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韓国で美しい単行本になり、台湾・フランスでも翻訳された、
ボーイ(ズ)ラブコミック『キミのセナカ』を日本語で書籍化したい!

発起人・潟見陽より制作状況のご報告(その2)

こんにちは、大変ご無沙汰しております。あっという間に11月も中旬になってしまいました。今年はコロナ禍で例年以上に時間の積み重ねの実感がなく、カレンダーを見ては驚く日々です。

みなさまにご支援いただいた『キミのセナカ』の進行状況ですが、先週、野原くろさんが描き下ろしてくださった新コンテンツが完成しました。これからその新コンテンツを加えた装丁のデザイン作業に入ります。年末年始に印刷工程まで進み、1月中にはお手元に届けられるよう計画しておりますので、もうしばらくお待ちくださいませ。

そして『キミのセナカ』に続くPRIDE叢書シリーズ、台湾のレズビアンのお母さんと娘の物語『我和我的T媽媽(同性愛母と私の記録・仮)』のクラウドファンディングが、本日11月16日が最終日です。もう一押し残り数パーセントまできています!ぜひご参加いただけたら幸いです。

 



さて久しぶりの活動報告では、レズビアン女性を描いた韓国映画『ユンヒへ 윤희에게/Moonlit Winter』のことを紹介させてください。

映画の舞台になっているのは『キミのセナカ』と同じ北海道“小樽”で、韓国と日本の素敵なコラボレーションで生まれた作品でもあります。公開された韓国では、これまでになかった中年女性のクィア映画として絶賛されました。何よりこの映画のことを「本当に素晴らしい映画だから、ぜひ観てください」と、昨年末いち早く教えてくれたのが、『キミのセナカ』を制作・出版した6699pressのイ・ジェヨンさんでした。

『パラサイト』『はちどり』『詩人の恋』と本当に心に残る韓国映画に今年もたくさん出会いましたが、『ユンヒへ』にはもう、心を射抜かれました、たまらなく素晴らしかったです!

“まもなく巣立ちを迎える高校生の娘を育てたユンヒ(キム・ヒエ)のもとに、ある日一通の手紙が届く。その手紙を読み、心の奥にしまっていた初恋の記憶が蘇るユンヒ。それは20年前、連絡を絶ち日本へ行ってしまったジュン(中村優子)からの手紙だった…”

主人公のユンヒとジュン、二人に共通するのは本当の気持ちを隠すことに慣れ、家族であれ誰であれ、いつも壁を一枚隔てたような距離を取ってしまうこと。

だから手紙を出すのに20年もかかってしまうし、親しい人とのハグもぎこちなくなってしまう。中年おじさんの僕も恐縮ながら、スクリーンに映るユンヒとジュンにシンクロして、雪景色の小樽に、まるで自分が佇んでいるようでした。

離婚したユンヒの元夫は、彼女のことを「人を寂しくさせる人だ」と言う。娘は「お母さんは寂しい人に見える」と言う。ああ、なんて辛いことを言うの…。

寂しいと形容されたのは、きっとユンヒの心の中にある壁の存在なのでしょう。

『キミのセナカ』のコウタロウみたいに、おおらかに相手に心を開いて、考えるよりも先にハグできるようにな人間になれたら、どんなによかっただろうと思う。
 

映画『ユンヒへ 윤희에게/Moonlit Winter』。繊細な心を優しい眼差しで描いた脚本も演出も音楽も、そして俳優さんたちの演技も本当に素晴らしい作品でした。主演の二人はもちろん、娘とボーイフレンド役の若い俳優二人も可愛いかったし、ジュンの叔母役を演じた木野花さん、ユンヒの元夫役のユ・ジェミョン(『梨泰院クラス』の会長さん)さんがまた、しみじみと良かったです。なかなか今は行けませんが、いつか雪景色の小樽に行ってみたくなりました。

とここまで絶賛紹介しながら、今後どこでこの映画が観られるのかといいますと、まだ日本での上映権は買われていないそうなのです…なぜ???こんなに素晴らしい映画なのに!!! 今、いろいろと働きかけているところですが、サウザンブックスさんでも上映権、検討してみませんか?

『ユンヒへ 윤희에게/Moonlit Winter』のメイキングブックや脚本集をloneliness booksで取り扱っていますので、ぜひ!

ユンヒへ 윤희에게(Moonlit Winter) / メイキングブック

2020/11/16 15:40