『CHICANO SOUL』日本語版クラウドファンディングをご支援戴いた皆様へ。
発起人・翻訳者の宮田です。進捗状況をお知らせ致します。
基本的な翻訳はあと数ページを残すのみとなりましたが、あらためて濃密な情報をもつ本書の内容に驚かされています。最初にもお伝えしましたが、主に1960年代から70年代初頭、アメリカ南西部のメキシコ系アメリカ人のコミュニティで何が起きていたのか、当時10代だった名もなき若者たちがバンドを結成し音楽を奏でるというドラマを通して、ひとつの民族史ともいえる繊細かつ壮大なストーリーとして綴られています。
敢えて言うまでもありませんが、そもそもアメリカ大衆音楽の成り立ちは、各ローカルの音楽シーンに立脚しています。黒人音楽が、ハーレム、ニュージャージー、ニューオリンズ、シカゴ、デトロイト、ヒューストン、ロサンゼルスなど各大都市の黒人コミュニティのなかで独自の発展を遂げたように。メキシコ系の人口は、今や3700万人にも達するほどの勢力をもっていますが、未だに音楽的な側面から全体を俯瞰するガイドは見当たりません。ストリートの音楽・現地事情通が書いた本書がアカデミアをも圧倒するほどの評価を獲得した理由にも、あらためて想いを至らす次第です。
引き続き、『CHICANO SOUL RECORDING & HISTORY OF AN AMERICAN CULTURE』という本書の長いオリジナル・タイトルに著者、ルーベン・モリーナ氏が込めた意味をもう一度噛みしめながら、翻訳作業を仕上げていく予定です。
今後も、制作状況についてはこちらの「活動報告」にてお知らせして参ります。
本書の紹介を含め、「チカーノ音楽・文化」の魅力をお伝えするために、2月20日DOMMUNEに2時間ほど出演します。時間など詳細はわかり次第お伝えします。ぜひ渋谷の会場にも足をお運びください。タイトルはかつてのremix誌での私の連載コーナー名「チカーノ偏愛入門」とのことです。お楽しみに。