こんにちは、サウザンブックスです。本日、『アル・シャーと時の終わり』の発送作業を終えました。もう少しでみなさんのお手元に届きます。
著者のロシャニー・チョクシーより日本の読者の皆さんへメッセージが届きましたので紹介します。
読者のみなさんへ
みなさんに打ち明けたいことがあります。あなたがいま手にとっているこの本は――あ、もしかすると「手にとった」んじゃなくて、耳とかかぎ爪とか、そのほかいろんなものでめくっているのかもしれませんが――じつはおなかをすかせた「野生の物語」なのです。
「なにいってんの? どう見たって、ただのお話だよね」ですって?
コホン、ああ、そうですか……では明日、あなたが今夜置いた場所にこの本がそのままあるかどうか、たしかめてみましょう。
わたしがいいたいのは、物語は生きものだ、ということです。それも、とても感じやすいものです。「ただのお話」なんてものはありません。それが、打ち明けたいことです。
これまでわたしが書いてきたたくさんの物語と同じように、この物語も生きているとわたしは思っています。この物語は、いまも多くの人が実際に信じている宗教、ヒンドゥー教を下じきにしています。そのことを、読者のみなさんに知ってもらいたいのです。
ヒンドゥー神話のもっとも美しい面のひとつは、神聖なものと深く結びついているところです。わたしはヒンドゥー教の信者のひとりとして、この本を書くにあたり、神話について想像の翼をひろげつつも、その神聖さをそこなわないように気をつけました。
この本に出てくる神々の多くは、紀元前1500年ごろに始まるヴェーダ時代からインド各地でその伝説が語られ、人々が耳をかたむけてきたものです。(多くの学者によると、それらヴェーダ教の神話が、ヒンドゥー教の土台になったそうです。)そういうわけでこのシリーズには、こんにちヒンドゥー教でもっともよく知られているドゥルガー、ヴィシュヌ、シヴァといった神々はあまり出てきません。
この物語は、地域ごとにすこしずつニュアンスがことなり、それぞれに美しいヒンドゥー教の教えやヒンドゥーの神話を紹介するためのものではありません。むしろこの物語を、光がもれてくる小さな窓のようなものと考えてください。この物語を通してさらに広い外の世界をのぞきみると、さまざまな物語や伝説の大海原がいっそう輝いているのが見えるはずです。
語り部は、愛するものに応えるものです。わたしが子どものころ一番好きだったのは、おばあちゃんから聞いた神々や英雄や魔物が出てくる物語でした。わたしにとってこのシリーズは、そんな愛しい物語や愛しい祖母への手紙……そう、長いラブレターなのです。
この作品があなたの好奇心を刺激し、想像力をくすぐり、願わくば、あなたの心のかたすみに忍びこみ、そこにいつまでもとどまりますように。
愛をこめて
ロシャニ―
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