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10代レズビアンのリアルな青春とサバイバルを描いた映画原作小説
『The Miseducation of Cameron Post』を翻訳出版して若者に届けたい!

「ソ連百合」で注目される南木義隆さん「どうしてアメリカは永遠の青春を生きられるのだろう?」

コミック百合姫×pixiv「百合文芸小説コンテスト」で熱い注目を浴びた短編「月と怪物」の著者、南木義隆さんより応援コメントをいただきました。

「月と怪物」は先週発売されたハヤカワ文庫の百合SFアンソロジー「アステリズムに花束を」に収録されています。こちらも要チェックです!


どうしてアメリカは永遠の青春を生きられるのだろう?
それは言うまでもなく、つい四か月前のアカデミー賞の授賞式であり、昨年のコーチェラ・フェスティバルにおけるビヨンセ(もちろん今年の同フェスのアリアナ・グランデ)であったりするし、当然JDサリンジャーでもある。僕は14歳くらいでサリンジャーを読んで以来これが永遠の謎なのです。

ところで、ご存知の方は日本の「百合」シーンの最も偉大なる古典のタイトルを思い出して頂きたい。
『The Miseducation of Cameron Post』の舞台となる同性愛矯正施設の名は「神の約束」
忠実なマリア様がみてる読者ならば、劇中の序盤で敬虔なカトリック信徒の少女の選んだ選択によって、性愛と宗教について一考を馳せたことがあると思います。
幸か不幸か、僕は無宗教なので後者については簡単に流してしまったのですが、性的にはマイノリティであるため前者にはなかなか、考えさせられることがありました(ちなみにサリンジャーを読んだ二年後です)。
思うのですが、東京は武蔵野を舞台とした青春小説と、コロラド州を舞台とした青春小説とが一本の線で引けるというのは、なかなか魅力的なことではないかと思いませんか?
たとえば『ライ麦畑で捕まえて』と…………(よければ、任意の日本の青春小説を代入して下さい)のように。

『The Miseducation of Cameron Post』の試し読みの冒頭、“パパとママが死んだ日の午後、わたしはアイリーン・クラウソンと万引きをしていた。”を読んだとき、僕はまた例の永遠の謎を紐解きたい思いにかられました。
その謎を理解することで世界のすべてを正せるとは思いませんが、いみじくもアカデミー脚色賞を受賞した壇上のスパイク・リー曰く“Let's『Do the right thing』!”

 

南木義隆

ライター、「Y+」「SWAN」といったナイトライフ雑誌等で活動。東京在住。1991年生。

小説作品に、2019年『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』(早川書房)収録の短編「月と怪物」で百合文芸小説コンテストpixivピックアップ賞。

『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)』https://www.amazon.co.jp/dp/B07T2HV8RT/

2019/06/26 13:33