2016年の『エリザベスと奇跡の犬ライリー』出版クラファンにご支援くださった皆様に、現在進行している新しいプロジェクトのご案内とお願いがあります。
ご存じの方も多いと思いますが、改めまして…この度、2016年に出版した『エリザベスと奇跡の犬ライリー』を絵本化するというプロジェクトを始めました。
今世界は、新型コロナウイルスにより苦しめられていますが、同じように感染症としてトキソプラズマやサイトメガロウイルスでも、昔からたくさんの人が苦しめられています。
どうしても大人に症状が出る感染症のほうが、その苦しみを本人が訴え、発信できるため、周囲も想像しやすかったりして、知ってもらったり理解されやすかったりするものです。TORCH症候群の中で言えば、風疹や麻疹がそうですが、これらは名前だけはたくさんのひとに知ってもらえていても、先天感染で起きる症状は多くの人が知っているとは言えません。でも、名前を知っているというだけでも、危機感、危険性を多少は想像しやすいようで、啓発活動もここ数年でだいぶ効果を奏しています。
しかしトキソプラズマやサイトメガロウイルスはまだそこにさえたどり着けていません。
2016年に出版した『エリザベスと奇跡の犬ライリー』を啓発ツールの一つとして使い、トーチの会は母子感染症の周知のために活動をしてきました。母子感染症の研究班の先生方も研究成果をあげてくださり、2018年には妊婦に使用できるトキソプラズマの胎児への感染予防(もしくは胎児に生じる障害を軽減化する)薬は保険適用になりましたし、同年に先天性CMV感染症の確定診断に使用する新生児の尿検査も保険適用になりました。
それでも、4年経過した今もまだ、誰もが聞いたことある、知っているというところまでは、いっていません。医療関係者の方でさえも、研究班の先生方の成果を皆が知っているとは言えない状況です。例えば、保険適用になったあとでも、出生時に確認されていた難聴の原因究明として先天感染の可能性を新生児尿検査でチェックしていなかったりすることもあり、早期診断、早期対応ができなかった患者家族から相談がトーチの会に寄せられるような状態です。
こういった事例を無くしていくには、もっとトキソプラズマやサイトメガロウイルスのような母子感染症の存在を多くの人に知ってもらわなければなりません。2016年に出版した『エリザベスと奇跡の犬ライリー』は数百ページある本でしたし、知ってほしい内容に行き着くまでに時間がかかるものでした。クラファンでご支援くださった方々からも、啓発ツールとしてもっと効果を出すには、もうすこし工夫が必要ではないかという意見もいただきました。
そこで、もっと手軽で、年齢問わず、どんな人も興味を持てるような啓発ツールを作りたいと考え、今回は絵本づくりに挑戦することにしたのです。
内容は変えず本の良さはそのままに、もっと大事な部分にわかりやすく、アクセスしやすい形に整えて作りたいのです。今現在、イラスト担当、文章担当は決まっていますが、まだ何も始まっていないため、前回の支援者の皆さんからのご意見やアドバイスも込めることができます。ぜひ、何かありましたらメッセージいただけると助かります。
ぜひ皆さんには、この出版の目的、「トキソプラズマやサイトメガロウイルスの先天性感染症のような母子感染症について世間に知ってもらう」ことにご協力いただきたいのです。これから生まれてくる子供達がリサやエリザベスのような、私達トーチの会の会員たちのような、同じ苦しみを味わうことのないように、母子感染予防の啓発活動にご協力いただきたいのです。
ですから「ご協力」というのは、単に購入をお願いしているということではありません。このクラファンの存在を利用して、それをきっかけに周囲にこんな病気があることを知らせるお手伝いをしていただければ助かります。SNSでのシェアや、ブログ等での紹介などどんな形でも歓迎です。なんとしても、多くの人に母子感染性は他人事ではないということをわかってほしいのです。そして、トキソプラズマやサイトメガロウイルスの先天性感染症は、知識があれば予防できる可能性があるということを知ってほしいのです。
そして、その結果、今回も出版にこぎつけることができたら嬉しい限りです。
お力をおかしください。よろしくお願い致します。
先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」代表
渡邊 智美