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10代レズビアンのリアルな青春とサバイバルを描いた映画原作小説
『The Miseducation of Cameron Post』を翻訳出版して若者に届けたい!

「海外L文学を語る会」「読書会」を開催しました!

こんにちは、サウザンブックスPRIDE叢書です。皆さん、今週はいかがお過ごしでしたか。
私たちは最近『The Miseducation of Cameron Post』翻訳出版プロジェクトに関してイベントを2つ行いました!レポートいたします〜。
 


①6/8(土)14:00-16:00 「海外L文学を語る会」@足湯カフェどん浴

『The Miseducation of Cameron Post』がどんな物語なのか、皆さんに直接お伝えする場を持ちたい、そしてレズビアン/クィア女性が登場する海外文学全般について語りたい!ということで、新宿二丁目の足湯カフェどん浴にて開催しました。


足湯カフェどん浴をお借りして開催
 

ご参加いただいた皆さんは、普段レズビアン/クィア女性が登場する本や漫画、映画などに既に親しんでいる方が多かったです。

まずはWEB上で公開している第1章試し読みページを皆さんに読んでいただいて、感想シェアを行いました。寄せられた感想としては、
 

・第1章は平穏な感じ。アイリーン(初恋の女の子)とのナチュラルなふれ合いが書かれている。

・主人公のキャメロンがアイリーンにキスをする時、”キスしたかったからした”というスタンスだったのがよかった。悩んでいる感じがあんまりなくて、好きなテイストだと思った。

・ロマンスものは苦手だけど、これは安心して読めた

『僕を燃やす炎』と一緒に、学校や図書館に置いてほしい。女の子の話、もっと必要だと思う。


・80年代後半に10代というキャメロンと自分は、おそらく同じくらいの世代。キャメロンのほうが大人っぽいけど、リアルな感覚だと思った。これからどんな展開になっていくんだろう。

・映画ミスエデュケーションのことが気になっていた。第1章はこんなに穏やかなのに、これから同性愛矯正施設の話が書かれるのかと思うと、続きが気になる。


といった感じでした。
確かに、第1章はキャメロンとアイリーンのたわいもない会話や情景描写が大半を占めています。ハッとする印象的なフレーズが多いものの、基本的にはとても穏やかなんですよね。これからの展開がますます気になります。

話している中で、同性愛矯正施設へのさまざまな疑問も挙がりました。同性愛が”治る”とは、いったい何を持って”治った”と判断しているのか。とにかく若者たちに自己否定させる矯正プログラムの内容に、いったい何の意味があるのか。本書は1980年代後半〜90年代の話ですが、同性愛矯正施設は今も存在している悲しい現実についても、共有しました。

『The Miseducation of Cameron Post』についてひととおり話した後は、おすすめL文学トークで非常に盛り上がりました。各自持ってきてくださった推し本には、タイトルだけ知っている作品もあれば、全く知らなかった作品もあり、貴重な情報交換の場となりました。海外コミックや映画・ドラマ、百合アニメの話も。推し作品トークって、なんでこんなに楽しいんでしょうね…笑。


休日の午後、海外作品についてのおじゃべりアワーはあっというまでした


この日、全員一致したのは、「レズビアン/クィア女性が主人公の物語って、ゲイの物語に比べてやっぱり少ないよね」ということです。参加者の中には、「自分が10代でレズビアンだと自覚した時にレズビアンに関する本を探したら、一番最初にたどり着いたのがアダルト雑誌だったので、10代でも安心して手に取れる本があればよかった」という方がいらっしゃいました。

自分のセクシュアリティに気付いたばかりの10代の若者でも安心して読める本、「これ読んでみてね」と安心して勧められるレズビアンの物語が、必要とされていることを痛感しました。
 


②6/12(水)19:00-20:30 「The Miseducation of Cameron Post読書会」@サウザンブックス


続いて本書の読書会は、代々木のサウザンブックス社オフィスにて行いました。この日の参加者は映画「ミスエデュケーション」を既に観た、という方も多く、映画と絡めた話をすることもできました。


こちらは会議室テーブルを囲んで開催
 

この日は、このような声が寄せられました。

・映画ミスエデュケーションの監督デジリー・アッカヴァンのデビュー作(「ハンパな私じゃダメかしら?(原題:Appropriate Behavior)」)を以前観たことがあるので、こちらも気になっていた。一応原書を買ったけど読めていないので、日本語で読みたい。

・映画を観たが、原作本はキャメロンのもっと細かい背景が書かれているとのことで、日本語版を読みたいと思った。試し読みページを読んだ今、もう一度映画を観たら見方が変わるかもしれない。

・第1章を読んでいると、ピリつく瞬間が度々出てくる。情景描写に緊張感があり、緩急がすごい。両親が交通事故で亡くなる最後のシーンはグッときて、泣けた。

・英語も苦手だし、これまでは海外文学にあまり触れる機会がなかった。でもこうして読むと、世界には素敵なレズビアンの作品がまだまだたくさんあるんだろうなと思った。アイリーンと初めてキスをした後のキャメロンの気持ちが語られている部分は、自分の20年前を思い出した。今もこうして同じことを思っている子がいるんだろうな。

・アイリーンとの微妙な距離感がよい。読めて嬉しかった。

・女性同士の物語が少ないということを、特に疑問だと思っていなかった自分に対してハッとした。みんなが手に取れるようなところに、もっとこうした話を増やしてほしい。この本は日本語版を出すべきだと思った。

・レズビアンについてのハッピーな物語が読みたい、とはっきり言っている人がまわりに何人もいる。40代以上のレズビアンの中には、あまりに悲しい結末のレズビアンの物語が多くて、本を読むことを諦めてしまっている人もいる。そんな人にこそ読んでほしい。

 

いずれの会でも、本書を応援してくださる方からの率直なご意見・感想や、いかに等身大の10代レズビアンの物語が必要とされているかが、よくわかる機会となりました。


ご参加いただいた皆様とパチりと1枚


「禁断」と称されたり、どちらかが死んだりする、悲しい結末のレズビアンの物語は、これまでにたくさん描かれてきました。
『The Miseducation of Cameron Post』の主人公キャメロンは、保守的な叔母によって同性愛矯正施設に行くことになってしまうものの、12歳の時から「同性が好き」という自分の気持ちを偽ることはしません。
思わぬ出来事や理不尽な環境に戸惑うことはあるものの、自分を曲げたりしません。
そんな強さを秘めた、10代レズビアンの圧倒的な自己肯定の物語を、待ち受けている日本の読者は全国にいるはずです。
本書の翻訳出版を実現させたい!その気持ちを新たにしたイベントでした。


プロジェクトは、残り約1ヶ月となりました。
引き続き、応援のほど何卒よろしくお願いいたします!

2019/06/14 12:32