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10代レズビアンのリアルな青春とサバイバルを描いた映画原作小説
『The Miseducation of Cameron Post』を翻訳出版して若者に届けたい!

LGBTQ当事者でもなければallyと言われる支援活動家でもない僕がこの本を出したい理由(発起人:菊池誠)

こんにちは、サウザンブックスPRIDE叢書です。
ご支援いただいているキャメロンプロジェクト、終了まで残り半月日ほどで、
もうあと半分ほどの達成率で出版決定という状況です。
必ずや出版できますよう、より多くの方々に本書の魅力をお伝えできるよう、
プロジェクト発起人の菊池誠さんに、なぜこの本を出したいのか?改めてその想いを綴っていただきました。

 


"The miseducation of Cameron Post"の第1章、もう試し読みしていただけましたか。まだのかたはぜひ読んでみてください。生き生きとした描写、でもクールな訳文に引き込まれること請け合いです。まだ子どものキャメロンの心の動きが描かれていますが、これだけでも相当面白い作品だなということは分かっていただけるでしょう。続きも読みたくなりますよ。

■公開中の一部読み原稿(第1章)

そうそう、映画「ミスエデュケーション」もぜひご覧下さい。映画になったのは原作の後半だけですが、エッセンスをかなりうまく捉えていますし、クロエ・グレース・モレッツ(最高!)を筆頭に、若い役者たちの演技も魅力的です。

さて、LGBTQの当事者でもなければallyと言われる支援活動家でもない僕がLGBTQをテーマにしたこの小説を推しているのはどうしてなのか。

純粋にいい作品だからというのはもちろんです。教条的でもなければ押し付けがましくもなく、ただキャメロンという少女のまわりで起きるできごとが描かれていきます。

キャメロンはごく普通の女の子です。冒険やいたずらもするし、恋もする(女の子にだけど)。悲しいできごともあります。万引きしたりマリファナを吸ったり、ってこれは普通なのかどうか僕にはわかりませんが。とにかく、そういう女の子が物語後半ではかなり理不尽な目に遭いつつも、悩んだり怒ったりしながら、仲間との友情を育んで生きていく姿に共感を覚えます。

そして、やはりこれがマイノリティのアイデンティティの物語だということです。後半、同性愛矯正施設でキャメロンが出会うのは同性愛に限らず様々な意味でのマイノリティです。それだけに、直接にはLGBTQを扱ってはいますが、もっと普遍的なテーマを読み取ることもできるでしょう。誰であれ、あるがままに自由に生きたいと思うじゃないですか。誰であれ、多かれ少なかれ何かはみ出したところがあって、それと折り合いをつけたりつけられなかったりしながら生きているわけです。

キャメロンはたまたまレズビアンだったけれども、それはいろいろ置き換えて考えることもできるはずです。だからたぶん、この物語には誰でも共感できるところがあると思いますよ。その意味では、キャメロンはどこにでもいるのです。

今SF(サイエンスフィクション)ファンの間では「百合」がブームになっています。この括りもどうなのかなと思うところはあるのですが、とにかく女性同士の恋愛ものが受け入れられるようになったのはいいことなのでしょう。

このキャメロンの物語はそういう意味での「百合もの」ではありません。前半にこそ恋愛の要素はあるものの、後半には殆ど皆無です。これはキャメロンというレズビアンの少女が自分のアイデンティティを捨てることなく成長していく物語なんです。恋愛が主眼ではないLGBTQものがもっとたくさん出てきてもいいですよね。

最近、「ハート・ビーツ・ラウド」という映画を観ました。映画版「ミスエデュケーション」で重要な役を演じたサーシャ・レーンが主人公の恋人役で登場します。主人公は女の子なんですけどね。

その中で、ラブソングを作っている主人公を見た父親がまっさきに「ガールフレンドがいるのか?」って訊くんですよ。それから「ボーイフレンド?」。さらっとこう訊いてしまうのがいいなあと思いました。

しかもこの映画、ふたりの恋愛はメインテーマじゃないんです。あくまでも親子関係がテーマで、LGBTQは(それから多様な人種も)背景として本当に自然にあるんですよ。主人公がレズビアンでも複雑な人種関係を持っていても、それは全く問題になりません。これはこれで理想化されすぎているのでしょうが、現代の作品だなという感じがします。

みんながこんなふうに自然に生きられる、そんな社会になればいいなと思います。多様性豊かな社会のほうが楽しいと思いませんか。キャメロンは今40歳くらいかな。今の社会をどのように見ているでしょうね。

クラウドファンディングの期間も残り少なくなってきました。このすてきな小説を日本の中高生、そして大人のみなさんに届けるために、ぜひご参加ください。よろしくお願いします。

菊池誠

2019/07/05 14:58