいなと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

店主の中野さん


タバネルブックスさんは閑静な住宅街にあるとてもステキな本屋さんなので、機会があればぜひ訪れてみてください! オンラインショッピングもご利用いただけます。営業時間など詳しい情報はWEBサイトやTwitter、Instagramでご確認を! 近い将来、MK・サーウィック『テイキング・ターンズ』の日本語版をタバネルブックスさんで取り扱っていただけるのを楽しみにしています!
 

2021/01/12 17:18