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母子感染症を防ぐため、実話を元にしたストーリーを翻訳出版したい!
障害を持って生まれ16歳で亡くなった少女と愛犬の物語

翻訳作業中の原稿を一部公開しました②

子どものためのエリザベスとライリーのお話

 

ライリーの遺灰をエリザベスのお墓に蒔いて、二人が一緒になってからまもないある朝、私は自分の人生の長い長い期間が本当に終わったんだと言う実感とともに目覚めた。そしてエリザベスとライリーの「ソファーの上で寄り添う」仲について、二人の特別な絆を追悼する文を書かねばという思いに駆られた。

 

ニューヨーク北部のジムの実家を訪ねたとき、夫と義母が眠っている間に、家のポーチに座り、一杯のコーヒーを片手に、エリザベスのための童話の最後の一つを書いた。

 

エリザベスと心がわかる犬

 

あるところに歩けない、話せない、自分でご飯を食べることもできない女の子がいました。女の子は動くこともできませんでした。でもほほえむことはできました。そして何があってもほほえんだのです! 女の子の長い茶色の髪をお姉ちゃんがブラシでとかしてくれると笑顔になりました。、お父さんが女の子をバギーに乗せてがたがたする砂利道の上を押していくと笑顔になりました。お母さんが女の子を赤いオープンカーに乗せてドライブすると笑いました。

 

病気で髪の毛がなくなってしまった子どもにあげるために髪を切ったときにもほほえみました。いつもいつも笑顔なので、学校で先生が「最高の笑顔」賞をくださったくらいです。

 

女の子の名前はエリザベスと言いました。エリザベスは脳性麻痺で筋肉が動かなかったのです。エリザベスは一度も悪口を言ったことがないので、みんなエリザベスが好きでした。でもエリザベスの心の中がわかる人は誰もいませんでした。エリザベスは謎めいた女の子だったのです。でもエリザベスはときどき謎めいた子じゃなくなりたい。そうして親友が欲しいと願うことがありました。心のわかる友達、そうじゃなくてもソファーの上で隣に座って一緒にいてくれる友達が欲しかったのです。

 

ある日、エリザベスのお母さんが動物シェルターに電話をしました。お母さんは管理人さんに「うちの子はじゃれたがる犬とは遊べないんです。もっと年をとった、怠け者の、一日中ソファーの上で寝ているのが好きな犬がいいんです。そういう犬はいますか?」と言いました。

 

「奥様、ソファーの上で一日中テレビを見ているソファーみたいな犬がいますよ!」犬の名前はライリーと言いました。前の飼い主はライリーをシェルターに連れてきて、忙しくて世話ができないからと、次の飼い主を見つけて欲しいと言ったのです。エリザベスのお母さんはライリーを家に連れてきて、ここに飛び乗ってエリザベスの隣に座っていいよとソファーの上をぽんぽんとたたきました。ライリーはソファーに飛び乗ってエリザベスの隣に座りました。

 

ライリーは大きくて毛がもしゃもしゃしていました。まだ5歳なのに、体重は45キロもありました。エリザベスは11歳なのに体重は18キロでした! エリザベスの隣にいるとライリーはまるで年寄りの不細工な黒熊みたいに見えました。でもライリーは優しい犬でした。ソファーに飛び乗って座るときもエリザベスを踏んだりしませんでした。

 

エリザベスとライリーは、姿はとても違っていましたが、心はとても似ていました。

 

二人ともソファーに座ってアニメを見るのが大好きでした。でも二人とも話せないし、リモコンも使えないので、家族の人がチャンネルを変えてくれるのをじっとまっていました。

 

ライリーはエリザベスの隣で何時間も丸くなっていて、お母さんみたいにお皿を洗うとか、ばからしいことをするためにエリザベスのそばを離れるようなことはありませんでした。芝刈りや宿題をするからとそばを離れることもありませんでした。ライリーもエリザベスが自分の息がくさいのを気にしないので幸せでした。ライリーが「こんにちは」と言おうとすると、みんなが顔をそむけて「くさっ」というのです。でもエリザベスだけは違いました。犬くさいのなんか気にしませんでした。ライリーの暖かい息が顔に当たるとエリザベスはほほえんだのです。

 

でもエリザベスは「寒さ」が来るのを怖がっていました。他の子どもたちのように飛び跳ねたり、毛布をもらったりして暖かくなって寒さをやっつけることができなかったのです。ライリーには堅い長い毛ともふもふした短い毛の二つの毛が生えていたので、ライリーは寒さが怖くありませんでした。ある日、少し寒くなって、エリザベスの小さな足は冷たく紫色になってきてしまいました。ライリーはそれを見て、自分ができることがわかりました。注意しながらエリザベスの足の上に横たわったのです。暖かくちょっと重い感じが嬉しくて、エリザベスは気分が良くなってほほえみました。ライリーも幸せでした。ソファーを分け合っているだけじゃなくて、エリザベスの役に立ったのです。エリザベスの家族も幸せでした。

 

エリザベスに心がわかる親友ができたのです。

 

エリザベスとライリーはそれからもソファーの上で一緒に時を過ごして、一緒にだんだん年をとっていきました。ある日エリザベスは天国へ行ってしまいました。ライリーはそれからというもの本当に幸せに感じることはなくなって、一年がたった頃天国へ行ってしまいました。家族はライリーの遺灰をエリザベスのお墓の上にまきました。今、二人は永遠にずっと一緒です。
 


※本原稿は翻訳作業中のもので、完成版とは異なる部分もございます。あらかじめご了承ください。

 

写真はソファの上のエリザベスとライリー。リサがこのプロジェクトのために送ってくれた家族の写真はどれも愛情と穏やかさに溢れていました。

2016/08/31 13:46